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第12話 だから ジゼル視点
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「――これが、あの日接触した理由と、こうして再び現れた理由だ」
人間と悪魔両方の血を引いていて、『ご馳走』を得るため協力してくださっていたこと。けれど手に入れたものは希望とは大きく異なるもので、理由を確認しようとしたものの、緊急事態のため移動されたこと。その後慌ただしい時間を過ごす中で、不思議な感覚を覚えていたこと。そちらを切っ掛けにして気付き、私に興味を持ち、今現在は好意を抱いていること。
そちらを説明されたリヴェド様は、呆れたっぷりの微苦笑を浮かべられました。
「自分の都合で現れて、事情ありとはいえ勝手に消えて、またこっちの都合でやってくる。自分でも身勝手なことをやってると重々承知で、やめるべきだってことはよく分かってる。でも、こんな心を持つ人と初めて出会えたから。挑戦したいと強く思っている自分もいて、今こうしている」
「……リヴェド様……」
「ジゼル。体の中には2種類の血が流れている上に、性格もなかなかに悪い。目の前にいるのはそんな男だけど、最愛の人を裏切る真似は絶対にしない。だから――」
リヴェド様は右手を静かに動かし、
「それを傍で、見極めてはくれないか?」
ご自身の胸に、添えられました。
「あんなことをしたヤツが言うことなんて、すぐ信じられないのは当たり前だ。そこで、その目で確かめてはくれないか? 関係を持つに値するかどうか、確かめてはくれないか?」
少しでも気に喰わない、納得できない点があれば、即関係を絶ってもらって構わない――。俺にチャンスをくれないか――?
リヴェド様は真っすぐ私の瞳を見つめながら、そう仰りました。
「こんな形で迫ってるんだから、当たり前の条件だ。もちろん、反故になんてしない。だから――お願いを聞いては、くれないか?」
「はい。リヴェド様、よろしくお願い致します」
私はすぐにそうお返しし、そうすれば同じくすぐに、驚きの声が上がりました。
「自分で頼んでおいて、なんだが……。即答できるものじゃないと思うぞ? なぜこんな速度で応じてくれたんだ?」
「『ずっと抱いていたイメージとは違っているけれど、やっぱり素敵な方だった』。別れ際、そして先ほどから今にかけて。リヴェド様ご自身が、そちらを証明されたからでございます」
『間違っても俺に好意を抱きながら待つなよ! アレには』
あの時は――。
リヴェド様は、私を誤解させないようにしようとしてくださっていました。
今は――。
私は他者の心を読む力を持っていないため、リヴェド様の本心を知りません。ですのであの時の『恩』を活かし、優位に進めることができました。その気になればもっと簡単に、確実に、願いが実現していました。
でも。
リヴェド様は、なさらなかった。
だから、私は即答をして。それから私を待っていたのは、想像通り――いいえ。想像以上の、毎日でした。
人間と悪魔両方の血を引いていて、『ご馳走』を得るため協力してくださっていたこと。けれど手に入れたものは希望とは大きく異なるもので、理由を確認しようとしたものの、緊急事態のため移動されたこと。その後慌ただしい時間を過ごす中で、不思議な感覚を覚えていたこと。そちらを切っ掛けにして気付き、私に興味を持ち、今現在は好意を抱いていること。
そちらを説明されたリヴェド様は、呆れたっぷりの微苦笑を浮かべられました。
「自分の都合で現れて、事情ありとはいえ勝手に消えて、またこっちの都合でやってくる。自分でも身勝手なことをやってると重々承知で、やめるべきだってことはよく分かってる。でも、こんな心を持つ人と初めて出会えたから。挑戦したいと強く思っている自分もいて、今こうしている」
「……リヴェド様……」
「ジゼル。体の中には2種類の血が流れている上に、性格もなかなかに悪い。目の前にいるのはそんな男だけど、最愛の人を裏切る真似は絶対にしない。だから――」
リヴェド様は右手を静かに動かし、
「それを傍で、見極めてはくれないか?」
ご自身の胸に、添えられました。
「あんなことをしたヤツが言うことなんて、すぐ信じられないのは当たり前だ。そこで、その目で確かめてはくれないか? 関係を持つに値するかどうか、確かめてはくれないか?」
少しでも気に喰わない、納得できない点があれば、即関係を絶ってもらって構わない――。俺にチャンスをくれないか――?
リヴェド様は真っすぐ私の瞳を見つめながら、そう仰りました。
「こんな形で迫ってるんだから、当たり前の条件だ。もちろん、反故になんてしない。だから――お願いを聞いては、くれないか?」
「はい。リヴェド様、よろしくお願い致します」
私はすぐにそうお返しし、そうすれば同じくすぐに、驚きの声が上がりました。
「自分で頼んでおいて、なんだが……。即答できるものじゃないと思うぞ? なぜこんな速度で応じてくれたんだ?」
「『ずっと抱いていたイメージとは違っているけれど、やっぱり素敵な方だった』。別れ際、そして先ほどから今にかけて。リヴェド様ご自身が、そちらを証明されたからでございます」
『間違っても俺に好意を抱きながら待つなよ! アレには』
あの時は――。
リヴェド様は、私を誤解させないようにしようとしてくださっていました。
今は――。
私は他者の心を読む力を持っていないため、リヴェド様の本心を知りません。ですのであの時の『恩』を活かし、優位に進めることができました。その気になればもっと簡単に、確実に、願いが実現していました。
でも。
リヴェド様は、なさらなかった。
だから、私は即答をして。それから私を待っていたのは、想像通り――いいえ。想像以上の、毎日でした。
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月白様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。
彼の、正体(彼に流れているもの)。
今回はちょっと、違う雰囲気を入れてみたいと考えておりまして。スパイスとして、こういった要素を含ませてみました。
ちなみに、なのですが。
リヴェド。彼の名前は、正体のスペルを、反対から読んだものとなっております……っ。