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第11話 理由と理由 リヴェド視点(3)

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「あれから1度も喰らっていなくて、しかもラストはあんなにも不味いものだったんだぞ……? なのに…………なんで、こうなってるんだ……? なんで全然腹が減っていなかったんだ……?」

 こんなことは、今まで一度もなかった。それは異常な状態で、俺は慌てて原因の特定を始めた。
 改めて今の自分の状態、状況を見つめて分析し、違和感を探す。頭の中をフラットにして様々な部分を調べ上げ、そうして――やがて俺は、

『ありがとうございます』
『自分の意思を取り戻せてよかった』
『これから一生懸命1年間を取り戻しましょう!』

 自分の中に、このような感情を含んだエネルギーがあると気が付いたのだった。

「これは……。あの時の、ものか。ジゼルから抜き取った、あのエネルギーの残滓か」

 負の悦びがもたらすエネルギーは、取り込むと悪魔の血が喜んで反応して消化する。しかしながら悪魔の血は正反対の力は嫌い、一切消化をしない。
 だからずっと身体の中にあり続けて、すぐ近くに大嫌いなものがあるから、悪魔の血は大人しくなっていた。求めようとしなかったから、空腹感を覚えていなかったんだ。

「…………そうか。それであんなにも不味く感じて、7か月なにもなくても平気で――。だから。ずっと、力が湧いてきていたのか」

 俗にいう、『感化』というもの。
 希望や明かるさなどなど前向きな気持ちが体内にあったから、俺もああして走り続けることができたんだ。

「………………………………ははっ。すごい後押しだ」

 急を要するため父は即日召喚に応じ、その影響で急激に様々な部分が動くこととなった。もちろん父の手を借りなくても乗り切られるだけの力はあったが、それでも状況が状況、事が事だ。様々な弊害が生じ、アレなしではここまで円滑には進んでいなかっただろう。

「……あんなことをされたのに、こんなにも前を向けるだなて。こんな風に思えているだなんて。本当にすごいな、お前は」

 未曽有の清々しさ、神々しさを抱き、その時が初めてだった。俺は生まれて初めて、人に対して尊さを覚えた。

 だから――。
 そうなるのは、極々自然なことだった。

 まるで、空を一閃するほうき星のよう。
 あっという間に人として、なにより異性として、ジゼルを好きになってしまったのだった。

「……あんな風に利用をした俺に、また近づく資格なんてない。けれど……」

 この胸にある『輝き』を持つ人と、深く関わりたい。
 そんな思いが俺を動かし、『挑戦』すると決める。そしてそのために転移を行い、そうしていると――何の因果なんだろうな。
 ジゼルはまた魅了絡みの問題に襲われていて、

「はあ、またかよ。ジゼル、お前はとことん運がないな」

 ゲスその2を、処理したのだった。

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