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第3話 旧と新 アンリエット視点(2)
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「っ! お前は……」
「貴方もよく知っている、学院時代の同級生であり、2回生でのクラスメイトですよ。先ほどぶりですね、フェルナン殿」
不意に現れた、金色の髪を肩まで伸ばした温厚な顔の男性。この方はわたしの3回生時代のクラスメイトで同級生である、メルフィア伯爵家の嫡男ジョエル様です。
「わざわざ名乗らなくても知っている! 俺が聞きたいのはっ、どうしてお前がここに居るのかだっ! メルフィア家の屋敷がある方角は正反対のはずだぞっ!」
「どうして、ここにいるのか。それは明日行おうとしていたことを即日行わせていただこうと思いまして、アロメイス伯爵邸を目指していたからで――」
「そうかっ、分かった! その話はもういいっ! 君は少し黙っていてくれ!! 今大事な話をしているんだ!」
「二台の馬車を見つけて降りてみたら、『やり直す』云々という声が聞こえてきました。もしや貴方は、婚約破棄を撤回されたのですか?」
「ああそうだっ! あのあと気が付いたんだ! すべてはジュリーの罠だということになっっ!」
ジュリーはずっと、アンリエットを陥れようとしていた。
偶然それに気付いて問い詰め、パーティー会場に残っていた者達の前で自白させた。
勘違いであまりにも酷いことを言ってしまったから、追いかけて謝っていた。
もう一度チャンスを与えて欲しくて、懇願していた。
早口でジョエル様に伝え、フェルナン様はわたしへと向き直りました。
「ごめん、途中になってしまったね。……婚約破棄のあとにあった、あの出来事は当然俺もよく知っている」
「……………………」
「でもそれは正式なものではない。だから、改めてお願いをさせてもらいます」
また、同じ。真摯な目線と声音でわたしへの想いと反省を口にしたあと、真っすぐこちらに右手を伸ばしてきました。
「金輪際、あのような過ちは犯しません。一生をかけて償い、必ずや貴方の人生を薔薇色にしてみせます。……ですから俺に、もう一度貴方を愛する資格をください。お願いします」
必死さが滲むお顔と、お言葉。そんな懇願を向けられたわたしは――
「お断りします」
――即座に、拒絶しました。
「そ、そんなっ。かっ、考え直しておくれっ!」
「そちらもお断りをします。……もしも貴方様に本当に他意がなかったとしても、そのご提案はお受けできませんよ」
なぜなら。
「なぜなら貴方様もよくご存じのように、わたしは先ほど――。ジョエル様に、婚約を申し込んでいただいておりますので」
さっき馬車で話していた、とても悪い記憶を上書きしてくれた『とても良い記憶』。
それは予想だにしていなかった出来事で、婚約破棄を宣告された直後のことでした――
「貴方もよく知っている、学院時代の同級生であり、2回生でのクラスメイトですよ。先ほどぶりですね、フェルナン殿」
不意に現れた、金色の髪を肩まで伸ばした温厚な顔の男性。この方はわたしの3回生時代のクラスメイトで同級生である、メルフィア伯爵家の嫡男ジョエル様です。
「わざわざ名乗らなくても知っている! 俺が聞きたいのはっ、どうしてお前がここに居るのかだっ! メルフィア家の屋敷がある方角は正反対のはずだぞっ!」
「どうして、ここにいるのか。それは明日行おうとしていたことを即日行わせていただこうと思いまして、アロメイス伯爵邸を目指していたからで――」
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「ああそうだっ! あのあと気が付いたんだ! すべてはジュリーの罠だということになっっ!」
ジュリーはずっと、アンリエットを陥れようとしていた。
偶然それに気付いて問い詰め、パーティー会場に残っていた者達の前で自白させた。
勘違いであまりにも酷いことを言ってしまったから、追いかけて謝っていた。
もう一度チャンスを与えて欲しくて、懇願していた。
早口でジョエル様に伝え、フェルナン様はわたしへと向き直りました。
「ごめん、途中になってしまったね。……婚約破棄のあとにあった、あの出来事は当然俺もよく知っている」
「……………………」
「でもそれは正式なものではない。だから、改めてお願いをさせてもらいます」
また、同じ。真摯な目線と声音でわたしへの想いと反省を口にしたあと、真っすぐこちらに右手を伸ばしてきました。
「金輪際、あのような過ちは犯しません。一生をかけて償い、必ずや貴方の人生を薔薇色にしてみせます。……ですから俺に、もう一度貴方を愛する資格をください。お願いします」
必死さが滲むお顔と、お言葉。そんな懇願を向けられたわたしは――
「お断りします」
――即座に、拒絶しました。
「そ、そんなっ。かっ、考え直しておくれっ!」
「そちらもお断りをします。……もしも貴方様に本当に他意がなかったとしても、そのご提案はお受けできませんよ」
なぜなら。
「なぜなら貴方様もよくご存じのように、わたしは先ほど――。ジョエル様に、婚約を申し込んでいただいておりますので」
さっき馬車で話していた、とても悪い記憶を上書きしてくれた『とても良い記憶』。
それは予想だにしていなかった出来事で、婚約破棄を宣告された直後のことでした――
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