姉の代わりに竜神様の生贄になりました~そんなわたしを待っていたのは、溺愛でした~

柚木ゆず

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第19話 久しぶり、と ミシュリーヌ視点(2)

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「わたしは、竜神様に恋をしました」

 心の中にある感情を、初めて誰かに明かしました。
「初めてお会いした日。竜神様はわたしを――わたしの『在り方』を気に入ってくださって、好きになったと仰った。その時は光栄だとは思ったけど、お返事はできなかったの」

 竜神様が言及されたように、この方とはあったばかり。イエスもノーも回答できませんでした。

「でもそれから、竜神様と沢山の時間を過ごした。あの方のことを理解していって、色んな優しさや温かさを感じていったの」

 わたしに美しいと言ってくださったけど、それは竜神様も同じ。どんなに大きな地位、力を手に入れても、決して歪むことはない。素敵な心をお持ちだった。
 ビーラーフェを訪れたあとも、そうだった。いつもわたしのメンタルを気にしてくださって、楽しく過ごせるように動きてくださりました。

「だから想いがどんどん育っていって……。大きくなった。わたしにも、好き、という気持ちが生まれたの」

 恋に時間は関係ないと、初めて知った。
 これまで恋は沢山の時間をかけて生まれてくるものだと思っていたから、ビックリしました。

「実は数日前にお伝えしようと思っていたんだけど、かなりお忙しくてお伝え出来なかったの。なので今日お姉ちゃん・・・・・に報告をして、あちらに戻ったあとお伝えさせていただこうと思っていたんだよ」
「……そうだったのね。よかったわね、シュリー。おめでとう」

 わたしにとってローナは実の姉より姉だと思っている人で、ローナもわたしを実の妹のように思ってくれています。久しぶりの再会の影響もあってずっと『侍女』だった雰囲気が『姉』になり、自分のことのように幸せそうに微笑んでくれました。

「ずっとしていた心配は杞憂で、この先も心配する必要はなさそうね。まさか、嬉しいことが2つ続くなんて思わなかったわ」
「わたしも一か月前は、こんなことになるとは思っていなかったよ。また会えて嬉しいし、そう言ってもらえて嬉しい。幸せ、とっても幸せ……!」

 今日はもう何度もしていますが、そんなこと関係ありませんよね。わたし達はまた抱き締め合って嬉し涙を零し合います。
 そうしてその後も何回も何回も、大切な人との再会を喜んだり、懐かしい話に花を咲かせたりして――あっという間に時間が過ぎ去り、気が付くとあちらの世界に戻る時間となりました。

「お嬢様、ミシュリーヌ、またね」
「ローナ、お姉ちゃん、またね」

 あの時と違って、さようならはしません。涙もありません。
 わたし達は破顔で手を振り合い、一か月後の再会を約束して別れ――
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