8 / 62
第3話 面接が終わって
しおりを挟む
「あっ! 清香ちゃん、お疲れ様~!」
階段を使って一階まで降りると、椅子で待ってくれていた美郷先輩が手を振りながら走り寄ってきてくれた。
「ど、どうだった? 聞いても、いいのかな?」
「大丈夫ですよ。面接は、合格で――」
「え!? 合格、だけど条件が合わなかった……?」
「先輩、いつも言っていますが気が早すぎですって。面接は合格で、その後提示されたものは全て納得できるものでした。わたしは、ここの一員として働くことになりました」
あやかしさんの村おこしのお手伝いをする仕事、面白そう。
あの時真っ先に心の中に現れた感情が、ソレだった。
「俺は鈴木心太という名前の人間になっていた、ええと、あれだ。お前達人間が、『あやかし』と呼んでいる存在だよ」
せっかく知れた『あやかし』という存在をもっと知りたい。もっと関わってみたい。
そう思ったとの、
「最初のうちは今でいう県が提供してくれてたんだが、昨今人間界も不景気だろ? 年々その額が減っていってさ、作った米や野菜なんかを売って穴埋めしてたんだが、それもいつまでももたない。一年もすれば破綻して、近いうちに村を維持できなくなっちまうんだよ」
一生懸命頑張っている困っている人を、助けたい。自分に助けられる力があるなら力になりたい。
あの時の自分に協力したい。
とも、思った。
なので――
「嬢ちゃん、頼む。この通りだ」
「アドバイザーになってはいただけませんか?」
「はい。よろしくお願いします」
わたしは姿勢を正し、お二人に向けて頭を下げたのでした。
「そうなんだっ! おめでとう! よかったねぇ!」
「ありがとうございます。一応、また先輩の後輩になります」
「本当におめでとうっ、あたしも嬉しいよ~! 清香ちゃんはどこに入るの? 行けそうなら毎日一緒に出勤しようぜ~!」
「ごめんなさい、それは無理なんですよ。わたしは『村おこし』を担当する部署に配属になって、北部にある天地村で生活するようになるんです」
天地村は地図にも存在している、れっきとした村。関係者じゃない人に対しては、あやかしの部分を抜いて説明するようになっているのです。
「え!? 天地村に行っちゃうの!? よ、よかったの清香ちゃん?」
「はい。やりがいのある仕事だと感じましたよ」
「そ、そっか。清香ちゃんがいいならいいんだ。応援するし、差し入れ持って会いにいくからね!」
「ありがとうございます。……それと、面接を紹介してくれてありがとうございます」
そのおかげで、予想もしなかった道が開けました。
新たな出会いをもたらしてくれたことに感謝をして――
「なんのなんの~! じゃあこれからお祝いだ!! さ行こう行こうっ!」
――グイッと腕を引っ張られ、先輩による就活成功パーティーがスタート。個室居酒屋で大盛り上がりをしたりプレゼントを貰ったりと楽しくも慌ただしい時間が流れていき、あっという間に卒業を迎え新天地へと出発する日となったのでした。
「いってらっしゃい、清香ちゃん。応援してるね」
「はい。いってきます、美郷先輩」
階段を使って一階まで降りると、椅子で待ってくれていた美郷先輩が手を振りながら走り寄ってきてくれた。
「ど、どうだった? 聞いても、いいのかな?」
「大丈夫ですよ。面接は、合格で――」
「え!? 合格、だけど条件が合わなかった……?」
「先輩、いつも言っていますが気が早すぎですって。面接は合格で、その後提示されたものは全て納得できるものでした。わたしは、ここの一員として働くことになりました」
あやかしさんの村おこしのお手伝いをする仕事、面白そう。
あの時真っ先に心の中に現れた感情が、ソレだった。
「俺は鈴木心太という名前の人間になっていた、ええと、あれだ。お前達人間が、『あやかし』と呼んでいる存在だよ」
せっかく知れた『あやかし』という存在をもっと知りたい。もっと関わってみたい。
そう思ったとの、
「最初のうちは今でいう県が提供してくれてたんだが、昨今人間界も不景気だろ? 年々その額が減っていってさ、作った米や野菜なんかを売って穴埋めしてたんだが、それもいつまでももたない。一年もすれば破綻して、近いうちに村を維持できなくなっちまうんだよ」
一生懸命頑張っている困っている人を、助けたい。自分に助けられる力があるなら力になりたい。
あの時の自分に協力したい。
とも、思った。
なので――
「嬢ちゃん、頼む。この通りだ」
「アドバイザーになってはいただけませんか?」
「はい。よろしくお願いします」
わたしは姿勢を正し、お二人に向けて頭を下げたのでした。
「そうなんだっ! おめでとう! よかったねぇ!」
「ありがとうございます。一応、また先輩の後輩になります」
「本当におめでとうっ、あたしも嬉しいよ~! 清香ちゃんはどこに入るの? 行けそうなら毎日一緒に出勤しようぜ~!」
「ごめんなさい、それは無理なんですよ。わたしは『村おこし』を担当する部署に配属になって、北部にある天地村で生活するようになるんです」
天地村は地図にも存在している、れっきとした村。関係者じゃない人に対しては、あやかしの部分を抜いて説明するようになっているのです。
「え!? 天地村に行っちゃうの!? よ、よかったの清香ちゃん?」
「はい。やりがいのある仕事だと感じましたよ」
「そ、そっか。清香ちゃんがいいならいいんだ。応援するし、差し入れ持って会いにいくからね!」
「ありがとうございます。……それと、面接を紹介してくれてありがとうございます」
そのおかげで、予想もしなかった道が開けました。
新たな出会いをもたらしてくれたことに感謝をして――
「なんのなんの~! じゃあこれからお祝いだ!! さ行こう行こうっ!」
――グイッと腕を引っ張られ、先輩による就活成功パーティーがスタート。個室居酒屋で大盛り上がりをしたりプレゼントを貰ったりと楽しくも慌ただしい時間が流れていき、あっという間に卒業を迎え新天地へと出発する日となったのでした。
「いってらっしゃい、清香ちゃん。応援してるね」
「はい。いってきます、美郷先輩」
12
あなたにおすすめの小説
幽縁ノ季楼守
儚方ノ堂
キャラ文芸
「季楼庵当主の代理を務めてもらう」
幼少期、神隠しにあった過去を待つ青年ユメビシ。
迷い込んだ先で、事件に巻き込まれ両手を失い、生死を彷徨うことに。
ただ「死にたくない」と望んだ願いは、ある故人の手を移植することで実現した。
これを境に不死の体質へと変貌したユメビシは、約70年の時を経て、因縁の土地『瞑之島(みんのとう)』へ帰還する。
しかし、どうして今自分がここにいるのか、その理由となる記憶がすっぽり抜け落ちた状態で……。
奇妙な忘却に焦りを抱えながら、手がかりを求め探索するさなか、島の中枢を担う組織『季楼庵(きろうあん)』の面々と関わりを持ち、次々と巻き起こる騒動に身を投じていくのだった。
現代において、人と人ならざる者が共存する瞑之島を舞台に、半ば強制的に当主代理に据えられたユメビシの非日常。
異色の現代ファンタジー✖️和風奇譚✖️ミステリー
様々な思惑が交錯する中、彼の帰還を以て、物語は一つの結末へ動き出す。
その約束は、何十年何百年経ち、たとえ本人達が覚えていなくとも。
幽かな縁で繋がり続け、決して解けない糸となる。
それを人は、因縁――またの名を『呪い』と呼ぶのだった。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
もっと早く、伝えていれば
嶌田あき
キャラ文芸
記憶から生まれ、1ヶ月で消える運命のあやかし・憶。鎌倉の古い喫茶店「波音堂」で目覚めた彼が最初に出会ったのは、17歳の高校生・夏希だった。
同じ17歳なのに、夏希には18歳の誕生日が来る。憶には来ない。
憶は、大切な人を失った人々を「記憶の渚」へ導き、故人の記憶と対話する手伝いをしている。言えなかった恋の告白、12年越しのさよなら、認知症の夫への思い――4つの「弔い」を通じて、憶は生きること、死ぬこと、記憶することの意味を知っていく。
そして最後、憶は自分の正体を知る。憶は、夏希の母の記憶から生まれたのだと。
「もっと早く、伝えていれば」と後悔する人々に寄り添いながら、憶自身も夏希との限られた時間の中で、大切な気持ちを伝えようとする。
1ヶ月後、憶は静かに光の粒子となって消えていく。でも憶の存在は、夏希の記憶の中で永遠に生き続ける――。
私の守護霊さん
Masa&G
キャラ文芸
大学生活を送る彩音には、誰にも言えない秘密がある。
彼女のそばには、他人には姿の見えない“守護霊さん”がずっと寄り添っていた。
これは——二人で過ごした最後の一年を描く、かけがえのない物語。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる