私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果

柚木ゆず

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第11話 パーティー マリエットside~告げる、2つの想い~ マリエット視点(1)

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「マリエット様。わたくし達がついています」
「マリエット様~。ファイト、ですよ~」
「貴方は独りではありませんし、わたくし達自慢の方ですわ。だから、絶対に大丈夫。友人とご自身を、信じてくださいまし……っ」

 今日は、パーティー当日。この席は立食形式なため私達は煌びやかな空間の隅に集まっていて、アンナ様、イレーナ様、ファナ様が、順に手を握ってくださった。
 トリスタン様は挨拶などが主催者として最初に行うことが終わり、現在行われていたご友人とのお喋りも終わった。今夜のパーティーは中盤、終盤、終了後も主催者は慌ただしいため、2人きりになれるチャンスは今しかない。

「アンナ様、イレーヌ様、ファナ様、ありがとうございます。……いってまいります」
「はい。いってらっしゃいませ」「こちらでずっと、応援してますね~」「マリエット様。祝福のドリンクを用意して、お待ちしておりますわ」

 皆さんという素敵な友人に見送られて、私は会場の中心へと歩いてゆく。
 何度も深呼吸をして緊張を鎮めながら進み、『大丈夫よマリエット』、そう言い聞かせながら声をおかけする。そして2人でお話をさせていただきたいとお願いをして、会場と続きのバルコニーへと移動した。

「…………こうして2人きりでお話をするのは、卒業して以来だね。8か月ぶり、かな」

 バルコニーに着くとトリスタン様は懐かしげに口元を緩め、手すりに手を添えて学舎が建つ方向を眺められた。
 少しだけ長めに伸ばされた金色の髪、その下にあるブルーの瞳。8か月ぶりにお会いしても、その眼差しは真摯で優しいまま。
 あの時とおんなじで、でも、変わっている部分もあって。それはきっと、当主になられたからなのだと思う。更に頼もしさが増していて、更にカッコよくなっている。

「何度もお誘いいただいていたのに、申し訳ございません。今夜やっと、こうしてお会いすることができました」
「ううん、マリエット様が謝罪をする事ではないよ。貴方は――ああいや、なんでもないよ」

 トリスタン様はすぐ首を左右に振ってくださり、そのあと咳払い。何かを仰りかけて止め、こちらへと首を傾けた。

「僕に、お話があるんだよね? 聞かせてもらえるかな?」
「は、はい。…………トリスタン様。聞いてください」

 もう一度、一回だけ深呼吸。
 そして、アンナ様。イレーナ様。ファナ様。大切な友達のお顔を思い出して勇気をもらい、私はブルーの瞳を真っすぐ見つめた。

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