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番外編その4 本当の家族として~寄り道の間に行っていたこと~ 俯瞰視点(3)

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「急げっ、急ぐんだっっ! 間に合わなくなるぞっっ‼」
「おうっ。……ああリンテスっ、そっちのリボンを頼む……っ!」
「分かったわっ! こっちは任せて頂戴っ!」


「旦那様っ! すみませんがこちらをお願い致しますっ!」
「奥様っ! 申し訳ございませんっ! ここに風船をお願い致しますっ!」
「ウォルコットっ、詫びは要らんっ! お前達は我々のせいで振り回されているのだっ! 遠慮なく使ってくれ!」
「貴女たちも不要よっ。わたし達の我が儘なのだから、どんどん指示を出して頂戴っ!」

 トリスタンとマリエットが、リュシア邸を離れた頃。食堂にまだ異変はなく、そんな場所では――。ディエスとリーティルを含めたロールド邸の人間が、せっせと歓迎の準備を行っていました。

「あと2時間しかないぞっ! 全員リミッターを外しなさい……!」
「「「「「了解です家令サーランドさんっ!」」」」」

「旦那様っ!」
「ああっ! そっちは押さえておく!」

「奥様っっ!」
「2つ目の風船は出来上がったわ。はいどうぞっ!」

 いつもは落ち着いた雰囲気が漂う、ロールド邸。侯爵家の人間らしさを纏う、ディエスとリーティル。その全てがまるで異なってしまっている原因は、ディエスとリーティルの妥協なきこだわりにありました。

「う~む……。どうするべきだ……?」
「う~ん……。どうするべきかしらね……?」

 この日の予定を聞いた時から、2人は歓迎の方法を考えていました。
 ですが、これは一大イベント――。より良いものにしようと何度も何度も2人の間で議論を重ね、なんとついさっき、最後の項目こと内装が決まったのです。

「旦那様と奥様に日頃のご恩を返すわよっっ! みなさんっ、気合を充填しましょう!!」
「「「「「はいっ!! うぉぉおおおおおおおおおおお……!!」」」」」

「皆の者、感謝する……!! 我々は幸せ者だ――と喜んでいる場合ではなかった!」
「ええっ、感動と感謝をするのはあとよ! さあ進めましょうっ!!」

 そうして全員で必死に動き続け、ようやく。到着の僅か5分前に、全てのセッティングが完了となったのでした。

 右半分と左半分が、まるで違う食堂。ディエスとリーティルが、そうしたワケは――

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