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第2話 裏切り 俯瞰視点
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((……俺はこれからずっと、あんなアンジェリーヌと一緒に過ごさないといけないのか……。嫌だな……))
アンジェリーヌに感謝をして、涙で抱き合った日から3日後。自室の窓から外を眺めていたジェラルドは、深いため息をつきました。
――鼻が潰れ気味で目がギョロッとしている、全身シワシワで腰が曲がっている醜い老婆――。
快復による興奮が冷めるにつれてアンジェリーヌの容姿が段々気になり始め、完全に冷めると気になって仕方がなくなってしまう。その結果すっかり、『気持ち悪い』という認識になってしまったのでした。
((……ちゃんと感謝してる。してる、けど……。無理だ……。やっていけるはずがない……))
手を握った時のガサガサとした感触。抱き締めた時の、しなびたような感触。そしてなにより、醜い顔。
時間の経過に比例して嫌悪感はムクムクと膨れ上がり、やがては汚物同然の感覚へと姿を変えました。
((……しかも俺は、そんなアンジェリーヌと子どもを作らないといけない……。どんな拷問だよ……! できるわけがない……!!))
身体を重ねる。
裸の姿を想像しただけで吐き気を催し、その先を想像したら実際に吐いてしまいました。
((せっかく復活したのに精神的に死んでしまう……! あんな化け物と結婚なんてできない……!! 解消しないと……!!))
すぐさまその方法を考え始め、1日後。ジェラルドは父のもとへと走り、アンジェリーヌとの婚約を解消したいという旨を伝えました。
「馬鹿者っ、なにを言っているのだ!! アンジェリーヌ君があのような姿になったのはお前を治すためなのだぞ!? それをお前というヤツは……!!」
「それは分かっています。分かってるけどアレとは無理なんですよ。父上は他人事だからそんな風に言えるんです」
「ジェラルド!! 貴様は――」
「父上、聞いてください。解消は父上に――いや、ノルズエ家にとっても大きなプラスになるのですよ?」
激怒&猛反対は、想定内。ジェラルドは用意していた台詞を口にし始めました。
「子は必ず親の面影を持ちます。あんな化け物と子を作ったら、どんな子どもが生まれてくるか分かりませんよ?」
「………………」
「普通じゃない子が生まれてくる、するとその子の子もおかしくなるのは確定で、そんな恐ろしい遺伝子が入った人間と関わりたいと思う者は居ませんよ。……そんなことになったら、大変ですよね?」
「………………そう、だな」
家にとって、大きなダメージとなります。
子については一族内から養子をもらうことで解決しますが、それではいずれ『自分の血が入っていない人間』に権力を譲ることになる――のちの自身の発言力が、大きく下がってしまう可能性がある。
それだけは避けたいという思いが、生まれました。
「契約によって異変が起きているのだから、もちろん以前のアンジェリーヌの面影が出る可能性だってあります。ですが、その保証はないんです。どっちに転ぶか分からないんですよ」
「………………」
「悪い方に転がってしまったら、取り返しはつかなくなってしまう。最悪の事態を防ぐには、今解消するしかない。解消をお願い、できますよね?」
「…………………………分かった。白紙にしよう」
父には感謝の気持ちが強くありましたが、それよりも私利私欲が勝る。そのためくだんの手紙が作成され、フォルート家へと送られたのでした。
アンジェリーヌに感謝をして、涙で抱き合った日から3日後。自室の窓から外を眺めていたジェラルドは、深いため息をつきました。
――鼻が潰れ気味で目がギョロッとしている、全身シワシワで腰が曲がっている醜い老婆――。
快復による興奮が冷めるにつれてアンジェリーヌの容姿が段々気になり始め、完全に冷めると気になって仕方がなくなってしまう。その結果すっかり、『気持ち悪い』という認識になってしまったのでした。
((……ちゃんと感謝してる。してる、けど……。無理だ……。やっていけるはずがない……))
手を握った時のガサガサとした感触。抱き締めた時の、しなびたような感触。そしてなにより、醜い顔。
時間の経過に比例して嫌悪感はムクムクと膨れ上がり、やがては汚物同然の感覚へと姿を変えました。
((……しかも俺は、そんなアンジェリーヌと子どもを作らないといけない……。どんな拷問だよ……! できるわけがない……!!))
身体を重ねる。
裸の姿を想像しただけで吐き気を催し、その先を想像したら実際に吐いてしまいました。
((せっかく復活したのに精神的に死んでしまう……! あんな化け物と結婚なんてできない……!! 解消しないと……!!))
すぐさまその方法を考え始め、1日後。ジェラルドは父のもとへと走り、アンジェリーヌとの婚約を解消したいという旨を伝えました。
「馬鹿者っ、なにを言っているのだ!! アンジェリーヌ君があのような姿になったのはお前を治すためなのだぞ!? それをお前というヤツは……!!」
「それは分かっています。分かってるけどアレとは無理なんですよ。父上は他人事だからそんな風に言えるんです」
「ジェラルド!! 貴様は――」
「父上、聞いてください。解消は父上に――いや、ノルズエ家にとっても大きなプラスになるのですよ?」
激怒&猛反対は、想定内。ジェラルドは用意していた台詞を口にし始めました。
「子は必ず親の面影を持ちます。あんな化け物と子を作ったら、どんな子どもが生まれてくるか分かりませんよ?」
「………………」
「普通じゃない子が生まれてくる、するとその子の子もおかしくなるのは確定で、そんな恐ろしい遺伝子が入った人間と関わりたいと思う者は居ませんよ。……そんなことになったら、大変ですよね?」
「………………そう、だな」
家にとって、大きなダメージとなります。
子については一族内から養子をもらうことで解決しますが、それではいずれ『自分の血が入っていない人間』に権力を譲ることになる――のちの自身の発言力が、大きく下がってしまう可能性がある。
それだけは避けたいという思いが、生まれました。
「契約によって異変が起きているのだから、もちろん以前のアンジェリーヌの面影が出る可能性だってあります。ですが、その保証はないんです。どっちに転ぶか分からないんですよ」
「………………」
「悪い方に転がってしまったら、取り返しはつかなくなってしまう。最悪の事態を防ぐには、今解消するしかない。解消をお願い、できますよね?」
「…………………………分かった。白紙にしよう」
父には感謝の気持ちが強くありましたが、それよりも私利私欲が勝る。そのためくだんの手紙が作成され、フォルート家へと送られたのでした。
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