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補完編その1 ビッグバンが起こった日 テオ視点
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――俺は物心ついてから一度も、恋をした事がなかった――。
交際、婚約や結婚などなど。そういうものに全く関心がなく、自分の隣に誰かがいるイメージが湧いた時がなかった。
――人が嫌いなわけではないし、異性に興味がないわけでもない――。
人間不信になる出来事があっただとか、女性絡みで嫌な思いをしただとか。そういうものは、一度もない。
なのに、なぜだか関心が湧かない。幼い頃からの知人に、
『勿体ないぞ、テオ。恋をしないのは損をしている』
『いいかテオ。恋をすると、人生が何倍も楽しくなるんだ。薔薇色になるんだぜ?』
そう言われても、微塵もそうは感じなかった。そう言われても、彼らがそう感じる思考回路が理解できなかった。
その手の感情であり行為はそれほどまでに、俺にとっては不必要なものだったのだ。
しかし――。
そんな心は、唐突に塗り替えられる事になる。
ジュリエット・ミラ。
彼女との出会いが、俺の心を変えた。『革命』を、もたらした。
『チチチチ……。チチチチ……』
『小鳥が、巣から落ちてしまいましたのね……。可哀想……』
『お母さんが、早く戻ってくるといいですわね……。大丈夫でしょうか……?』
『落ちた際に怪我をしていみたいですし、放っておいたら危険だと思います。……小鳥さん、もう大丈夫だよ。私に任せてね』
学院の裏庭にある、大きな木。その下で小鳥をそっと抱き上げ、手当を始めるジュリエットを見掛けた。
彼女は――彼女だけは、小鳥の汚れや血液などを気にしない。救いたいという一心で駆け寄り、介抱したのだ。
『チチチチチ……。チチッ。チチチチチツッ!』
『鳴き声が少し元気になったって事は、痛みが引いたのかな? よかった』
『チチチチチッ! チチチチチッ!』
『あのね、小鳥さん。お母さんが待ち遠しいと思うけどね、まだ巣の外は危険なんだよ。これからは、気を付けようね?』
『チチチチチッッ! チチチッ!』
自ら手当をして巣に戻し、微笑むジュリエット。
この瞬間が、俺が変わった瞬間だった。
――こんなにも、綺麗な人が居たなんて――。
同級生故に、容姿が優れているのは前々から知っていた。けれどその中までもが、外見同様とは知らず……。
心臓が高鳴り、彼女から目を離せなくなっている自分がいた。
――そこからはもう、『一気に』だった。
注目すると更に良い部分が見えるようになって、もっと好きになって。あっという間にジュリエットの事で頭が一杯になって。
やがて俺は彼女に告白をして、OKをもらって、そうしたら嬉し涙が零れて――。
『勿体ないぞ、テオ。恋をしないのは損をしている』
『いいかテオ。恋人といると、人生が何倍も楽しくなる。薔薇色になるんだぜ?』
ようやく俺は、彼らの言葉を理解したのだった。
交際、婚約や結婚などなど。そういうものに全く関心がなく、自分の隣に誰かがいるイメージが湧いた時がなかった。
――人が嫌いなわけではないし、異性に興味がないわけでもない――。
人間不信になる出来事があっただとか、女性絡みで嫌な思いをしただとか。そういうものは、一度もない。
なのに、なぜだか関心が湧かない。幼い頃からの知人に、
『勿体ないぞ、テオ。恋をしないのは損をしている』
『いいかテオ。恋をすると、人生が何倍も楽しくなるんだ。薔薇色になるんだぜ?』
そう言われても、微塵もそうは感じなかった。そう言われても、彼らがそう感じる思考回路が理解できなかった。
その手の感情であり行為はそれほどまでに、俺にとっては不必要なものだったのだ。
しかし――。
そんな心は、唐突に塗り替えられる事になる。
ジュリエット・ミラ。
彼女との出会いが、俺の心を変えた。『革命』を、もたらした。
『チチチチ……。チチチチ……』
『小鳥が、巣から落ちてしまいましたのね……。可哀想……』
『お母さんが、早く戻ってくるといいですわね……。大丈夫でしょうか……?』
『落ちた際に怪我をしていみたいですし、放っておいたら危険だと思います。……小鳥さん、もう大丈夫だよ。私に任せてね』
学院の裏庭にある、大きな木。その下で小鳥をそっと抱き上げ、手当を始めるジュリエットを見掛けた。
彼女は――彼女だけは、小鳥の汚れや血液などを気にしない。救いたいという一心で駆け寄り、介抱したのだ。
『チチチチチ……。チチッ。チチチチチツッ!』
『鳴き声が少し元気になったって事は、痛みが引いたのかな? よかった』
『チチチチチッ! チチチチチッ!』
『あのね、小鳥さん。お母さんが待ち遠しいと思うけどね、まだ巣の外は危険なんだよ。これからは、気を付けようね?』
『チチチチチッッ! チチチッ!』
自ら手当をして巣に戻し、微笑むジュリエット。
この瞬間が、俺が変わった瞬間だった。
――こんなにも、綺麗な人が居たなんて――。
同級生故に、容姿が優れているのは前々から知っていた。けれどその中までもが、外見同様とは知らず……。
心臓が高鳴り、彼女から目を離せなくなっている自分がいた。
――そこからはもう、『一気に』だった。
注目すると更に良い部分が見えるようになって、もっと好きになって。あっという間にジュリエットの事で頭が一杯になって。
やがて俺は彼女に告白をして、OKをもらって、そうしたら嬉し涙が零れて――。
『勿体ないぞ、テオ。恋をしないのは損をしている』
『いいかテオ。恋人といると、人生が何倍も楽しくなる。薔薇色になるんだぜ?』
ようやく俺は、彼らの言葉を理解したのだった。
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(他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)
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