お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず

文字の大きさ
8 / 29

第2話 失笑 マルグリット視点(4)

しおりを挟む
「クロード様。支援はなし、そうはできませんぞ?」

 っっ、思った通りだった!
 お父様の顔はもう青ざめていなくて、自信たっぷりに立ち上がった。

「そちらの件に関しては、きっちりと書類を交わしております。事実がどうであれ書類にて約束をしていただいているですから、ご支援は『義務』となっております。反故は不可能なのでございますよ」
「っ、そうよっ。そうだわあなた! クロード様、そちらは無理ですわ!」

 そういえばあの時、お父様達は書類を作成していた。あれは両家当主のサインと拇印がある正式なものだから、強制力があるわ!

「もしもそれでも拒否をされるのであれば、我々は保管している書類を裁判所へと持ち込みます。……そうしたらどうなるか、当然ご存じですな?」
「………………」
「どんなに有能な弁護士を雇っても、無駄。貴方がたは我々に援助をすることとなり、更には大きなイメージ低下が待っております」
「……商会関係者に、嘘や裁判沙汰は厳禁。仰る通りですが――そうすれば同時に、貴方がたの本性が知れ渡ることになりますよ? 社交界などに居場所がなくなってしまいますが、それでも構わないのですか?」
「ええ、それでも構いませんよ」「もちろん構いませんわ」「もちろん構いません」

 本音を言うと、とっても困る。パーティに参加できなくなったり結婚相手が見つからなかったり、散々な目に遭うんだから絶対に嫌。
 でもこうやって強気なのは、コレは脅しだと分かっているから。

 わたし達とクロード様では、失うものの数が圧倒的に違う。

 損得を考えればクロード様が『折れる』しかないから、揃って胸を張れるのよね。

「クロード様、我々のお返事はYESでございます。ですので、これより動かせていただきます。我が家(いえ)専属の弁護士に連絡を取り、お話を進めさせていただきます」
「……………………卿、お待ちください」

 ほら、思った通り。お父様が踵を返していたら、声が上がった。

「クロード様? どうなさいましたか?」

 分かっているくせに、お父様は人が悪い。ワザと理解できていないフリをして首を捻って、そうするとクロード様は――

「そういえばもう一つ、伝え忘れていたことがありました。こちらをご覧ください」

 後ろで控えていた従者に指示を出して…………紙を受け取り、私達に向けて提示してきた。
 それは、お父様達が交わしていた支援に関する書類みたい。これが、なに……?

しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ
恋愛
 エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。  社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。

[完結]気付いたらザマァしてました(お姉ちゃんと遊んでた日常報告してただけなのに)

みちこ
恋愛
お姉ちゃんの婚約者と知らないお姉さんに、大好きなお姉ちゃんとの日常を報告してただけなのにザマァしてたらしいです 顔文字があるけどウザかったらすみません

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。

百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」 妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。 でも、父はそれでいいと思っていた。 母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。 同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。 この日までは。 「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」 婚約者ジェフリーに棄てられた。 父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。 「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」 「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」 「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」 2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。 王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。 「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」 運命の恋だった。 ================================= (他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)

【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。

まりぃべる
恋愛
「お姉様は…出かけています。」 お姉様の婚約者は、お姉様に会いに屋敷へ来て下さるのですけれど、お姉様は不在なのです。 ある時、お姉様が帰ってきたと思ったら…!? ☆★ 全8話です。もう完成していますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。 妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。 その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。 家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。 ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。 耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。

処理中です...