愛する妹が理不尽に婚約破棄をされたので、これからお礼をしてこようと思う

柚木ゆず

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番外編 エリークとニコラとの出会い~初めての保護と、喧嘩する2匹~ アーサー視点(2)

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「――これが、俺がこれから始める活動。こういう理由があるからさっき割って入って、今すぐ手当をしたいと思ってるんだよ」

 こちらの意思を早口で伝えた俺は、改めて2匹を見つめる。そして傍に落ちていた大きめの石を拾い上げ、故意にはっきりと一瞥した。

「もしもお前達をどうこうするつもりがあるなら、これをぶつければ一発だ。そうしないということは、他意はないってこと。分かってくれるよな?」
「……しゅぅ」「…………しゅぅぅ」
「そう、俺は君たちの味方、敵じゃない。こっちの薬を傷口に塗って、そっちのを飲めば、痛みや苦しみは消えるんだよ。痛いのも苦しいのもどっちも嫌だから、塗らせてもらっていいよな? 飲んでもらってもいいよな?」
「……しゅうぅ」「……しゅぅぅぅ」
「サンキュ。ならまずは、飲む方の薬だ。ほら、これを舐めてくれ」

 俺は左右の前にそれぞれ薬包紙を広げ、2匹はそこにあった顆粒状の薬をペロペロと舐める。そうして3グラムを完食(?)すると、すぐに瞼が下がり始めた。

「それは、眠気をもたらす成分が入っている影響だ。悪い異変じゃないから安心してくれ」
「……しゅぅぅぅ……?」「…………しゅぅぅぅぅ……?」
「大丈夫、俺がいる限り手出しをさせない。もし相手が先に起きても攻撃させないから、安心してくれ。次に目を覚ましたら傷の手当てが済んでいて、ふかふかの布の上だ。楽しみにしていてくれよな?」

 それぞれの頭を軽く撫でると、2匹はそれぞれ俺の手に頭を擦りつけてくれて――甘えてくれたあと、眠りに落ちていった。なのですぐさま外傷の手当てを行い、用意していた小さな建物に――出来たばかりの保護施設に運び、2日後に2匹は目覚めたのだった。
 のだけれど……。
 そこで予想通り、新たな問題が発生してしまうのだった。


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