お久しぶりですね、元婚約者様。わたしを捨てて幸せになれましたか?

柚木ゆず

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第4話 レオナルドの今は ティファニー視点

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「あの日から、8年が経ちました。……レオナルド様。わたしを捨てて、幸せになれましたか?」

 レオナルド様への質問。これは、煽りなどではありません。
 確かに――。あの出来事があった直後は、黒い感情を抱いていたこともありました。けれど以降の人生でわたしは沢山の大事なものを得て、大切な方と出逢うことができました。
 なので、他意は少しもありません。例えるなら物語の続巻を手に取る感覚で、あのあとのレオナルド様の人生が気になっているのです。

「わたしは今、幸せな人生を歩んでいると心から言えます。貴方様は、どうなのでしょうか?」
「いっ! いっ、言えるに決まってるだろ! お前を追い出してから思った通り状況は良い方向に一変したとも!! 今はとある理由で商会の規模を縮小しているがっ、これは経営が悪化してるからじゃない! とある極秘の計画のためっっ、さらなる大飛翔を行うべく力を溜めているだけなんだぞ!!」
「そう、なのですね」
「その時が訪れたら再び我がハピンズ商会は国一の商会に返り咲く!! そのための準備で色々と忙しくてなっ! 朝昼晩とおおいそぎゃ! 大忙しなんだ!! そのせいですっかり痩せてしまっているが、それももう少しの辛抱だ! 来年の今事には過去一番の利益をあげていてっ、のんびりとした毎日が待っている!! 何もしなくても大金が休みなく転がり込んでくるというっ、まるで天国にいるかのような最高の毎日がやってくるんだ! どうだ!? 羨ましいだろう!? はーっはっはっはっはっは!!」

 レオナルド様は目を剥きながら、ものすごい勢いで喋りました。
 ……なるほど。
 今仰った内容は、全部が嘘。詳細は分かりませんが、かなり困ったことになっているようですね。

「理解致しました。ご説明いただき感謝いたします」
「なっ、なんだその淡々とした返事は! さては信じていないな!? 嘘だと思ってバカにしてるいるんだな!? そうなんだな!?」
「いえ、バカにしてなどいませんよ。だってわたしはもう、貴方様に特別な感情を――喜怒哀楽を抱いてはいないのですから」

 ミントの人生は、とっくに捨てたもの。今となっては、もうどうでもいいもの。
 ですから原因を作った人が出てきたとしても、そういった類の感情はなにも生まれません。
 さっき言ったように、わたしは単に8年間の確認をしたかっただけなのです。

「ですのでこれ以上、貴方様とお話しをしようとも思ってはおりません。……フィルベールさん、お待たせいたしました。馬車に戻りましょう――? フィルベールさん?」

 お付き合いさせてしまったお詫びに頭を下げようとしていると、(君はああ言っているけど、ごめんね。ひとつだけ仕掛けさせてもらうよ)という小声が聞こえてきました。
 仕掛ける……? フィルベールさんは、なにを考えているのでしょうか……?


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