お久しぶりですね、元婚約者様。わたしを捨てて幸せになれましたか?

柚木ゆず

文字の大きさ
16 / 24

第10話 カジノ レオナルド視点(1)

しおりを挟む
「貴方様の幸運をお祈りしております」
「ははっ、そんな風に落ち着いていられるのは今のうちだ。予言しておこう。俺がここを去る頃には、お前は――お前ら全員が、青ざめた顔をしているぞ」

 カジノが解禁されている国の中でも、もっとも大きななカジノ『クラウン』。パレスの如き賑々しい場所に足を踏み入れた俺は、ウェルカムドリンクを受け取ったあとどっかりとイスに腰をかけた。
 俺がこれから行うのは、『ルーレット』。
 ディーラーがホイールの中に玉を投げ込み、入った穴の数字や色を当てるゲーム。それがルーレット。
 ポーカーやブラックジャックは、経験値がものを言う。どちらの経験もさしてないから、こいつで勝負をする!

「お客様。チップは――」
「ああそうか、チップか! 全部だっ! ここにある金を全部チップに変えてくれ!」

 もちろん軍資金は、1000万全て。この街に2~3日滞在し、コイツを元手に最低でも10倍にして帰るぞ!

「よし、早速始めるか。まずは………………赤に100万分賭ける」

 ルーレットには一点狙いや複数狙いなど様々な賭け方があり、的中が難しいほど倍率があがる――当たった時に得られる額が多くなる。
 だからそういった高倍率を狙いたくなるが、それはバカがやることだ。
 このルーレットには0~36の数字があって、その中から一つを当てるのは37分の1の確率。こんな低確率はなかなか引けやしない。
 そこで2倍という低倍率だが、数字に割り振られた『赤』と『黒』どちらの色のポケットに入るかを当てる――2分の1の確率であたる方法をセレクトした。

「ノーモアベットでございます」

 それを合図に中年のディーラーがボールを投げ込み、ホイールの中を回る。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 他の参加者どもと共に、ボールの行方を見守り……。やがて、ボールの勢いが弱まって――

「赤の34でございます」

 ――見事、俺が予想した『赤』に入る。
 一発目は、見事勝利。100万が200万になって返ってきて、早くも所持金は1100万となったのだった!

「よーしよしよし! いいぞ! いい風が吹いている! 俺は経営者だから分かるんだよなぁっ! 今日は勝てる日だ! ドンドン勝負をしていくぞ!!」

 そうして俺は堂々と、『黒』に200万分のチップを置いて――
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。

Hibah
恋愛
カリーナは夫フィリップを支え、名ばかり貴族から大貴族へ押し上げた。苦難を乗り越えてきた夫婦だったが、フィリップはある日愛人リーゼを連れてくる。リーゼは平民出身の性悪女で、カリーナのことを”おばさん”と呼んだ。一緒に住むのは無理だと感じたカリーナは、家を出ていく。フィリップはカリーナの支えを失い、再び没落への道を歩む。一方でカリーナには、王太子妃になる話が舞い降りるのだった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん
恋愛
 傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。  二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。  アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。    アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。  何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。  全二十八話。  十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)

平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。 平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。 家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。 愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。

初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました

3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」 男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。 初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。 その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。 しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。 社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。 一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。

どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください

ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。 やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが…… クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。 さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。 どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。 婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。 その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。 しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。 「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

処理中です...