48 / 54
第26話 因果応報~イアサントの場合~ アニエス視点(2)
しおりを挟む
「おじさんが一番ご存じでしょう。当主は『家』の中で圧倒的な力を持っています。そんな存在が醜悪な人間ならば、第2第3の事件が発生してしまう。そうならないように、このお屋敷から、『ローレラル家』から、出ていっていただくのですよ」
「うがああああ!! うがああああああ!! うがあああああああああああ!!」
「左右への首振りと妹への睨みつけ。『なぜ言うことを聞いている!?』と言っているようですから、そちらも教えてあげましょう。彼女は――他の親族達も、そうせざるを得なかったのですよ」
隣国侯爵家との繋がり。ヴァルソリク伯爵家との繋がり。あのペンやイヤリング――特製の護身道具であり取り引きにも使える道具の贈答による、今後どんどんと増えていく他家との繋がり。
それらを親族の前で――『自分とアニエスが結婚すればこんなにもメリットがあるんだぞ』『追放に協力したら恩恵を与えてやってもいいぞ』と、わたしが知らないところで示してくれていたのです。
「あの頃とは違って、金の生る木。彼女達は貴方とそっくりな人間ですからね。アリズランド家の未来も伝えると、嬉々として手のひらを返し署名をしてくれましたよ」
「っっっ!! うがあああああああああああああああああ!!」
「自分が散々、自分の武器を使って好き放題してきたんです。俺も同じように自分の武器を使っただけなんですから、怒らないでください」
「っ!! があああああああ!!」
「腹が立ちますよね? 血液が沸騰しそうになりますよね? アニエスと僕が抱いた感情とベクトルは違いますが、あの時はそれと同じようなものを抱いていたんですよ。人の気持ちを知れてよかったですね」
にっこり。嘲りの感情を込めた笑顔を向け、ゆっくりとお父様に近づき――
「もうすぐお別れです。最後くらいはちゃんと話させてあげましょうか」
――べりべりと、口に貼られているテープをはがしました。
「やっと喋れるようになりましたよ。なにか言いたいことはありますか?」
「許さんぞエミリアン!! いつか必ず痛い目に遭わせてやるからな!! 覚悟していろ!!」
「素晴らしい負け惜しみをありがとうございます。ではその日を楽しみにしていますね。もしもそんな余裕があったのならば、会いに来てください」
「どういうことだ!! おい!!」
「さあ? どういうことなのでしょうね?」
「貴様っ、どこまでもコケにしやがって!! はっきり言えむご!?」
ふたたび。お父様の口にテープが貼り付けられ、また喋れなくなってしまいました。
「予想以上に耳障りでしたから、ここまでにしましょうか。……こちらの用事は済みました。お願いします」
「しょ、承知いたしました」
かつてはエミリアンのことも小馬鹿にしていた、レオナおば様。そんなおば様が唯々諾々と従い、
「むぐがあぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」
お父様は抵抗虚しく、お屋敷から引っ張りだされていって――
「うがああああ!! うがああああああ!! うがあああああああああああ!!」
「左右への首振りと妹への睨みつけ。『なぜ言うことを聞いている!?』と言っているようですから、そちらも教えてあげましょう。彼女は――他の親族達も、そうせざるを得なかったのですよ」
隣国侯爵家との繋がり。ヴァルソリク伯爵家との繋がり。あのペンやイヤリング――特製の護身道具であり取り引きにも使える道具の贈答による、今後どんどんと増えていく他家との繋がり。
それらを親族の前で――『自分とアニエスが結婚すればこんなにもメリットがあるんだぞ』『追放に協力したら恩恵を与えてやってもいいぞ』と、わたしが知らないところで示してくれていたのです。
「あの頃とは違って、金の生る木。彼女達は貴方とそっくりな人間ですからね。アリズランド家の未来も伝えると、嬉々として手のひらを返し署名をしてくれましたよ」
「っっっ!! うがあああああああああああああああああ!!」
「自分が散々、自分の武器を使って好き放題してきたんです。俺も同じように自分の武器を使っただけなんですから、怒らないでください」
「っ!! があああああああ!!」
「腹が立ちますよね? 血液が沸騰しそうになりますよね? アニエスと僕が抱いた感情とベクトルは違いますが、あの時はそれと同じようなものを抱いていたんですよ。人の気持ちを知れてよかったですね」
にっこり。嘲りの感情を込めた笑顔を向け、ゆっくりとお父様に近づき――
「もうすぐお別れです。最後くらいはちゃんと話させてあげましょうか」
――べりべりと、口に貼られているテープをはがしました。
「やっと喋れるようになりましたよ。なにか言いたいことはありますか?」
「許さんぞエミリアン!! いつか必ず痛い目に遭わせてやるからな!! 覚悟していろ!!」
「素晴らしい負け惜しみをありがとうございます。ではその日を楽しみにしていますね。もしもそんな余裕があったのならば、会いに来てください」
「どういうことだ!! おい!!」
「さあ? どういうことなのでしょうね?」
「貴様っ、どこまでもコケにしやがって!! はっきり言えむご!?」
ふたたび。お父様の口にテープが貼り付けられ、また喋れなくなってしまいました。
「予想以上に耳障りでしたから、ここまでにしましょうか。……こちらの用事は済みました。お願いします」
「しょ、承知いたしました」
かつてはエミリアンのことも小馬鹿にしていた、レオナおば様。そんなおば様が唯々諾々と従い、
「むぐがあぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」
お父様は抵抗虚しく、お屋敷から引っ張りだされていって――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
607
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる