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第7話 元婚約者の来訪 クラリス視点(1)
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「クラリス。お前と二人きりで話しをしたがっている者が、来ているのだよ」
お昼に焼いたマドレーヌをお皿に並べて、ベルガモットの準備をしている最中のことでした。ギヨームお父様が厨房にいらっしゃられて、渋面を作られた。
そういえば。ここに向かっている途中で、門の方向が少し騒がしかった。あれはお客様、それもよくないお客様だったみたい。
「わたしと2人で、ですか。そちらはどなたなのでしょう?」
「我々が、この世で最も忌み嫌う者。クレランズ伯爵家のジェラールだよ」
1年半前に好き勝手をした人が、来た。お父様のお顔が歪むのも、納得です。
「昨夜あのような事態となって、それどころではないはずですよね。どういった目的なのでしょう?」
「それが、何を言っても答えないのだよ。『クラリスに会わせろ!』『一対一で話しをさせろ!』の繰り返しなのだ」
「……そう、なのですね。分かりました。あの人の希望にお応えしましょう」
外で騒がれるのは何かと面倒ですし、解決しておかなければ落ち着いてティータイムを楽しめません。お待たせする羽目になってしまいますが、そちらに時間を割きましょう。
「お父様。わたしはこちらを部屋に運んだあと、応接室に向かいます。あの人の案内をお願い致しますね」
「ああ。わたしの出る幕はないと思うが――。何か必要なことがあれば、言ってくれ」
「はい。ありがとうございます、お父様。お母様」
遅れていらっしゃった、事情を知って目を吊り上げてくださっているオレリアお母様にも。私は2人に口元を緩め、まずはトレーを持って2階へとのぼります。そうしてお茶菓子と紅茶を置いた後、階段と廊下を通って応接室に入りました。
「クラリス。久し振りだな」
そうすると、毛先に癖のある金髪と知的そうに見えるお顔が印象的な男性が――。わたしがこの世で最も嫌いな人ジェラール・クレランズ様が居て、ソファーに深々と座ったままで挨拶を行ってきた。
この態度。この方はかつて『貴族に相応しくない成金』と我が家を罵倒したのだけれど、ご自身こそが相応しくないわね。
「こうしてお会いすることは、二度とないと思っておりました。クレランズ様、本日はどういった御用件なのでしょうか?」
こんな人を長時間視界に入れていたくはないし、わたしには大事な用事がある。なのですぐさま対面に座り、理由を伺うことにした。
「単刀直入に、お願い致します。目的はなんなのでしょう?」
「俺にとっても、早く済むのは好都合だ。では伝えるとしよう」
わたしに興味を失った直後と、同じ。相変わらず偉そうな態度で大きく頷き、そんな彼は――。
どうせロクでもないことなのだろう。
そんな予想を、軽々と超えるものを口にしたのでした。
「今日はお前に、金を借りに来たんだ。明日までに、いや、大至急だ。1億ギルを用意しろ」
すみません。ご報告になります。
体調不良が長引いてしまっておりまして。投稿は、毎日させていただくつもりなのですが……。その影響で数日間、投稿が数時間遅れてしまう可能性があることを、お許しください。
お昼に焼いたマドレーヌをお皿に並べて、ベルガモットの準備をしている最中のことでした。ギヨームお父様が厨房にいらっしゃられて、渋面を作られた。
そういえば。ここに向かっている途中で、門の方向が少し騒がしかった。あれはお客様、それもよくないお客様だったみたい。
「わたしと2人で、ですか。そちらはどなたなのでしょう?」
「我々が、この世で最も忌み嫌う者。クレランズ伯爵家のジェラールだよ」
1年半前に好き勝手をした人が、来た。お父様のお顔が歪むのも、納得です。
「昨夜あのような事態となって、それどころではないはずですよね。どういった目的なのでしょう?」
「それが、何を言っても答えないのだよ。『クラリスに会わせろ!』『一対一で話しをさせろ!』の繰り返しなのだ」
「……そう、なのですね。分かりました。あの人の希望にお応えしましょう」
外で騒がれるのは何かと面倒ですし、解決しておかなければ落ち着いてティータイムを楽しめません。お待たせする羽目になってしまいますが、そちらに時間を割きましょう。
「お父様。わたしはこちらを部屋に運んだあと、応接室に向かいます。あの人の案内をお願い致しますね」
「ああ。わたしの出る幕はないと思うが――。何か必要なことがあれば、言ってくれ」
「はい。ありがとうございます、お父様。お母様」
遅れていらっしゃった、事情を知って目を吊り上げてくださっているオレリアお母様にも。私は2人に口元を緩め、まずはトレーを持って2階へとのぼります。そうしてお茶菓子と紅茶を置いた後、階段と廊下を通って応接室に入りました。
「クラリス。久し振りだな」
そうすると、毛先に癖のある金髪と知的そうに見えるお顔が印象的な男性が――。わたしがこの世で最も嫌いな人ジェラール・クレランズ様が居て、ソファーに深々と座ったままで挨拶を行ってきた。
この態度。この方はかつて『貴族に相応しくない成金』と我が家を罵倒したのだけれど、ご自身こそが相応しくないわね。
「こうしてお会いすることは、二度とないと思っておりました。クレランズ様、本日はどういった御用件なのでしょうか?」
こんな人を長時間視界に入れていたくはないし、わたしには大事な用事がある。なのですぐさま対面に座り、理由を伺うことにした。
「単刀直入に、お願い致します。目的はなんなのでしょう?」
「俺にとっても、早く済むのは好都合だ。では伝えるとしよう」
わたしに興味を失った直後と、同じ。相変わらず偉そうな態度で大きく頷き、そんな彼は――。
どうせロクでもないことなのだろう。
そんな予想を、軽々と超えるものを口にしたのでした。
「今日はお前に、金を借りに来たんだ。明日までに、いや、大至急だ。1億ギルを用意しろ」
すみません。ご報告になります。
体調不良が長引いてしまっておりまして。投稿は、毎日させていただくつもりなのですが……。その影響で数日間、投稿が数時間遅れてしまう可能性があることを、お許しください。
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