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第2章

5話(4)

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 あれから数十分後。私達の緊張感が、一気に高まった。
 ただしその原因は、想定してものとは異なる。私の心音を酷く跳ねさせた原因は、

『大変ですっ! クローズで異変が発生しました!!』

 第一王女であるレルマさんの、狼狽したテレパシー。頭が割れそうなほどに大音量――ボリュームを落とす余裕すらない声が、響いてきた。

「……レルマ殿、箇条書き形式で構いません。激しい動揺があると思いますが、そちらの現状をお教えください」
『兄と負傷された方を見舞うため、テオと共にクローズの治療院におりましたっ。暫くすると患者やプリーストの方が暴れだし、テオと一緒に治療院を逃げ出しましたっ。そうしたら街中で同じ事が起きていて、あらゆる人が狂ったように暴れ回っているんです!』

 なるほど、ね。レルマさんが取り乱すはずだわ。

『我を忘れたように叫びながら棒を振り回したり、暴れている人同士で殴り合ったりしていますっ! そして現在騎士団が駆け付け鎮圧を図っていますが、相手は街の住人ほぼ全員で足りませんっ! どっ、どうすればいいのでしょうかっ?』
「……現場を実際に目視してみなければ、判断しかねますね。我々も至急、そちらに戻ります」

 ティルが数秒思案してそう返し、私の手を掴んで走り出す。
 ってええ!? ここを離れていいの!?

「ティルっ、もうすぐゲーランが来るのよっ!? そっちも大事だけど、こっちを放っておくと面倒になるわよっ!?」
「いや、恐らくアイツは来ない。どうやら俺達は、まんまとはめられたらしい」

 幼馴染の口から出た言葉は、予想外の更に上を行くものだった。
 ゲーランが、来ない? はめられ、た?
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