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8話 ノルベルトSide 発覚(2)
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『税収の問題で、見直しを要請しようと考えていました。ですが殿下はアタシ達のために日々頑張ってくださっているので、なかったことに致します』
『他の公務をされている殿下の様子を聞いていたら、真摯に取り組まれているのだと瞭然。想ってくださっているのであれば、こちらから言う必要はありませんからね。こちらの件に関しては、全てお任せします』
机上に書類を並べていた二人はソレを引っ込めてしまい、穏やかに目を細めたのだ。
さっきまでは厳しい顔つきでいつも通りやると仰っていたのに、突然どちらも真反対になってしまった。あまりの出来事に僕だけではなく同席していた王族関係者全員が唖然となり、結局その反応は終了後まで変わることはなかった――お二人は最後までひたすら僕を肯定し、全てを僕に任せると言って帰ってしまったのだ。
『流石は殿下。持ち前の魅力で、代表者を虜にしてしまったようだ』
『いつもは忌憚なきご意見を頂くのに……。あんなお二人は、初めて見たぞ……』
『これなら穏やかに進められそうだが、これはこれで困りますなぁ。他の方への変更も検討しないといけませんかねぇ』
僕の評判を知っている関係者は驚きつつも笑っていたけれど、僕自身は笑うことなどできなかった。
いくらなんでも、この変わり方はおかしい。これまで国を想い厳しい言葉を発してくれていた方々が、こんなことで完全に僕任せにするとは思えない。
「………………会談を始める前は、真剣だったのに……。たった十数秒の間に、何があったんだ……?」
僕は人知れず考え始め、会場から城へと戻っている最中――。道程の半ばで、あることに気付くのだった。
『他の公務をされている殿下の様子を聞いていたら、真摯に取り組まれているのだと瞭然。想ってくださっているのであれば、こちらから言う必要はありませんからね。こちらの件に関しては、全てお任せします』
机上に書類を並べていた二人はソレを引っ込めてしまい、穏やかに目を細めたのだ。
さっきまでは厳しい顔つきでいつも通りやると仰っていたのに、突然どちらも真反対になってしまった。あまりの出来事に僕だけではなく同席していた王族関係者全員が唖然となり、結局その反応は終了後まで変わることはなかった――お二人は最後までひたすら僕を肯定し、全てを僕に任せると言って帰ってしまったのだ。
『流石は殿下。持ち前の魅力で、代表者を虜にしてしまったようだ』
『いつもは忌憚なきご意見を頂くのに……。あんなお二人は、初めて見たぞ……』
『これなら穏やかに進められそうだが、これはこれで困りますなぁ。他の方への変更も検討しないといけませんかねぇ』
僕の評判を知っている関係者は驚きつつも笑っていたけれど、僕自身は笑うことなどできなかった。
いくらなんでも、この変わり方はおかしい。これまで国を想い厳しい言葉を発してくれていた方々が、こんなことで完全に僕任せにするとは思えない。
「………………会談を始める前は、真剣だったのに……。たった十数秒の間に、何があったんだ……?」
僕は人知れず考え始め、会場から城へと戻っている最中――。道程の半ばで、あることに気付くのだった。
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