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8話 ノルベルトSide 発覚(3)

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「そういえば……。名前を呼んだあと、お二人は変貌したな……」

 馬車に揺られていた僕は、レイル――従者に名前を呼ばれて、ハッとなった。
 あまりに日常的かつ当たり前の行為で、除外してしまっていた。変化の切っ掛けとなりそうなのは、ソレだ。

「いや。しかし……」

 相手の名前なんて頻繁に呼んでいて、その際におかしなことは起きていない。もしも名前を呼ぶ事が引き金だとするなら、すでに大勢の人がおかしくなっていないといけな――

「待てよ……」

『殿下と会って、好感を抱かない女性はいない』。世間ではそういう認識をされていて、ありがたいことに実際そうなっている。
 もしかして、これも……。同じ現状なのか……?

「僕は初対面の相手には、必ず名前を口にして挨拶をする。……今日の条件を、満たしている……」

 だと、したら……。異性の前でその人の名を口にしたら好意を抱かせてしまう、という力がある事になってしまう……。

「こ、こんな荒唐無稽な話が、あるのか……? い、いやいや。いくらなんでも考えすぎだっ!」

 僕にそんな力が、あるはずがない。それじゃあまるで、物語のキャラクターじゃないか。




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