どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね

柚木ゆず

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第24話 ロイス~待ちに待った休日は~ 俯瞰視点(5)

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「『大丈夫』『上手くいくから心配要らない』ってロイス様が仰ったから私はお受けしたのにっ! まったく違うじゃありませんのっ!!」
「そのせいでわたしの娘は片棒を担いだ女となってしまった!! どうしてくれるのですかっっ!?」

 この場に新たに現れたスタイルの良いストロベリーブロンドの女性と髭を蓄えた高背の男性は、ロイスが心変わりをしたダフネと彼女の父サンゼルマン。二人はセヴァンによる『打つ手がない』という手紙を見て、ケンデクア侯爵邸へと飛んで来ていたのです。

「こんな状態では社交界に出られませんわっ!! 打つ手がなくてもっ、なにとかしてくださいましっ!」
「侯爵家が本気にあれば何かできるはずでしょうっ!? 貴方がたはこの状況がどれほど深刻なのか理解されているのですか!? 一生を左右する出来事なのですぞ!?」

 ダフネとサンゼルマンもまた血相を変え、『品』など微塵もない所作でロイスとセヴァンに詰め寄ります。

「このままでは完全に日常が崩壊してしまいますわっ!! 責任を取ってっ、ちゃんと元に戻してくださましっ!!」
「貴方がたには責任を取る義務があります!! さあっ! さあっ!! 早く責任を――」
「うるさいだまれえええええええええええええええ!!」「うるさいだまらんかああああああああああああああああ!!」

 ダフネ達は激しく苛立っていますが、苛立っているのはロイス達も同じ。2つの絶叫に2つの絶叫が返り、睨みつけていた二人はそれ以上の剣幕で睨み返されてしまいました。

「責任だと!? ふざけるな!! 責任はお前達にも――ちがうっ!! 責任があるのはお前達の方だ!!」
「ダフネ嬢!! 貴様があの夜舞踏会に参加しなかったらっ、ロイスに応じなかったらっ、ロイスは婚約を解消することはなかったのだ!! 責任はっ、原因を作ったお前達にあるのだっ!!」

 ロイスの父セヴァンも、息子と同様の思考回路を持つ男でした。そのため即座に非を相手に押し付け、

「なんですって!? ひとのせいにしないでくださいまし!!」
「責任転嫁も甚だしい!! ふざけるなっ!!」

 ですが当然、ダフネたちが認めるはずはありません。そのため更に詰め寄り、相手は格上ですが――今の彼らに、そんなことを考える余裕もありません。それによってダフネ親子は目を剥き、それぞれロイスとセヴァンの胸ぐらを掴んだのでした。

 そして、それによって事態は更に悪化してしまい――

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