Our place ~転生乙女のジュラーレ魔法学院の日常~

龍希

文字の大きさ
64 / 69
第2章

ナナメ上を行く人を相手にするとグレたくなるのは必然デス。sideカグラ

しおりを挟む
 ぐったりと生気が抜けた様な三人……ヴェルト、ティア、そしてナツキが、六人掛けのテーブルに着席し、突っ伏していた。
 着席せず、一人だけ元気な姿のフレアが反対側の席に座り、ナツキに絡んでいるのが見て取れる。

 実習の様子を視聴出来る、モニタリングルームから待合室兼休憩室に戻って来ると、おどろおどろしい雰囲気を放っている三人を遠巻きにチラチラと見詰める者、興味本位丸出しで彼らを見詰める者が多い。

 俺と、レーツェル、リョウが入って来ても珍しく注目を集めていない程に釘付け状態だ。
 ある意味、新鮮だな……と思いつつも、衆目を集める陰気な場に行くのは決定事項である。
 俺を置き去りにして先を争う様に、レーツェルとリョウが突撃して行く。

「「ナツキ!」」
 二人が突っ伏しているナツキの左右に立つ。レーツェルとリョウの間には、微妙に火花が散っている様にも見える。

――――俺とナツキの事情を知っている筈なのに、慰めると言う名目でナツキに絡む気満々なレーツェルがいる。
 まったく、面倒くせえ……。

「ナツキ、大丈夫?」
 リョウよりも早く手を伸ばし、レーツェルがナツキの頭をわしゃわしゃと撫でる。
 レーツェルが通常パーティーで浮かべるスマイル0円笑顔を、当社比2倍にしたくらいのキラッキラッな微笑みをナツキに向ける。
 負けじとリョウもまた、爽やかな笑顔で迎え撃つ。
「あんなん素人でやれなんて、無理やねん。気にすんなや!」

 声を掛けられたナツキは、顔を上げて傍らに立つ二人をきょろきょろと見詰める。
「なんで? ここに?」
 ナツキはキョトンとした顔付きで、二人を見詰めながら呟く。

「ナツキがへこんでるやろなぁ~と思って。励ましに来たんや」
 にこにこと笑顔を見せながら、リョウがナツキに告げると、レーツェルも極上の笑顔を浮かべて口を開く。
「アレは酷いからねぇ……。三人で処理何て無理無茶無謀だよね。あんなの僕でもお手上げだよ? だから、慰めに来たんだよ? 抱きしめてあげようか?」
「ただのセクハラやんか! ソレは!」
 反対側のリョウがすかさず突っ込む。完全に漫才コンビになりつつあるが、それはまぁ、放置しておいても良いかと思ったりする。

「ナツキ、のど渇いてへん? 何か飲みモンとって来よか? 何がええ?」
 屈み込みながら、ナツキに問い掛けるリョウ。
「えーと……」
 言われて直ぐにリクエストを出せないナツキが、考え込んでいると反対側から横槍が入り込んで来た。

「あたし、アイスティーがいい!!!」
 手を上げて、堂々と宣言するフレアがそこにはいた。


「「「「「…………」」」」」
 沈黙する周囲。

「アンタには聞いてへん。飲みたきゃ、自分ですればええ」
 リョウは、バッサリと冷淡に言い切る。きょとんとして首を傾げるフレアを見るリョウの目は、酷く冷たい。
 そんな目で見られているのを少しも感じていないのか、彼女は目をぱちくりしている。

 けらけらと笑いながらレーツェルが言う。
「あはは、バッサリいくねー。リョウは」
 そう言うと、微妙に悪意が籠っているノリでレーツェルは、にやりと笑う。

――――あぁ、敵認定したな。これは。
 騎士団でも何度か有ったが、自分の非を認めず、他人を振り回すタイプをレーツェルは非常に嫌う。
 俺自身も対外的に取り繕うタイプも嫌うが、貴族階級の大抵の淑女はそんな風なのが多いので二人してサラッと流してしまうが、この手合いは正直面倒なのが丸分かりだ。
 下手に手心を加えた日には、間違いなくストーカーに近い状況を作り出しそうな予感しかない。
 それなりに考えられる人間ならば、あの状況で誰かに纏わりつく以前に謝罪しまくって自分の非を認めるべき事態なのだ。
 それをせずにチームメンバーが皆ぐったりしている状況のままで、平気で自分の意見を主張するのは愚の骨頂でしかない。
 俺もまた、彼女の様な人間が嫌いだった。

 王宮は有象無象共の集まりで、そういった狡いタイプも沢山いる。
 態とじゃないなら、何でも許されると勘違い人間を実際に無駄に見てきてもいる。
 ああいった輩は、放置しても後々面倒事にしかならない。だからと言って、適当に嫌われないようになどと相手をしても、結局面倒を持って来るものなのだ。
 初めの対応で、今後の振り回され度が決まると言っても良い。
 一番簡単に人を判断するならば、ちょっとだけ親切を装ってみると解りやすい。何かをしてあげようか?とか、良ければ食べませんか? と言う風にすると、返ってくる言葉や態度でその人の性格や、面倒事の比率が大体解るのだ。
 まずは、断る事をする人間がまともな常識を持っている者と言えよう。
 何でもやって貰えて当たり前、断る方がおかしいと言う考えの持ち主は、口では感謝していると言うが本当に感謝をしているとは言い難い。
 他者を振り回し人間関係や金銭的損害を与えても、その人に与えた精神的苦痛も金銭的損害も、その人の大切な時間さえも奪っている事を認識など一切していないのだ。
 挙句、出る言葉は「自分は厚顔じゃない」とか「貴方みたいに非常識ではない」などと言った、腹の立つ様な言葉ばかりと言う結果になろう。

――――あぁ、本当に嫌だ。あの手の部類は、この上なく面倒でウザったい。
 煮ても焼いても食えない人間はどこにでも居る。近寄るんじゃねえ! と、声を大にして言いたくなるが、言ったとしても本人は欠片も嫌がられているとは思っていない。
 本当に面倒臭い。絡まれているナツキは、可哀想になってくる。

 俺は部屋の壁際にある、柱の様に天井と一体化している、円柱型の飲物専用のレプリケイター(複製装置)でアイスココアと、紅茶を指定して現出させる。
 それを手に持って、ナツキの所へとゆったりと歩を進めていく。

――――さて……俺に対してどう言う態度で接するのか、拝見しようじゃねぇか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...