15 / 69
第1章
暴走兄様
しおりを挟む
「ナツキィィィィ!!」
叫び声と共に、扉を壊しそうな勢いで入って来たのはコウ兄様だ。
その形相に、シエンとカグラは呆気に取られて固まってしまった。
兄様が、我を忘れているわ……。
黙っていれば、カッコイイのに! と思ったのは言うまでもない。
だだだだだっ!
と、物凄い勢いで私の所まで来ると。
「ナツキ! 大丈夫だったか? 変なことされてないか?」
そう口走り、問答無用で私をがばーっ! と抱きしめる。
その力たるや、容赦がない。
「に、兄様!」
ばしばしと腕や背中を叩いて、気付いて貰おうと試みるが「心配だったんだぞ!」などとブツブツと言っていて私の願いを聞いてはくれない。
「にーさまっ!! 痛い!」
私はバシバシバシ!
と、思いっ切り連続で叩くが……兄様は、自分の世界に入り込んでいる。
鳩尾にでも一発入れてしまわないとダメか?
と、思った時。
「折角治療したのに、怪我させる気なの? アンタは! 離れなさいっ!!」
シエンが怒気を込めて言い、兄様をべりっと私から引き剥がしに掛かる。
「こっちへおいで」
少しだけ力強く、私を兄様とは反対方向へ引き寄せる腕があった。
その腕はカグラで、私を抱き留める様に、兄様から数歩分離してくれた。
「大丈夫?」
優しく問いかける声に、ほっと息を吐き。
「ありがと」
お礼をすると、ふわっとカグラは微笑んでくれた。
大人びた表情に隠れていたが、カグラはそんな風に笑えるのね。
確かに、王子様っぽいね。
年相応なら、きっと初恋になっていてもおかしくないくらいの、どきりとする微笑み。
きっと、青年になった時は、ものすんごーくモテモテになるわね。
公爵家の人だし、超優良物件間違いなしだ。
ぼんやりと、彼を見つつ思っていたら。
「あああああああああ!!!」
奇声が上がる。声の主は、兄様。
「ナツキ! お兄ちゃんはそいつとの交際は認めないからな!」
シエンに羽交い絞めにされつつも、どきっぱりと宣言をかます兄様に、頭が痛くなる。
あーあーあー。
どこをどうして、そうなるのか?
と思わず突っ込みたくもなるが、暴走しているコウ兄様を止める者は今の所いない。
「ったく、いい加減にしろよな!」
オカマ口調ではなく、ドスの利いた低音ボイスがシエンの口から吐かれる。
そして、羽交い絞めを解くと素早く、兄様の脳天に手刀を一発落とした。
とっても痛そうな、ごすっと言う音がした。
「うっ!!」
兄様は頭を抱えて、その場に座り込んだ。
「そんなんだから、この子があんな事に巻き込まれるんだよ! 過保護なのもいい加減にしろっ!」
「シエン」
吐き捨てるように言うシエンを咎める様に、カグラは名を呼ぶ。
「アタシが、女王陛下に怒られてあげるわよ。このまま帰したら、この子が真実を知る機会を失いかねないわよ」
意を決した眼差しがそこにはあった。
ただの治療師が、そこまで解るものかとも思うけど、カグラに砕けた感じで接している時点でそれなりの影響力を持っているのは確かだろう。
女王様に怒られるだけで済まされるのは、余程信頼されているか、身近でそれを許されている地位など持っているに違いない。
「大丈夫よ。後で、レオンの方もちゃーんと丸め込んでおくから」
ふふふと笑って言うシエンは、いたずらっ子の様に見えた。
この人は父様とも知り合いらしい。
「さて、ナツキちゃん。真実知りたくはない?」
私の前に立ち、強い光を宿した瞳でシエンが見詰めてくる。
「……真実?」
私は、ぽつりと呟く。
叫び声と共に、扉を壊しそうな勢いで入って来たのはコウ兄様だ。
その形相に、シエンとカグラは呆気に取られて固まってしまった。
兄様が、我を忘れているわ……。
黙っていれば、カッコイイのに! と思ったのは言うまでもない。
だだだだだっ!
と、物凄い勢いで私の所まで来ると。
「ナツキ! 大丈夫だったか? 変なことされてないか?」
そう口走り、問答無用で私をがばーっ! と抱きしめる。
その力たるや、容赦がない。
「に、兄様!」
ばしばしと腕や背中を叩いて、気付いて貰おうと試みるが「心配だったんだぞ!」などとブツブツと言っていて私の願いを聞いてはくれない。
「にーさまっ!! 痛い!」
私はバシバシバシ!
と、思いっ切り連続で叩くが……兄様は、自分の世界に入り込んでいる。
鳩尾にでも一発入れてしまわないとダメか?
と、思った時。
「折角治療したのに、怪我させる気なの? アンタは! 離れなさいっ!!」
シエンが怒気を込めて言い、兄様をべりっと私から引き剥がしに掛かる。
「こっちへおいで」
少しだけ力強く、私を兄様とは反対方向へ引き寄せる腕があった。
その腕はカグラで、私を抱き留める様に、兄様から数歩分離してくれた。
「大丈夫?」
優しく問いかける声に、ほっと息を吐き。
「ありがと」
お礼をすると、ふわっとカグラは微笑んでくれた。
大人びた表情に隠れていたが、カグラはそんな風に笑えるのね。
確かに、王子様っぽいね。
年相応なら、きっと初恋になっていてもおかしくないくらいの、どきりとする微笑み。
きっと、青年になった時は、ものすんごーくモテモテになるわね。
公爵家の人だし、超優良物件間違いなしだ。
ぼんやりと、彼を見つつ思っていたら。
「あああああああああ!!!」
奇声が上がる。声の主は、兄様。
「ナツキ! お兄ちゃんはそいつとの交際は認めないからな!」
シエンに羽交い絞めにされつつも、どきっぱりと宣言をかます兄様に、頭が痛くなる。
あーあーあー。
どこをどうして、そうなるのか?
と思わず突っ込みたくもなるが、暴走しているコウ兄様を止める者は今の所いない。
「ったく、いい加減にしろよな!」
オカマ口調ではなく、ドスの利いた低音ボイスがシエンの口から吐かれる。
そして、羽交い絞めを解くと素早く、兄様の脳天に手刀を一発落とした。
とっても痛そうな、ごすっと言う音がした。
「うっ!!」
兄様は頭を抱えて、その場に座り込んだ。
「そんなんだから、この子があんな事に巻き込まれるんだよ! 過保護なのもいい加減にしろっ!」
「シエン」
吐き捨てるように言うシエンを咎める様に、カグラは名を呼ぶ。
「アタシが、女王陛下に怒られてあげるわよ。このまま帰したら、この子が真実を知る機会を失いかねないわよ」
意を決した眼差しがそこにはあった。
ただの治療師が、そこまで解るものかとも思うけど、カグラに砕けた感じで接している時点でそれなりの影響力を持っているのは確かだろう。
女王様に怒られるだけで済まされるのは、余程信頼されているか、身近でそれを許されている地位など持っているに違いない。
「大丈夫よ。後で、レオンの方もちゃーんと丸め込んでおくから」
ふふふと笑って言うシエンは、いたずらっ子の様に見えた。
この人は父様とも知り合いらしい。
「さて、ナツキちゃん。真実知りたくはない?」
私の前に立ち、強い光を宿した瞳でシエンが見詰めてくる。
「……真実?」
私は、ぽつりと呟く。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる
葉月ゆな
ファンタジー
伯爵家の次男坊ダニエル・エインズワース。この世界では女神様より他人より優れたスキルが1人につき1つ与えられるが、ダニエルが与えられたスキルは「素潜り」。貴族としては、はずれスキルである。家族もバラバラ、仲の悪い長男は伯爵家の恥だと騒ぎたてることに嫌気をさし、伯爵家が保有する無人島へ行くことにした。はずれスキルで活躍していくダニエルの話を聞きつけた、はずれもしくは意味不明なスキルを持つ面々が集まり無人島の開拓生活がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる