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第1章
隠されていた真実
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隠されている事、故意に隠蔽されている事は何となく感じていた。
知ったからどうにか出来るとも思えない。
母様や父様が隠したいと思うには、それなりの訳があったんだろうし、心労だってないとは言い切れない。
けれど、何となく解っていて、自分が取った行動で問題が起こるのは気分の良いものではない。
知っていれば防げる場合だってある。
「……教えて下さい。私、知りたい」
「なっ! ナツキっ!」
私の言葉に、大いに焦ったのは兄様だった。
「こめんなさい、兄様、私ね。皆が何か隠していたの知ってたの」
「ど、うして……」
「だって変だったんもの。母様は魔法界の女帝って言われてるのに、私の周りには魔法と触れる機会が極端に少ないのはどうしてって」
「そ、それ、は」
「私の前でちょっとした魔法を見せてくれた兄様は、母様に怒られたのだって変だって思った。私に魔法の才が無いなら父様はきっと、無いなりに生きていけば良いって言うだろうし、でも、そう言うワケでも無さそうだったから聞けなかった」
「あらら、よしよし。ナツキちゃんは良い子ね」
シエンは苦笑して、私を慰める様に頭を撫でてくれる。
優しい手付きに、気持ちが和らぐ。
「シエン、立ち話につき合わせる気か?」
顎で示して、カグラは言った。
指し示す先は、ソファーだ。
「そうだね。さ、座って、ナツキちゃん」
「はい」
二人に促されて、私はソファーに腰掛ける。
私の隣がカグラで、向かい側にシエンでその隣は兄様。
兄様は、私の隣を陣取れなかったので不満気味だ。
だけど、シエンに反対して文句を言う事を一切しない。
彼が、父様の近しい人だと解っているからかもしれない。
「さて。どこから話そうかな。んー、まずは、ナツキちゃんは魔法についてどの程度知っているかしら?」
考えなから、シエンが私に問い掛けて来る。
私は包み隠さずに、自分の解る範囲で答える。
「たぶん、ほとんど知らないと思う。魔法適正についてなら、火属性とか水属性とか、そういった事は一応解るけどそれ以外は……」
知っている、見ている魔法は極少ない。
一般的な知識(本とか記事とか)は、多少なりとも宇宙船の端末から見る事が出来るから解るけど。
実際、文字を読める様になってから色々見たのだが、間違いなく魔法書に関してのものはアクセス制限が掛けられていた。
不用意に実践しないように。
「なるほど。じゃぁ、悪いけど『見』させて貰っても良いかしら?」
「シエン、それは……」
シエンの台詞に、カグラが目を見張って表情を変える。
シエンはそんなカグラをチラッと見て、何事もない様に話を続ける。
「ナツキちゃん、アタシの属性はね、透視なの。未来を見通す力、探しものを見付ける事も出来るわ。けれど、通常はそれを自分で制限してるの。だって要らないものまで見たくないでしょ。ナツキちゃんが生まれる前にレオンから『この子の未来を見て欲しい』って言われて見た事があったわ」
「どうだったの?」
「良くは無かったわ、けれど、最悪な事でもなかった。周りの者が注意すればいいだけの事だったからね」
「今、私に話すのは問題があるからなのね?」
「ええ。今まではそれで良かったけど、これからは間違いなく問題が起きるわ。未だにレオン達が、ここに来ないのが決定的ね。こういう嫌な勘は当たるものよねぇ」
溜め息混じりにシエンが言う。
「だから、見させて欲しいの。女王陛下や宰相様やレオン含め、命令されたら結局見ないといけなくなる。意識があるなし関係なくね。きっと、寝ている間にとかだろうけど、アタシとしてはちゃんとお伺い立てておきたいのよ。ダメかしら?」
「うん、見ていいよ」
私は深くゆっくりと頭を下げる。。
どっちにしても『見られる』なら自分の意志できちんと見てもらいたい。
何よりも自分の事だから、受け止めておきたい。
何も知らない子供のままなら、きっと嫌がっただろう。
だけど、自分は、前世でトコトン嫌な目に遭っている。
無駄に振り回されて、折角の人生を、時間を費やしたくない。
母様や父様は、私を愛するが故に選択するのだろう。
全てを隠してずっと生きることなんて出来ない。
遅かれ早かれ、いずれ自分はその事実に辿り着く。
何もかも投げ捨てて、死を選ぶなんてのもしないし、何よりもこの家族は私にとって大事な人達だ。
そんな人達を自分の為に心を砕いて、悩んで、苦しんで欲しくない。
私が聞いてしまえば、負担だって軽くなるだろうし、自分がしてはいけない事をちゃんと知って対処だって出来る。
でも、母様も父様もきっとそんな事、望んでいないだろう。
だから。
――――ごめんなさい、母様、父様。
私は顔を上げて、シエンを見つめた。
私の瞳に現れていた決意が、見て取れたのだろうか、シエンは小さく頷き返してくれた。
「ナツキちゃんの属性はね『破壊《ブレイク》』よ。ちなみに、王子の属性は『重力《グラヴィティ》』で、ナツキちゃんを助ける時に使ってたわね」
「ああ、そうだな」
大した事でもない風に、相槌を打ってカグラは答える。
「……」
ああ、確かに、あのおっさんが地面に押さえ付けられてた。
あれは、カグラの仕業だったんだ。
何となくそんな感じはしていた。
あの時、その場に居たのはカグラだけだったから。
「あの時ね、異変が起きている事に気付いて見通す力を使ったら、ナツキちゃんがいたの。あの馬鹿者の行動で……生存本能だったのだと思うわ。ナツキちゃんの力が発動して、王宮の庭園の結界魔法が壊れたのよ。王宮内は、色々な結界魔法がかけられているわ。かけたのは歴代の王や宰相、この国にある魔法学院の上級魔術師などもいるわ。半分以上、その結界魔法にナツキちゃん達の母親である、ユーナは関わっているわ。だから、今ココへは来れないの。結界修復に手間取っているからね。それと……実際、ユーナの魔法を無効化したり、壊したり出来る者は殆どいないの。それほど、あの人は強いのよ。その魔法を壊したという事は、その事実を誰かが知って悪用しようと考える者が出て来てもおかしくないし……出て来るわね、間違いなく。気をつけなさい」
シエンの辛そうな瞳とぶつかる。
本当はそんな事、言いたい訳じゃないんだろうって分かる。
出来ればそんな未来の一片でもなければ良いって、思ってくれたのだと思う。
こっくり、首を縦に振って私はシエンを見た。
「はい、気をつけます」
「何か相談したい事があったら、何時でも言いなさい。一人で抱え込まなくても良いんだからね?」
「うん」
「ナツキちゃん、貴方次第で未来は変わるわ。だから、諦めちゃダメよ?」
「うん」
優しく父様みたいに、シエンは頭を何度も撫でてくれた。
知ったからどうにか出来るとも思えない。
母様や父様が隠したいと思うには、それなりの訳があったんだろうし、心労だってないとは言い切れない。
けれど、何となく解っていて、自分が取った行動で問題が起こるのは気分の良いものではない。
知っていれば防げる場合だってある。
「……教えて下さい。私、知りたい」
「なっ! ナツキっ!」
私の言葉に、大いに焦ったのは兄様だった。
「こめんなさい、兄様、私ね。皆が何か隠していたの知ってたの」
「ど、うして……」
「だって変だったんもの。母様は魔法界の女帝って言われてるのに、私の周りには魔法と触れる機会が極端に少ないのはどうしてって」
「そ、それ、は」
「私の前でちょっとした魔法を見せてくれた兄様は、母様に怒られたのだって変だって思った。私に魔法の才が無いなら父様はきっと、無いなりに生きていけば良いって言うだろうし、でも、そう言うワケでも無さそうだったから聞けなかった」
「あらら、よしよし。ナツキちゃんは良い子ね」
シエンは苦笑して、私を慰める様に頭を撫でてくれる。
優しい手付きに、気持ちが和らぐ。
「シエン、立ち話につき合わせる気か?」
顎で示して、カグラは言った。
指し示す先は、ソファーだ。
「そうだね。さ、座って、ナツキちゃん」
「はい」
二人に促されて、私はソファーに腰掛ける。
私の隣がカグラで、向かい側にシエンでその隣は兄様。
兄様は、私の隣を陣取れなかったので不満気味だ。
だけど、シエンに反対して文句を言う事を一切しない。
彼が、父様の近しい人だと解っているからかもしれない。
「さて。どこから話そうかな。んー、まずは、ナツキちゃんは魔法についてどの程度知っているかしら?」
考えなから、シエンが私に問い掛けて来る。
私は包み隠さずに、自分の解る範囲で答える。
「たぶん、ほとんど知らないと思う。魔法適正についてなら、火属性とか水属性とか、そういった事は一応解るけどそれ以外は……」
知っている、見ている魔法は極少ない。
一般的な知識(本とか記事とか)は、多少なりとも宇宙船の端末から見る事が出来るから解るけど。
実際、文字を読める様になってから色々見たのだが、間違いなく魔法書に関してのものはアクセス制限が掛けられていた。
不用意に実践しないように。
「なるほど。じゃぁ、悪いけど『見』させて貰っても良いかしら?」
「シエン、それは……」
シエンの台詞に、カグラが目を見張って表情を変える。
シエンはそんなカグラをチラッと見て、何事もない様に話を続ける。
「ナツキちゃん、アタシの属性はね、透視なの。未来を見通す力、探しものを見付ける事も出来るわ。けれど、通常はそれを自分で制限してるの。だって要らないものまで見たくないでしょ。ナツキちゃんが生まれる前にレオンから『この子の未来を見て欲しい』って言われて見た事があったわ」
「どうだったの?」
「良くは無かったわ、けれど、最悪な事でもなかった。周りの者が注意すればいいだけの事だったからね」
「今、私に話すのは問題があるからなのね?」
「ええ。今まではそれで良かったけど、これからは間違いなく問題が起きるわ。未だにレオン達が、ここに来ないのが決定的ね。こういう嫌な勘は当たるものよねぇ」
溜め息混じりにシエンが言う。
「だから、見させて欲しいの。女王陛下や宰相様やレオン含め、命令されたら結局見ないといけなくなる。意識があるなし関係なくね。きっと、寝ている間にとかだろうけど、アタシとしてはちゃんとお伺い立てておきたいのよ。ダメかしら?」
「うん、見ていいよ」
私は深くゆっくりと頭を下げる。。
どっちにしても『見られる』なら自分の意志できちんと見てもらいたい。
何よりも自分の事だから、受け止めておきたい。
何も知らない子供のままなら、きっと嫌がっただろう。
だけど、自分は、前世でトコトン嫌な目に遭っている。
無駄に振り回されて、折角の人生を、時間を費やしたくない。
母様や父様は、私を愛するが故に選択するのだろう。
全てを隠してずっと生きることなんて出来ない。
遅かれ早かれ、いずれ自分はその事実に辿り着く。
何もかも投げ捨てて、死を選ぶなんてのもしないし、何よりもこの家族は私にとって大事な人達だ。
そんな人達を自分の為に心を砕いて、悩んで、苦しんで欲しくない。
私が聞いてしまえば、負担だって軽くなるだろうし、自分がしてはいけない事をちゃんと知って対処だって出来る。
でも、母様も父様もきっとそんな事、望んでいないだろう。
だから。
――――ごめんなさい、母様、父様。
私は顔を上げて、シエンを見つめた。
私の瞳に現れていた決意が、見て取れたのだろうか、シエンは小さく頷き返してくれた。
「ナツキちゃんの属性はね『破壊《ブレイク》』よ。ちなみに、王子の属性は『重力《グラヴィティ》』で、ナツキちゃんを助ける時に使ってたわね」
「ああ、そうだな」
大した事でもない風に、相槌を打ってカグラは答える。
「……」
ああ、確かに、あのおっさんが地面に押さえ付けられてた。
あれは、カグラの仕業だったんだ。
何となくそんな感じはしていた。
あの時、その場に居たのはカグラだけだったから。
「あの時ね、異変が起きている事に気付いて見通す力を使ったら、ナツキちゃんがいたの。あの馬鹿者の行動で……生存本能だったのだと思うわ。ナツキちゃんの力が発動して、王宮の庭園の結界魔法が壊れたのよ。王宮内は、色々な結界魔法がかけられているわ。かけたのは歴代の王や宰相、この国にある魔法学院の上級魔術師などもいるわ。半分以上、その結界魔法にナツキちゃん達の母親である、ユーナは関わっているわ。だから、今ココへは来れないの。結界修復に手間取っているからね。それと……実際、ユーナの魔法を無効化したり、壊したり出来る者は殆どいないの。それほど、あの人は強いのよ。その魔法を壊したという事は、その事実を誰かが知って悪用しようと考える者が出て来てもおかしくないし……出て来るわね、間違いなく。気をつけなさい」
シエンの辛そうな瞳とぶつかる。
本当はそんな事、言いたい訳じゃないんだろうって分かる。
出来ればそんな未来の一片でもなければ良いって、思ってくれたのだと思う。
こっくり、首を縦に振って私はシエンを見た。
「はい、気をつけます」
「何か相談したい事があったら、何時でも言いなさい。一人で抱え込まなくても良いんだからね?」
「うん」
「ナツキちゃん、貴方次第で未来は変わるわ。だから、諦めちゃダメよ?」
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