28 / 69
第2章
無理矢理に首を突っ込むのはハタ迷惑です。
しおりを挟む
「あ~あ~、王子が来ちゃった」
心底嫌そうにシエンが言った。
「王子はヤメロと言っているだろう」
同じ様にカグラもまた心底嫌そうにシエンに言う。
「カグラ、部屋で待っていてくれと言ったのに何故来たんだ?」
レーツェルは、カグラの許へ近寄った。
前にも聞いたやり取りをする二人を、あっさり無視《スルー》して会話をぶった切る勇者がここにいた。
「グラニットを失脚させるのに好都合なネタを横取りされるのが解っていて、どうして俺が待たなくてはいけないんだ?」
にやりと笑うカグラ。
「根に持ってるわね~、ホント」
「だな」
シエンの言葉に、頷くレーツェル。
「カグラが来ちゃったし、寮監室で尋問する必要が無くなってしまったわね」
シエンは面倒臭そうに、ぼやきながら視線をお祖父様へと移し。
「どうしますか?」
と、問い掛けた。
「では、僭越ながら本館の会議室ではどうでしょう?」
お祖父様の口調は穏やかなのに、何故か冷っとした。
「じゃ、アタシ達は先に行くわね」
視線をパームへと戻し、命令口調でシエンは告げる。
「貴方は本館へ行ってもらいます。拒否権はありません。現時点を持って、パーム・グラニットには違法行為の重要参考人として来て貰います」
シエンの言葉に、パームは目を見開き愕然としていた。
「……なぜ?」
「貴方の入学が不正の可能性があります。先ほどの行動などに於いて、当学院に相応しく無く、よって今回の件も合わせて尋問します。抵抗されるのならしても構いませんが、その時は強制的に隔離転送をします。どうしますか?」
「…………っ」
真っ青な顔になって、パームは震えて突っ立っていた。
「さぁ、来なさい」
シエンはパームの右腕を掴み、容赦なく連れて行く。
その姿を私は、呆然と見詰めていた。
「お嬢さん、儂も彼に先ほどの詳細を教えないといけないので失礼します。変な事に巻き込んでしまって申し訳ない。嫌わずにこの庭に通って来てくれると嬉しい」
お祖父様が困った様にお詫びを言う。その姿は何故か捨てられた小動物を思わせる。
私が来ないと確実にいじけるね、これは。
傍目には、ただのそこら(?)の老人と学生の交流だとしても……お祖父様にとっては会う機会が少なかった大事な孫娘(今は中性体だが)との交流だ。
そんなのを奪った日には、壮絶にいじけて拗ねまくるだろう。
お祖父様が欲しい言葉はただ一つ。
「はい、勿論です。喜んでお庭の方を散策させて貰いますね」
笑顔で返事を返すと、お祖父様は嬉しそうに笑って。
「有難う。ゆっくりして行って下さいね」
ぺこりと軽く会釈をして、シエンが消えて行った方へと進んでいく。
凄まじい茶番劇だが、誰かが見ているとも限らないのでフリは必要だ。
この目の前にいる二人にも言えることだけどね。
バレてるのかいないのか、見当がつかない。
シエンは論外だろう。彼は『見える』人なのだから隠しても意味はない。
私に一切触れなかったのは、その様にするのだと言うポーズでもあるのが理解出来た。
さてこの窮地をどう切り抜けようかな……。
心底嫌そうにシエンが言った。
「王子はヤメロと言っているだろう」
同じ様にカグラもまた心底嫌そうにシエンに言う。
「カグラ、部屋で待っていてくれと言ったのに何故来たんだ?」
レーツェルは、カグラの許へ近寄った。
前にも聞いたやり取りをする二人を、あっさり無視《スルー》して会話をぶった切る勇者がここにいた。
「グラニットを失脚させるのに好都合なネタを横取りされるのが解っていて、どうして俺が待たなくてはいけないんだ?」
にやりと笑うカグラ。
「根に持ってるわね~、ホント」
「だな」
シエンの言葉に、頷くレーツェル。
「カグラが来ちゃったし、寮監室で尋問する必要が無くなってしまったわね」
シエンは面倒臭そうに、ぼやきながら視線をお祖父様へと移し。
「どうしますか?」
と、問い掛けた。
「では、僭越ながら本館の会議室ではどうでしょう?」
お祖父様の口調は穏やかなのに、何故か冷っとした。
「じゃ、アタシ達は先に行くわね」
視線をパームへと戻し、命令口調でシエンは告げる。
「貴方は本館へ行ってもらいます。拒否権はありません。現時点を持って、パーム・グラニットには違法行為の重要参考人として来て貰います」
シエンの言葉に、パームは目を見開き愕然としていた。
「……なぜ?」
「貴方の入学が不正の可能性があります。先ほどの行動などに於いて、当学院に相応しく無く、よって今回の件も合わせて尋問します。抵抗されるのならしても構いませんが、その時は強制的に隔離転送をします。どうしますか?」
「…………っ」
真っ青な顔になって、パームは震えて突っ立っていた。
「さぁ、来なさい」
シエンはパームの右腕を掴み、容赦なく連れて行く。
その姿を私は、呆然と見詰めていた。
「お嬢さん、儂も彼に先ほどの詳細を教えないといけないので失礼します。変な事に巻き込んでしまって申し訳ない。嫌わずにこの庭に通って来てくれると嬉しい」
お祖父様が困った様にお詫びを言う。その姿は何故か捨てられた小動物を思わせる。
私が来ないと確実にいじけるね、これは。
傍目には、ただのそこら(?)の老人と学生の交流だとしても……お祖父様にとっては会う機会が少なかった大事な孫娘(今は中性体だが)との交流だ。
そんなのを奪った日には、壮絶にいじけて拗ねまくるだろう。
お祖父様が欲しい言葉はただ一つ。
「はい、勿論です。喜んでお庭の方を散策させて貰いますね」
笑顔で返事を返すと、お祖父様は嬉しそうに笑って。
「有難う。ゆっくりして行って下さいね」
ぺこりと軽く会釈をして、シエンが消えて行った方へと進んでいく。
凄まじい茶番劇だが、誰かが見ているとも限らないのでフリは必要だ。
この目の前にいる二人にも言えることだけどね。
バレてるのかいないのか、見当がつかない。
シエンは論外だろう。彼は『見える』人なのだから隠しても意味はない。
私に一切触れなかったのは、その様にするのだと言うポーズでもあるのが理解出来た。
さてこの窮地をどう切り抜けようかな……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる
葉月ゆな
ファンタジー
伯爵家の次男坊ダニエル・エインズワース。この世界では女神様より他人より優れたスキルが1人につき1つ与えられるが、ダニエルが与えられたスキルは「素潜り」。貴族としては、はずれスキルである。家族もバラバラ、仲の悪い長男は伯爵家の恥だと騒ぎたてることに嫌気をさし、伯爵家が保有する無人島へ行くことにした。はずれスキルで活躍していくダニエルの話を聞きつけた、はずれもしくは意味不明なスキルを持つ面々が集まり無人島の開拓生活がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる