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第2章
二人はイトコ。
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「君も大変だったね」
にこりと人懐っこい笑顔を浮かべて、レーツェルが言った。
二人はゆったりと歩いて来て、レーツェルは笑顔を振り撒く。
片割れは、無表情。
何だ、この見事なまでの対比は。
カグラは笑顔の安売りはしないらしい。
昔、お目に掛ったのはレア度高かったのね~。
あれ?
キラキラ光る陽光の中で、並ぶ二人に違和感を見出す。
光の光彩で、髪の色が同じ様に見える。
そして、顔付も似ている。
などと不謹慎な事をぼんやり考えつつ、レーツェルに言葉を返す。
「あ、いえ、大丈夫です。庭師のお爺さんにご迷惑が掛ってしまったらって……」
「ああ! あの人の事は大丈夫だよ。殆どの学生が知っている事だけど、学院や寮にいる全ての職員は学生の動向を見守るのもお仕事だって話だから気にしないで良いと思うよ。あれも仕事の内だろうから」
「そうなんですか、解りました」
シエンがお祖父様に話しかけた理由に、しっかりと合点がいってほっとした。
「ねぇ、君の名前はなんていうの?」
ニッコリ笑顔で、私にレーツェルが問い掛けた。
「あ、はい。私は、ナツキ・タカマガハラです。今日、入寮した新入生です。どうぞ宜しくお願い致します」
深々とお辞儀をして、挨拶をする。
一応、同名だし、なんか変な事言われないかな?
ドキドキして、心臓に悪い。
「ナツキちゃんって言うのか~。ふぅ~ん、カグラの婚約者と同じ名前だね~」
レーツェルのにこやかな瞳は、笑っているのかどうか微妙な感じで地味に心臓に悪い。
「あ、はぁ、そうなんですか? あ、あと、すみませんが、ちゃん付けはご遠慮願いたいのですけど……私、未分化なんで……変化した時までちゃん付けされるのはちょっと嫌なので」
そんな婚約者なんて知らない風に装いつつ、私はちゃん付けを拒む。
首を少し傾げて、レーツェルは私に言う。
「あれ? さっき、庭師の人はお嬢さんって言ってなかったっけ?」
「急いでいたようですし、あまり未分化の事は言いたくないので……」
俯いて誤魔化しながら視線を花々に移すと、そこではソードが花にじゃれ付いていた。
普通だったら、微笑ましい光景なんだけどね~~。
今は緊迫的な状況のはずよねぇ?
あえてソードは、ニャンコらしく振舞っているのか……?
それとも単純に飽きたのか?
後で問い詰めよう。
「ま、言いたくない事や言われたくない事の一つや二つ、誰にだってあるだろうよ。追求するのは無粋だと俺は思うけどな」
顔を上げると、カグラがトンとレーツェルの肩を叩く。
「それもそうか。ごめんね、嫌な事聞いちゃって。許してくれるかな?」
ふわりと微笑みを浮かべて、レーツェルは私に言う。
なに!? この輝くような笑顔!!
は、鼻血出そう。
あ! あれれれ!?
その笑顔、昔見た事がある!
そう、拉致騒ぎの時のカグラの笑顔に似ているんだ!
訊いても良いよね? それ位。
私に色々訊いたんだから、反対に訊いたってお相子だよね、うん。
「あ、はい。その代わり一つだけ質問しても良いですか?」
「うん、いいよ」
「あの、お二人似ているって言われませんか?」
私の言葉に二人は顔を見合わせた。
レーツェルが少し苦笑しながら言う。
「あー、やっぱり似ているかな?」
「は、はい。陽光で髪の色が透かされて、並ばれるとあれ?って思う位には似てるかと」
「そっかぁ。なんか嬉しいな」
レーツェルは朗らかに応える。
「嬉しいのか? そんなもんが」
微妙に嫌な顔をするカグラに、レーツェルは少しむっとした表情をする。
「嬉しいよー。ちゃんと従兄弟なんだって思えるからさ」
「へ? 従兄弟?」
「そうだよー。僕の父とカグラの母親が兄妹なんだ。叔母上なんて呼んだら殺されかねないけどね~」
あははとレーツェルは笑う。
殺されかねないって……どんな方なの!?
まぁ、いつでも乙女で居たいのは女として理解出来るし、自分でもそう呼ばせてもおかしくないかもしれないけども。
万が一カグラと結婚になったら、お義母様になるのだから情報はあっても損はないか。
この人に惚れたらだけどね。
一応、前世込みでの精神年齢的には私が上になるから、余計冷静に物事を見ちゃうのだけど……。
まぁ、母様は私が本気で嫌がったら婚約話を無しにしてしまいそうだ。
どちらかと言うと、私を守る為に企んだ婚約何だって事も理解している。
向こうも五月蠅い令嬢との見合いを捻じ込んで来る輩をかわしたい思惑もあると思う。
でなければ、私の顔や私自身が表舞台に立たなくても良いなんて話ないしね。
一度、会っただけの子をどう思っているんだろうか、この人は。
そっと、私はカグラを盗み見た。
にこりと人懐っこい笑顔を浮かべて、レーツェルが言った。
二人はゆったりと歩いて来て、レーツェルは笑顔を振り撒く。
片割れは、無表情。
何だ、この見事なまでの対比は。
カグラは笑顔の安売りはしないらしい。
昔、お目に掛ったのはレア度高かったのね~。
あれ?
キラキラ光る陽光の中で、並ぶ二人に違和感を見出す。
光の光彩で、髪の色が同じ様に見える。
そして、顔付も似ている。
などと不謹慎な事をぼんやり考えつつ、レーツェルに言葉を返す。
「あ、いえ、大丈夫です。庭師のお爺さんにご迷惑が掛ってしまったらって……」
「ああ! あの人の事は大丈夫だよ。殆どの学生が知っている事だけど、学院や寮にいる全ての職員は学生の動向を見守るのもお仕事だって話だから気にしないで良いと思うよ。あれも仕事の内だろうから」
「そうなんですか、解りました」
シエンがお祖父様に話しかけた理由に、しっかりと合点がいってほっとした。
「ねぇ、君の名前はなんていうの?」
ニッコリ笑顔で、私にレーツェルが問い掛けた。
「あ、はい。私は、ナツキ・タカマガハラです。今日、入寮した新入生です。どうぞ宜しくお願い致します」
深々とお辞儀をして、挨拶をする。
一応、同名だし、なんか変な事言われないかな?
ドキドキして、心臓に悪い。
「ナツキちゃんって言うのか~。ふぅ~ん、カグラの婚約者と同じ名前だね~」
レーツェルのにこやかな瞳は、笑っているのかどうか微妙な感じで地味に心臓に悪い。
「あ、はぁ、そうなんですか? あ、あと、すみませんが、ちゃん付けはご遠慮願いたいのですけど……私、未分化なんで……変化した時までちゃん付けされるのはちょっと嫌なので」
そんな婚約者なんて知らない風に装いつつ、私はちゃん付けを拒む。
首を少し傾げて、レーツェルは私に言う。
「あれ? さっき、庭師の人はお嬢さんって言ってなかったっけ?」
「急いでいたようですし、あまり未分化の事は言いたくないので……」
俯いて誤魔化しながら視線を花々に移すと、そこではソードが花にじゃれ付いていた。
普通だったら、微笑ましい光景なんだけどね~~。
今は緊迫的な状況のはずよねぇ?
あえてソードは、ニャンコらしく振舞っているのか……?
それとも単純に飽きたのか?
後で問い詰めよう。
「ま、言いたくない事や言われたくない事の一つや二つ、誰にだってあるだろうよ。追求するのは無粋だと俺は思うけどな」
顔を上げると、カグラがトンとレーツェルの肩を叩く。
「それもそうか。ごめんね、嫌な事聞いちゃって。許してくれるかな?」
ふわりと微笑みを浮かべて、レーツェルは私に言う。
なに!? この輝くような笑顔!!
は、鼻血出そう。
あ! あれれれ!?
その笑顔、昔見た事がある!
そう、拉致騒ぎの時のカグラの笑顔に似ているんだ!
訊いても良いよね? それ位。
私に色々訊いたんだから、反対に訊いたってお相子だよね、うん。
「あ、はい。その代わり一つだけ質問しても良いですか?」
「うん、いいよ」
「あの、お二人似ているって言われませんか?」
私の言葉に二人は顔を見合わせた。
レーツェルが少し苦笑しながら言う。
「あー、やっぱり似ているかな?」
「は、はい。陽光で髪の色が透かされて、並ばれるとあれ?って思う位には似てるかと」
「そっかぁ。なんか嬉しいな」
レーツェルは朗らかに応える。
「嬉しいのか? そんなもんが」
微妙に嫌な顔をするカグラに、レーツェルは少しむっとした表情をする。
「嬉しいよー。ちゃんと従兄弟なんだって思えるからさ」
「へ? 従兄弟?」
「そうだよー。僕の父とカグラの母親が兄妹なんだ。叔母上なんて呼んだら殺されかねないけどね~」
あははとレーツェルは笑う。
殺されかねないって……どんな方なの!?
まぁ、いつでも乙女で居たいのは女として理解出来るし、自分でもそう呼ばせてもおかしくないかもしれないけども。
万が一カグラと結婚になったら、お義母様になるのだから情報はあっても損はないか。
この人に惚れたらだけどね。
一応、前世込みでの精神年齢的には私が上になるから、余計冷静に物事を見ちゃうのだけど……。
まぁ、母様は私が本気で嫌がったら婚約話を無しにしてしまいそうだ。
どちらかと言うと、私を守る為に企んだ婚約何だって事も理解している。
向こうも五月蠅い令嬢との見合いを捻じ込んで来る輩をかわしたい思惑もあると思う。
でなければ、私の顔や私自身が表舞台に立たなくても良いなんて話ないしね。
一度、会っただけの子をどう思っているんだろうか、この人は。
そっと、私はカグラを盗み見た。
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