30 / 69
第2章
王立聖騎士団のナゾ
しおりを挟む
「あのなー、殺しはしないだろ、いくらなんでも。修練の追加メニューが増えるだけで」
苦笑しながらカグラが、レーツェルに突っ込みを入れる。
レーツェルは物凄く嫌そうに、カグラに言い放つ。
「地獄の追加メニューじゃないか! 騎士団の皆だって避けたがるアレだぞ!」
「騎士団?」
きょとんとする私に、二人は頷く。
「そう、僕らはここに入る前まで王立聖騎士団にいたんだ」
「でもって、俺の母は副騎士団長をしている」
「副騎士団長って……凄いですね」
何と言っていいのか分からず、感想を述べる。
「まぁ、凄いと言えば凄いよね、叔母様……じゃなくて、ニーナ副騎士団長は。あれで子持ちで宰相様の奥様だって見えないし、鬼の扱き魔だしね~」
「レーツェル、そんなこと言ってるとどこかでバレて、面倒臭い事になるから止めろ」
「どーせ、カグラは助けてはくれないよね~。僕は君の専属騎士なのにさー」
「母を止められるのは、父上だけだ」
「そうだね、宰相様と一緒の時は、鬼の副騎士団長の顔じゃなくて恋する乙女だもんな~」
「それ、本人の前で言ってみな」
「やぁだなぁ! 言えるはず無いよ。騎士団の倉庫整理を1ヶ月はさせられそうだし」
軽口を叩きながら、レーツェルはかなり過激な事を暴露する。
大丈夫なのか? ソレ一般人に広めて。
聞いては不味い事実を突き付けられたようで、背中が寒くなる。
少し心配そうに、私の顔を覗き込んで来るレーツェルに少なからずドキリとしてしまう。
「あれ? どしたの? 顔が青いよ?」
「い、いえ、大丈夫ですっ」
「お前が、いらん事を言うからだ。俺としては、さっきの話はあまりあちこちで話さないでもらえると有難い」
「はい。解りました」
「とは言え、騎士団では公然の秘密だから、実際にはそんな何か問題になるような事ではないんだけどな……」
カグラが不本意そうな、微妙な表情で私に告げる。
ああ! アレですね!
家族ネタは、触れられたくないのね!
うんうん、解る! 理解出来ます!
その気持ち!!
私も兄様の話は聞きたくないですから!
どっかで私の自慢と言うか、シスコン振りを発揮している話など耳に入れたくありませんもん。
正直、居たたまれないものね!
「ホントに君、知らないんだねー」
少しだけ驚いた表情で、レーツェルが私に向かって言った。
「ほぇ? 何がですか?」
「コイツのコト」
カグラを指差して、レーツェルは答える。
「この星の者なら、超有名人で、女は勿論目の色を変える位にしつこいし、男もお近付き出来れば色々と便宜を図って貰おうって言う、下心が無い奴を探すほうが難しいんだよ」
「そんなになんですか?」
「ああ、物凄い。知らなくても良いけど、知っておいた方がいいのかなぁ?」
うーんと、レーツェルが悩み始める。
「そうだな、知らないだけで論う馬鹿もいる」
カグラはなんて事無い風にさらっと言う。
「じゃ、教えとこっか。えっと、僕とカグラの祖父は王立聖騎士団総長で、カグラにとっては叔父、僕の父親だけど騎士団長で、カグラの母で僕の叔母様は副騎士団長なんだよ。家の家系はね、代々騎士の家系なんだ」
「俺の母は、俺の父が王太子であった頃、セリティア陛下の護衛をしていて、何を血迷ったのか恋人になって……宰相の座に父が就任する時に結婚した。身分違いとか言われてたが『彼を守れもしない女が隣に立つべきじゃない』と、周囲を一刀両断にして黙らせた逸話がある」
「そうそう。僕の父はその現場を目撃していて詳しく話を聞いたけど、剣でカタを付けるって騎士団の訓練場を使って1対50で勝ったんだってさ。宰相を狙っていた令嬢からは腕の立つ者を出し、叔母様に膝をつかせてみたいと思う子息や騎士も入り乱れての壮絶バトルで、負けた者を踏み付けて立つ鬼神の如き女神と異名さえ頂いた程の人なんだよねー。騎士団で記念にってその映像は保管されているらしいけど……ま、副騎士団長の地位にいてもおかしくない位に実力はある人なんだ」
レーツェルは笑いながら言うが、内容にはぶっちゃけ引いた。
どこの無双ですか。一騎当千ですか!?
勝ち抜きバトルでも、50人抜きは物凄過ぎる。
あまりの伝説っぷりに私は唖然とする。
それはもう、ぽかーんと。
苦笑しながらカグラが、レーツェルに突っ込みを入れる。
レーツェルは物凄く嫌そうに、カグラに言い放つ。
「地獄の追加メニューじゃないか! 騎士団の皆だって避けたがるアレだぞ!」
「騎士団?」
きょとんとする私に、二人は頷く。
「そう、僕らはここに入る前まで王立聖騎士団にいたんだ」
「でもって、俺の母は副騎士団長をしている」
「副騎士団長って……凄いですね」
何と言っていいのか分からず、感想を述べる。
「まぁ、凄いと言えば凄いよね、叔母様……じゃなくて、ニーナ副騎士団長は。あれで子持ちで宰相様の奥様だって見えないし、鬼の扱き魔だしね~」
「レーツェル、そんなこと言ってるとどこかでバレて、面倒臭い事になるから止めろ」
「どーせ、カグラは助けてはくれないよね~。僕は君の専属騎士なのにさー」
「母を止められるのは、父上だけだ」
「そうだね、宰相様と一緒の時は、鬼の副騎士団長の顔じゃなくて恋する乙女だもんな~」
「それ、本人の前で言ってみな」
「やぁだなぁ! 言えるはず無いよ。騎士団の倉庫整理を1ヶ月はさせられそうだし」
軽口を叩きながら、レーツェルはかなり過激な事を暴露する。
大丈夫なのか? ソレ一般人に広めて。
聞いては不味い事実を突き付けられたようで、背中が寒くなる。
少し心配そうに、私の顔を覗き込んで来るレーツェルに少なからずドキリとしてしまう。
「あれ? どしたの? 顔が青いよ?」
「い、いえ、大丈夫ですっ」
「お前が、いらん事を言うからだ。俺としては、さっきの話はあまりあちこちで話さないでもらえると有難い」
「はい。解りました」
「とは言え、騎士団では公然の秘密だから、実際にはそんな何か問題になるような事ではないんだけどな……」
カグラが不本意そうな、微妙な表情で私に告げる。
ああ! アレですね!
家族ネタは、触れられたくないのね!
うんうん、解る! 理解出来ます!
その気持ち!!
私も兄様の話は聞きたくないですから!
どっかで私の自慢と言うか、シスコン振りを発揮している話など耳に入れたくありませんもん。
正直、居たたまれないものね!
「ホントに君、知らないんだねー」
少しだけ驚いた表情で、レーツェルが私に向かって言った。
「ほぇ? 何がですか?」
「コイツのコト」
カグラを指差して、レーツェルは答える。
「この星の者なら、超有名人で、女は勿論目の色を変える位にしつこいし、男もお近付き出来れば色々と便宜を図って貰おうって言う、下心が無い奴を探すほうが難しいんだよ」
「そんなになんですか?」
「ああ、物凄い。知らなくても良いけど、知っておいた方がいいのかなぁ?」
うーんと、レーツェルが悩み始める。
「そうだな、知らないだけで論う馬鹿もいる」
カグラはなんて事無い風にさらっと言う。
「じゃ、教えとこっか。えっと、僕とカグラの祖父は王立聖騎士団総長で、カグラにとっては叔父、僕の父親だけど騎士団長で、カグラの母で僕の叔母様は副騎士団長なんだよ。家の家系はね、代々騎士の家系なんだ」
「俺の母は、俺の父が王太子であった頃、セリティア陛下の護衛をしていて、何を血迷ったのか恋人になって……宰相の座に父が就任する時に結婚した。身分違いとか言われてたが『彼を守れもしない女が隣に立つべきじゃない』と、周囲を一刀両断にして黙らせた逸話がある」
「そうそう。僕の父はその現場を目撃していて詳しく話を聞いたけど、剣でカタを付けるって騎士団の訓練場を使って1対50で勝ったんだってさ。宰相を狙っていた令嬢からは腕の立つ者を出し、叔母様に膝をつかせてみたいと思う子息や騎士も入り乱れての壮絶バトルで、負けた者を踏み付けて立つ鬼神の如き女神と異名さえ頂いた程の人なんだよねー。騎士団で記念にってその映像は保管されているらしいけど……ま、副騎士団長の地位にいてもおかしくない位に実力はある人なんだ」
レーツェルは笑いながら言うが、内容にはぶっちゃけ引いた。
どこの無双ですか。一騎当千ですか!?
勝ち抜きバトルでも、50人抜きは物凄過ぎる。
あまりの伝説っぷりに私は唖然とする。
それはもう、ぽかーんと。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜
秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。
そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。
クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。
こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。
そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。
そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。
レベルは低いままだったが、あげればいい。
そう思っていたのに……。
一向に上がらない!?
それどころか、見た目はどう見ても女の子?
果たして、この世界で生きていけるのだろうか?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う
夜詩榮
ファンタジー
あらすじ
現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。
登場人物
主人公
名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力
リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 響ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。
アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 奏かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる