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第2章
初授業は良く聞きましょう
しおりを挟む「魔法具召喚」
私が呼ぶと、目の前の空間にふわふわ浮かんで出現する、シルバーリング。
表立っての魔法具は、銀の指輪という事にしたのだ。
他のブレス、ネックレス、イヤーカフスは、最初から装着済みである。
ちなみにブレスとネックレスは、服の下に隠してるけどね~。
「それがナツキのマジックアイテムなんや?」
「うん、そうだよ~」
リョウの問い掛けにのんびり返答しながら、ブレスを着けている右手の薬指に指輪をはめる。
「リョウのは?」
「ワイのはオーソドックスな魔法使いの杖や」
艶やかな木の様な素材で出来た30センチ位の杖を指先で、くるくるっとバトンの様に回す。
杖には力ある魔法言葉が文様の様に刻まれている。
「ふぅん。そうなると、二人は防御系って感じかな?」
割り込む様に、レーツェルが私達の間に入ってくる。その手には先日見かけた剣があった。
「レーツェルさんは、剣なんや」
「さんは不要だよ。呼び捨てで構わないからね」
「ほな、そうさせてもらうわ」
「あ、カグラに対しても敬語とか不要だよ~。ね、カグラ!」
カグラにレーツェルが問い掛けると、頷いて答える。
「ああ、この学院では、身分は関係ないからな」
淡々と言いながら、腰あたりに巻かれたホルスターに黒い銃を仕舞い込む。
それを見た、リョウが顔を引き攣らせる。
「なんや、エライ物騒なモン持ってへんか?」
「ああ、俺のマジックアイテムだから仕方ない」
「あはは。カグラのは特別仕様だからねぇ。騎士団でも異色だったもんね~。騎士の剣と魔法銃を使って翻弄するんだよ~。無駄に強いし、僕もそれなりには強いけど違う意味で反則的なんだよねー、アレは」
なんて事の無い感じでカグラが話すと、レーツェルが微妙に茶化す。
――――むしろ二人だけで、勝ち抜けるんじゃないの……?
何て言うか、ホント厄介な二人組だよね!
パンパンパン! と、シエンが手を叩いて生徒の気を引く。
「それじゃ、まずは、1人に対して3人がサポートをして魔法を行使して貰います。もし何かあれば、控えている他の先生方に質問等しても構いません。取りあえず、一番引き出しやすい元素属性の魔法を行使しなさい。例えば、水なら大気中の水の元素に働きかけ、掌に水を集めるとかね。こんな風に……」
シエンの右掌から滴り落ちる水。
シエンは水を払う様に右手を振る。
「と、まぁこの様に、すればいいのよ。解らなかったら声を掛けなさい。他のグループに干渉しない様に4、5メートルの距離を取りなさい。それでは、始め!!」
わらわらと、グループが散らばって行く。それに倣う様に私達も他のグループとの距離を取って行く。
カグラが誘導する様に一番前を歩いて行く。その先は、訓練用の校庭の端っこだった。
校庭の境目には、植込みの花を弄る庭師の老人が一人。この学院の最大権力者がいた。
――――あう~。心配なのね、御祖父様……。
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