Our place ~転生乙女のジュラーレ魔法学院の日常~

龍希

文字の大きさ
47 / 69
第2章

初授業は全力で取り組め!

しおりを挟む
「誰からやるんや?」
 リョウはカグラ、レーツェル、私と順番に見遣りながら問う。

「二人の内どっちかだよね、カグラ?」
「そうだな、俺達はこの程度だとお遊びにもならないからな」
 カグラとレーツェルは、顔を見合わせてからリョウを見て言った。

「お遊びって……」
「なんや、ワイらバカにされとる?」
「えー、僕等、馬鹿にしてないよ! 騎士団で基礎どころかそれなり(?)に叩き込まれてるからサポートの方が、二人とも安心でしょ?」
「だな。万一暴走しても余程な事が無い限り抑えられる」
「暴走って……」
「二人とも気付いてないかもしれないけど、通常の魔力量が一般的な人より多めなんだよ?」
「そして、日常的に魔法を使った事がないだろう? 違うか?」
「あ~、使うてないなぁ」
「……初チャレンジです……」
 カグラとリョウの容赦ない質問に、私達はそう正直に答えてしまう。

 ちらりと横目で見るとリョウは頭をガシガシ掻いて、苦い顔をしている。
 私もまた二人を直視出来ず、俯いてしまう。

 だって、暴走させた事あるもの……。
 王宮の結界をぶっ壊しましたよ。
 命の危機でやっちゃったけど、デストロイヤーな自分に地味に凹むわ~~。

「まぁ、それが普通なんだけどね~。だから、安心して僕等にサポートされてね?」
 明るい声でレーツェルが私達に告げてくれる。
 そろりと顔を上げると、安心させてくれるような微笑みを湛えてレーツェルが私達を見詰めていた。

 カグラが少し思案した後に提案してくる。
「……なら、リョウからしていくか。イメージし易い元素属性は?」
「風か、水か、土か、やな」
「土なら、地面から地柱を伸ばすか。風なら大気を魔法具に纏わせたりするか、掌に小さな旋風を起こしたりするかって感じか。水ならさっきのシエン先生の様にするかだな」
「ねぇ、カグラ。リョウの魔法具は杖だからさ、水だったら杖の軌跡に辿らせる様にして、水の文字とかを描くのも良いと思うけど?」
「それも悪くないな」
「どうする? リョウ」

 カグラ達の言葉を吟味してから、リョウが答えた。
「そやなぁ。水がええな。水で文字ってのがええ」
 リョウはその手で、くるんと杖を回転させてからしっかりと握りこむ。
 その眼には力が宿ったように見えた。

 リョウのやる気を感じたのか、レーツェルは声を掛けた。
「それじゃ、陣を組もうか。僕とカグラはリョウの左右に立つね。ナツキはリョウの前に立ってね」
「うん、分かった。立つだけでいいの?」
「ああ、そうだ。特にやる事はないが、魔力の流れを感じたり見たりするのも勉強だからな」
 カグラの助言に勉強になるなぁと思いながら、私は3人分位の距離を空けてリョウの前に立つ。
 カグラとレーツェルは一人分の間を空けて立つ。

「それじゃ、僕が周囲に簡易結界を張って置くね」
 レーツェルは、いつの間にか腰に佩いた剣をスラリと抜き放つ。
 クルッと剣の切っ先を地面へと向けて突き刺す。
防御結界展開シールド

 ふわっと、紗がかかる様なそんな感覚がした。
 周囲をぐるりと見回すと、ほんの僅かだが霞みかかったシャボン玉みたいに、半円の壁の様にも見えるものが、外と隔たりを作っていた。私達の4人だけの特別な空間だ。
 レーツェルを見遣ると、剣を地面から引き抜いて鞘に収める。

「これでちょっとしたものなら、防げるよ~」
「力加減を間違えてもそうそう壊れないだろうから、気負わずやればいい」
 にこやかにレーツェルが言い、カグラもまた太鼓判を押した。

 その言葉に背中押されたリョウは、にやりと笑って。
「ほな、いっちょ頑張ってみるわ」
 と、宣言する。

 リョウがすぅっと、深呼吸して呼吸を整えると目付きが真剣なものに変わる。
「大気に宿りし水よ、我に従え」
 魔法の杖をタクトの様にゆっくりと動かしていく。

 水がまるでリボンの様に、杖の先から軌跡を描いていく。
 キラキラ光る水の絵画。
 思わず見入ってしまいそうになる。

――――はっ! いけない、いけない。魔力の流れを見なければ!

 淡く光る杖の先。
 杖の先から流れ出る、魔力の欠片が水の軌跡を作っていくのが何と無くだが感じ取れた。
 描かれた軌跡に宿る微弱な魔力。
 幼い頃に見た、女王陛下やカグラの圧倒的な存在感や威圧感のする魔法ではないけど……リョウの魔力は弱いが、キラキラ光る水と同じに惹き付けられる様な魅力的な力だった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...