悪役にされた令嬢は、阿呆共に報復する

龍希

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粛正の六重奏4

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 「…………なぜと、思いたいのは余だけではないのだろうな。エメルとイミテは同じ環境で育っていたのに、正反対になってこのような騒ぎを起こすとはな」
 堪えきれずに漏れる国王の苦悩を、宰相が宥める。
「陛下、こればかりは本人の意思の結果ですよ。私達ではどうにもなりませんよ。幸い、今回の件で問題の者達の首に鈴を付けられましたし、エメル様の立太子も滞りなく出来ましょう。本当にエルーシャ殿下には心より御礼申し上げる次第です」
 ペコリと頭を下げる宰相に、エルーシャは苦笑を返す。

「これで良かったのですか……?」
 何とも言い難い現状に、エルーシャとしては後味が悪く、帝国の王太子としては甘い判断と言う矛盾を抱えていた。
 しみじみと頷いて宰相は口を開く。
「ええ、勿論で御座います。何分、王妃様が追い詰められておりまして、エメル様が抑えて下さいましたから何とか穏便に済んでいましたが、あの娘が現れてから息子を殺して自分も死ぬ覚悟をなさっており、殿下のおかげで本当の意味での最悪の結果は免れました。エルーシャ王太子殿下には感謝しか御座いません」
「でも、良いのですか? この国の重要機密を易々と話しても」
「今更、一つや二つ暴露が増えた所で何が変わる訳でもないでしょう。公爵家と王家から協力要請したとは言えど、迷惑を被った当事者であるのが、エルーシャ殿下ですから下手に隠しだてをする方が問題でしょう。帝国に対して後ろ暗いモノを抱えていては、次代の時に重荷になります。ならば、初めからさらけ出しておくに越したことはないでしょう」
 宰相の清々しいほどの開き直った言い訳に、エルーシャは納得した。
「隠せば隠すほどに弱点になりますものね」
 自浄力ないものほど、後ろ暗い事を隠蔽するのは世の常かもしれない。臭いものには蓋をする……などと言うが、実際に最終兵器的なものになれば、蓋をする意味は実はないのかもしれない。どんなに隠そうが隙間から漏れだして、結局は表沙汰になるものだから。
 それが、国であれば被害は天井知らずに跳ね上がってしまう下手をすれば国が傾き滅びかねない。
 正そうとする者がいるかどうかと、きちんと把握して努力を怠らなければ如何様にもなっていくものだ。

 瞼を閉じ、そっと息をはいてエルーシャは言う。
「気持ちと現実はままなりませんわね」
 彼らの自業自得とは言えども、周囲の人の思いと心労はいかばかりかと思うと心が痛むが、権力を持つ者としての心構えはこの国王から大いに学ぶべき事として、エルーシャはしっかりと心に刻んだのだった。
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