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事後処理をする人々3

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「なんで私がそんな所に行かないといけないのよ!」
 青ざめながらもカルミアは、反論する。
「何故か? 自分のやった事が分からないとはな。馬鹿兄貴と同じだな」
 ゴミでも見る様な眼で、エメル王子はカルミアを見ている。隣の宰相が追随する。
「それは、貴方達がやった事は『国家反逆罪』だからですよ。まぁ、他にも余罪がありましたしね。命まで取れと言う者もおりましたよ? もしかしてそちらの方がお好みでしたかな」
 嫌味も盛り込み、宰相はカルミアに言う。
「帝国の王太子を害そうとしたのですから当たり前です。その気になれば帝国はこの国を属国にするのも、征服するのも訳ないでしょう。もっとも王太子はそんな事を望んではいませんでしたから、貴方達の命は奪われなかったのですよ。まぁ、幽閉だけで済ませるにしても問題だらけなので、首輪は付けます」
「……くびわ?」
 青を通り越して、真っ白になりながらカルミアが呟いた。
「首輪は隠語です。罪人の烙印であり、それは魔術でどこにいるのかが分かるのです。便利でしょう? やりなさい」
 宰相が命令を出す。女性騎士が動き男性二人の視界を塞ぐ様に立つ。カルミアの胸元に手を掛ける。元々胸を強調する様に作ってあるドレスである。左胸をはだけさせるのは容易に出来た。全てを晒さずにギリギリのラインまで引き下ろし、すかさずもう一人が黒い石を左胸にくっ付ける。
「罪禍の華よ、開け。この者に楔を穿て。生ある限り違えぬ誓いとなれ」
 女性騎士が術式を唱える黒い石を中心に波状の赤黒い紋様が発生した。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
 石は胸元に沈み込みながら、赤黒い花を咲かせる。
 激痛がカルミアを襲う。ガチャガチャと手枷を動かし暴れる。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 一際甲高い絶叫を上げて、カルミアは気絶した。
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