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1話:当たったのはハワイ旅行…のはずだった
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以前、【異世界召喚されたらいきなり王女に改造されました!後継者の座争奪戦に私は勝つ!】というタイトルで書いていた小説(現在削除済み)の、見直し・再構成・書き直した版になります。ナントナク読んだことあるかな?と思った方、今度は最後までバッチリなので、よろしくお願いします!
***************
放課後、制服のまま商店街へ立ち寄ったカエは、福引会場で抽選器を回していた。
ぐるっと回ると、金色の抽選玉がポロリする。その瞬間、酒屋のおやじがアタリ鐘をぶん回しながら絶叫した。
「うおおおおおっ! 大当たりーっ! カエちゃん一等賞おめでとう!」
「は? は!? ハワイって、あのハワイ!?」
「キャアアッ! キマシタワ一等賞!!」
制服のスカートを翻しながら、カエは跳ねるように喜んだ。
「ウソ、ヤバくないこれ! 私海外なんて行ったことないよ!」
手にしたハワイ行航空チケットが、夕陽を浴びて煌めく。
(放課後商店街へ寄り道したら、この幸運!)
「フッ、今日の私は、きっと幸運日に当たったんだな!」
握り拳が感動で震える。
未だ見ぬハワイに思いを馳せ、嬉しさに顔を輝かせていたその時だった。
足元が、コツンと叩かれたように揺れた。
「なに?」
最初は誰かのいたずらかと思ったが、それは次の瞬間にはっきりと「違う」と判った。
笑い声もBGMもぷつんと消えた。辺りは漆黒に染まり、背筋に冷たいものが這う。
世界が、グニャリと歪んだ。
「うあっ」
足元に光る図形が浮かび上がり、そして激しく吸い込まれた。
グラグラ揺れていた意識が落ち着いてきて、カエは薄っすら目を開くと、
「召喚成功~♪」
「ちょうどよさそうな女子じゃの」
「へ?」
至近距離に美女が顔を寄せていた。
(……えっと、なにこの状況!?)
カエは、ぎょっとして目を見張った。
「ねえあなた、喉が渇いたでしょう。これはカリオフィラス領で採れたブドウで造ったジュースよ、飲んで飲んで」
唐突にブドウジュースの入ったグラスを突き付けられ、勢いで思わず手に取ってしまう。
「美味しいからね」
「は、はぁ…」
親し気にニコニコ微笑んでいる美女の、その笑顔に何か不審なものを感じた。
けれど、喉が渇いていた。グラスから甘い匂いがする――断る理由もない。
勧められるまま、そっと口をつけた。
ゴクッと喉を鳴らした時、いきなり心臓が強く跳ね、ドクンと鼓動が上がる。視界が一気に狭まり、耳の奥で「カッ」と弾ける音がした。
喉を押さえ、前のめりに倒れた。
(な…なにが…)
――そこから先は、痛みの連続だった。
全身にビリビリと衝撃が走り抜け、強烈な痛みが身体中に襲い掛かった。
「い…たい」
今まで味わったことのない強烈な痛み。まるで身体のあちこちを引き裂かれているようだ。そして内臓がうねり、筋肉までもがボコボコと踊りだした。
血が湧きたち、骨の隙間に熱い針を何本もねじ込まれていくような、そんな痛みだった。
カエは涙と涎をまき散らし、グネグネと身体を暴れさせた。
「うぐふぁぅ、ごぶぁ」
悲鳴とも呻きともとれない雑音が、締め付けられるような喉から漏れ出す。
(毒を飲まされたんだ…毒を…)
死んでもおかしくないほどの痛み。
永劫に続くと思われたが、次第に痛みが和らぎ薄れ、「ヒュー、ヒュー」と呼吸も落ち着きを取り戻す。身体は小刻みに、何度も痙攣を繰り返した。
(あれ…毒じゃないのかな…)
「カルリトス、どうかしら?」
「うむ、適性があったんじゃの、大成功じゃ」
「まあ嬉しい。13人目でやっと成功したのね、よかったわ」
(なにが…)
目の前の世界は歪み、再び闇に飲み込まれていった。
やがて目が覚めると、全身に怠さが残っている。ベッドに寝かされている、と気付くのが少し遅れた。
意識がはっきりしなかったが、取り合えず身体を起こす。そしてベッドから這い出し、目の前の状況に目と口があんぐり開く。
「…マ、マハラジャ~??」
壁や天井は黄金でキンキラキン、テーブルや椅子も黄金で高級感。床は深紅の絨毯、虎を一頭毛皮をまるごと剥いだような敷物まである。
昔見たインド映画に出てきた、マハラジャの宮殿の一部みたいな感じで、感激を通り越して口がひきつった。
「ははっ、寝てる間に王族に転生したとか?」
非現実な光景に、頭がついてこない。フラフラと室内を歩き、そして姿見の鏡を見つけて前に立つ。
「ンなっ!」
鏡に映った自分を見て、カエはギョッと目を剥いた。
黄緑色と緑色の中間くらいの明るい緑色の髪に、やや褐色の肌。宝石のように澄んだ青い瞳、今までとは違う顔立ち。
「ちょっと待って誰!? これ絶対ヤバイってば!」
バンッと鏡に両掌を打ち付けた。
「いくら田舎のジョシコーセーでもこの見た目は校則違反過ぎるよ!」
「私まだ一年生だよ、これじゃ停学処分か退学になっちゃうじゃん…」
不安げに、髪や顔を何度も触る。
「お母さんもお父さんも、ショックでぶっ倒れちゃう」
カエの懊悩に、うふふっと笑い声が重なる。
「あらあら大丈夫よ。もう学校へ戻らなくていいんだから」
「なぬ?」
声のほうを振り向くと、ゴージャスなキンキラ派手衣装に身を包んだ美女が、輝く笑顔を張り付けて立っている。
「あ、ジュースの人!」
美女を指さしてカエは叫んだ。
「申し遅れました。わたくしの名はバークティ・ミラージェス、あなたをこの世界に召喚した、イリスアスール王国の妃の一人よ」
「ナンデスト?」
――こうして、ハワイのさらに上を行く”異世界”を引き当てたカエの冒険が、幕を開けた。
**********
毎日22時に更新しています。
続きが気になる方は、ブクマしていただければ、読み逃しも防げて便利です◎
全話完結済みの安心仕様ですので、ぜひお付き合いください。
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放課後、制服のまま商店街へ立ち寄ったカエは、福引会場で抽選器を回していた。
ぐるっと回ると、金色の抽選玉がポロリする。その瞬間、酒屋のおやじがアタリ鐘をぶん回しながら絶叫した。
「うおおおおおっ! 大当たりーっ! カエちゃん一等賞おめでとう!」
「は? は!? ハワイって、あのハワイ!?」
「キャアアッ! キマシタワ一等賞!!」
制服のスカートを翻しながら、カエは跳ねるように喜んだ。
「ウソ、ヤバくないこれ! 私海外なんて行ったことないよ!」
手にしたハワイ行航空チケットが、夕陽を浴びて煌めく。
(放課後商店街へ寄り道したら、この幸運!)
「フッ、今日の私は、きっと幸運日に当たったんだな!」
握り拳が感動で震える。
未だ見ぬハワイに思いを馳せ、嬉しさに顔を輝かせていたその時だった。
足元が、コツンと叩かれたように揺れた。
「なに?」
最初は誰かのいたずらかと思ったが、それは次の瞬間にはっきりと「違う」と判った。
笑い声もBGMもぷつんと消えた。辺りは漆黒に染まり、背筋に冷たいものが這う。
世界が、グニャリと歪んだ。
「うあっ」
足元に光る図形が浮かび上がり、そして激しく吸い込まれた。
グラグラ揺れていた意識が落ち着いてきて、カエは薄っすら目を開くと、
「召喚成功~♪」
「ちょうどよさそうな女子じゃの」
「へ?」
至近距離に美女が顔を寄せていた。
(……えっと、なにこの状況!?)
カエは、ぎょっとして目を見張った。
「ねえあなた、喉が渇いたでしょう。これはカリオフィラス領で採れたブドウで造ったジュースよ、飲んで飲んで」
唐突にブドウジュースの入ったグラスを突き付けられ、勢いで思わず手に取ってしまう。
「美味しいからね」
「は、はぁ…」
親し気にニコニコ微笑んでいる美女の、その笑顔に何か不審なものを感じた。
けれど、喉が渇いていた。グラスから甘い匂いがする――断る理由もない。
勧められるまま、そっと口をつけた。
ゴクッと喉を鳴らした時、いきなり心臓が強く跳ね、ドクンと鼓動が上がる。視界が一気に狭まり、耳の奥で「カッ」と弾ける音がした。
喉を押さえ、前のめりに倒れた。
(な…なにが…)
――そこから先は、痛みの連続だった。
全身にビリビリと衝撃が走り抜け、強烈な痛みが身体中に襲い掛かった。
「い…たい」
今まで味わったことのない強烈な痛み。まるで身体のあちこちを引き裂かれているようだ。そして内臓がうねり、筋肉までもがボコボコと踊りだした。
血が湧きたち、骨の隙間に熱い針を何本もねじ込まれていくような、そんな痛みだった。
カエは涙と涎をまき散らし、グネグネと身体を暴れさせた。
「うぐふぁぅ、ごぶぁ」
悲鳴とも呻きともとれない雑音が、締め付けられるような喉から漏れ出す。
(毒を飲まされたんだ…毒を…)
死んでもおかしくないほどの痛み。
永劫に続くと思われたが、次第に痛みが和らぎ薄れ、「ヒュー、ヒュー」と呼吸も落ち着きを取り戻す。身体は小刻みに、何度も痙攣を繰り返した。
(あれ…毒じゃないのかな…)
「カルリトス、どうかしら?」
「うむ、適性があったんじゃの、大成功じゃ」
「まあ嬉しい。13人目でやっと成功したのね、よかったわ」
(なにが…)
目の前の世界は歪み、再び闇に飲み込まれていった。
やがて目が覚めると、全身に怠さが残っている。ベッドに寝かされている、と気付くのが少し遅れた。
意識がはっきりしなかったが、取り合えず身体を起こす。そしてベッドから這い出し、目の前の状況に目と口があんぐり開く。
「…マ、マハラジャ~??」
壁や天井は黄金でキンキラキン、テーブルや椅子も黄金で高級感。床は深紅の絨毯、虎を一頭毛皮をまるごと剥いだような敷物まである。
昔見たインド映画に出てきた、マハラジャの宮殿の一部みたいな感じで、感激を通り越して口がひきつった。
「ははっ、寝てる間に王族に転生したとか?」
非現実な光景に、頭がついてこない。フラフラと室内を歩き、そして姿見の鏡を見つけて前に立つ。
「ンなっ!」
鏡に映った自分を見て、カエはギョッと目を剥いた。
黄緑色と緑色の中間くらいの明るい緑色の髪に、やや褐色の肌。宝石のように澄んだ青い瞳、今までとは違う顔立ち。
「ちょっと待って誰!? これ絶対ヤバイってば!」
バンッと鏡に両掌を打ち付けた。
「いくら田舎のジョシコーセーでもこの見た目は校則違反過ぎるよ!」
「私まだ一年生だよ、これじゃ停学処分か退学になっちゃうじゃん…」
不安げに、髪や顔を何度も触る。
「お母さんもお父さんも、ショックでぶっ倒れちゃう」
カエの懊悩に、うふふっと笑い声が重なる。
「あらあら大丈夫よ。もう学校へ戻らなくていいんだから」
「なぬ?」
声のほうを振り向くと、ゴージャスなキンキラ派手衣装に身を包んだ美女が、輝く笑顔を張り付けて立っている。
「あ、ジュースの人!」
美女を指さしてカエは叫んだ。
「申し遅れました。わたくしの名はバークティ・ミラージェス、あなたをこの世界に召喚した、イリスアスール王国の妃の一人よ」
「ナンデスト?」
――こうして、ハワイのさらに上を行く”異世界”を引き当てたカエの冒険が、幕を開けた。
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