片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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番外編・2

コッコラ王国の悲劇・24

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 14時に衝突したコッコラ王国軍とハワドウレ皇国軍は、3時間の間に勢力図を大きく塗り替えていた。

 コッコラ王国は本軍1万、傭兵たちの軍団3部隊の総数3万、計4万の兵力。

 ハワドウレ皇国軍は、第一部隊、第五部隊、第六部隊の各正規部隊が6万ずつ、ダエヴァ第二部隊2万の兵が分散して各部隊に散り、計8万の兵力。

 このうちコッコラ王国軍は本軍を温存して動かず、やく21万人もの兵たちが刃を交えていた。

 兵力の上では圧倒的にハワドウレ皇国軍が勝るが、戦士としての質からすると、圧倒的にコッコラ王国側に分があった。

 傭兵たちは戦闘スキル〈才能〉や戦闘に向いている特殊スキル〈才能〉を持つ者、戦場で生き抜き戦える術を持つ経験者が圧倒的に多い。

 人間は一つの突出した能力『スキル〈才能〉』を必ず授かって生まれてくる。その種類は多種多様で、中でも戦闘スキル〈才能〉が最も多い。

 そして授かってきたスキル〈才能〉とは違うものを目指そうとしても、けして極めることも上達することもできない。持って生まれたそのスキル〈才能〉で生き方が決まると言っていい。

 戦闘スキル〈才能〉を活かせる場所は軍隊か傭兵だ。それ以外となると、あまり褒められた生き方を選べない。大抵の者はどちらかを選択する。

 しかし軍隊は全てを戦闘スキル〈才能〉や特殊スキル〈才能〉持ちだけで埋めることは難しい。その為徴兵制度を使って、戦闘には向かないスキル〈才能〉の者まで組み込んでしまう。そこに圧倒的な差が生まれ、傭兵たちは見逃さなかった。

 開戦してすぐに狙われたのは、戦闘スキル〈才能〉を持たない徴兵たちである。傭兵たちは躊躇なく、徴兵たちを徹底して倒して回った。

 ハワドウレ皇国軍の布陣は、前面に剣や槍を持たせた徴兵を置いている。その後ろに重火器兵、魔法やサイ《超能力》の特殊スキル〈才能〉兵、そして徴兵たちとは違って近接戦闘に特化した正規の軍人たちが並ぶ。

 捨て駒になるべく立たされている徴兵たちだったが、それでも謀反の属国相手に、正規の軍人たちが最初から正面衝突することは許されていない。

 徴兵たちが為すすべもなく傭兵たちに倒されてくため、ダエヴァがフォローに回るが、あまり助けにはなっていなかった。それと同時にダエヴァが戦闘の矢面に立たされ、傭兵たちとぶつかり、数を減らされていく羽目に陥っている。

 徴兵たちがほぼ壊滅して、正規の軍人たちが表に出ざるを得なくなり、これでいよいよ戦場は活気づいた。

 売名行為を最大の目標としているライオン傭兵団は、徴兵たちには目もくれず、正規部隊の軍人たちを視野において動き回っていた。戦闘の素人である徴兵たちを倒したところで、名が売れるわけでも知れ渡るわけでもない。むしろ、弱い者いじめとして名が知れてはたまったものじゃない。

 ライオン傭兵団の中で、カーティス、シビル、ハーマン、ランドンは魔法部隊出身。ギャリー、タルコット、メルヴィン、ザカリーは正規部隊出身。マリオンはダエヴァ兼楽士隊出身、ルーファスは宮廷騎士出身である。

 今敵対しているハワドウレ皇国軍は古巣であり、今も顔見知りは沢山いる。とくにカーティスは魔法部隊の長官職を務めていたこともあるし、タルコット、メルヴィンの二人は皇国軍五指に入る実力の持ち主と有名なのだ。
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