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エルアーラ遺跡編
episode412
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「だったら早く中枢部を見つけて、ソレル国王たちを始末しないと、いつになったらリッキーさんと合流できるんだか……。私は彼女の身が心配で心配でならないのです」
はぁ…とアルカネットは切なげに息をつく。
「俺のほうがお前より、もっともっともっともーーーっと心配している!」
こっから、このくらーいと走り出しそうなベルトルドの胸ぐらを掴んで、アルカネットはグイッと自分のほうへ引っ張り寄せた。
「とっととサイ《超能力》を使って探せや、こら」
凄みを増す表情を間近に突きつけられて、ベルトルドはぴくぴく眉をひきつらせた。
その時――
「そのようなところでお戯れか? 皇国副宰相……名はなんといったかな。下賤の者の名前は覚えにくいゆえ」
見下すような男の声が投げかけられ、ベルトルドとアルカネットは揃って声のほうへ顔を向けた。
天井付近のそこには、小さな銀の球体が浮かんでいる。男の声はその球体から聞こえてきていた。
中心に小型レンズがついていることから、おそらく遠隔操作による偵察機だろう。
2人はしばし沈黙していたが、アルカネットに胸ぐらを掴まれたまま、ベルトルドはニヤリと口の端を歪めて球体を見据えた。
「いいタイミングで見つけてくれたな、ソレル国王」
その瞬間、ベルトルドとアルカネットの姿が消えた。
「なんだと?」
モニターに映し出されていたベルトルドとアルカネットの姿が忽然と消えて、ソレル国王は驚いて目を見開いた。
「別に手品じゃないぞ。本当に助かった、見つけてもらえて。実は思いっきり迷子になっていたんだ」
背後から聞こえる明るいその声に、ソレル国王はゆっくりと首を巡らせた。
「俺は空間転移が出来るからな、そちらの居場所を辿って飛んできただけだ」
いつの間にかソレル国王の背後に、皮肉な笑みを浮かべるベルトルドとアルカネットが立っていた。
小型偵察機を通じてカメラの向こう側にいるソレル国王を透視し、ベルトルドはそこへ空間転移したのだ。
サイ《超能力》を持つベルトルドの優秀さは、世界でもよく知られている。しかし空間転移についてはあまり知られていないようで、サイ《超能力》を持つソレル国王も初めて目にした。
(しかしこの男……)
ソレル国王は不愉快そうに顎を引いた。
王を前にして跪かず、尊大な態度で睥睨するようなベルトルドを、ソレル国王は忌々しげに睨みつけた。無礼にも程がある。
「下郎ども……」
「そんなに褒めてくれるな、照れるじゃないか」
「別に褒めてなんていませんよ?」
「いちいちツッコむな! ちっとも決まらんだろうが」
「はいはい」
アルカネットは肩で息をついてみせた。
どんな時でも、どんな場所でも、2人の会話はボケとツッコミを忘れない。忘れたくともほとんど条件反射でそうなってしまうことは、ソレル国王は知らない。というより、当人たちが気づいていなかった。
はぁ…とアルカネットは切なげに息をつく。
「俺のほうがお前より、もっともっともっともーーーっと心配している!」
こっから、このくらーいと走り出しそうなベルトルドの胸ぐらを掴んで、アルカネットはグイッと自分のほうへ引っ張り寄せた。
「とっととサイ《超能力》を使って探せや、こら」
凄みを増す表情を間近に突きつけられて、ベルトルドはぴくぴく眉をひきつらせた。
その時――
「そのようなところでお戯れか? 皇国副宰相……名はなんといったかな。下賤の者の名前は覚えにくいゆえ」
見下すような男の声が投げかけられ、ベルトルドとアルカネットは揃って声のほうへ顔を向けた。
天井付近のそこには、小さな銀の球体が浮かんでいる。男の声はその球体から聞こえてきていた。
中心に小型レンズがついていることから、おそらく遠隔操作による偵察機だろう。
2人はしばし沈黙していたが、アルカネットに胸ぐらを掴まれたまま、ベルトルドはニヤリと口の端を歪めて球体を見据えた。
「いいタイミングで見つけてくれたな、ソレル国王」
その瞬間、ベルトルドとアルカネットの姿が消えた。
「なんだと?」
モニターに映し出されていたベルトルドとアルカネットの姿が忽然と消えて、ソレル国王は驚いて目を見開いた。
「別に手品じゃないぞ。本当に助かった、見つけてもらえて。実は思いっきり迷子になっていたんだ」
背後から聞こえる明るいその声に、ソレル国王はゆっくりと首を巡らせた。
「俺は空間転移が出来るからな、そちらの居場所を辿って飛んできただけだ」
いつの間にかソレル国王の背後に、皮肉な笑みを浮かべるベルトルドとアルカネットが立っていた。
小型偵察機を通じてカメラの向こう側にいるソレル国王を透視し、ベルトルドはそこへ空間転移したのだ。
サイ《超能力》を持つベルトルドの優秀さは、世界でもよく知られている。しかし空間転移についてはあまり知られていないようで、サイ《超能力》を持つソレル国王も初めて目にした。
(しかしこの男……)
ソレル国王は不愉快そうに顎を引いた。
王を前にして跪かず、尊大な態度で睥睨するようなベルトルドを、ソレル国王は忌々しげに睨みつけた。無礼にも程がある。
「下郎ども……」
「そんなに褒めてくれるな、照れるじゃないか」
「別に褒めてなんていませんよ?」
「いちいちツッコむな! ちっとも決まらんだろうが」
「はいはい」
アルカネットは肩で息をついてみせた。
どんな時でも、どんな場所でも、2人の会話はボケとツッコミを忘れない。忘れたくともほとんど条件反射でそうなってしまうことは、ソレル国王は知らない。というより、当人たちが気づいていなかった。
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