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第一章 光、入学する
第二話
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『コンコン』
「はーい」
ミルフェスと光がのどかにティータイムを楽しんでいると、不意にドアがノックされた。
「どちらさまですか?」
ミルフェスがドアを開けながらたずねる。
「こんにちはー、ミルフェス・ノートさん千波光さん」
そこには紺色のスーツに身を包んだ、大人の女性が立っていた。
控えめな胸の大きさだが、身長はミルフェスよりも少し高い。赤く、ウェーブのかかった髪形でやり手のキャリアウーマンのような雰囲気をかもし出している。
「あなたたちのクラスの担任を勤めさせていただきます、クラリス・ボンドルです」
座ったままでいた光は、慌ててミルフェスの横に立つ。
「よろしくお願いしますクラリス先生」
―よろしくお願いします―
ミルフェスは丁寧に、光は英単語帳を開きながら挨拶をそれぞれ交わす。
「はい、こんにちは。お二人とも荷解きは終わりましたか?」
整った服装とは裏腹に、柔らかい笑みを浮かべながら質問をする。
「はい、大丈夫です」
ミルフェスが答えると、光も頷く。
「お二人には入学前ですがお仕事がございますので十分後に寮の一階ロビーへ制服に着替えてから下りてきてください」
「お仕事?」
「他にも声をかけている子がいるので、申し訳ありませんがまとめて説明いたしますから」
「わかりました」
こくん、と光も頷いた。
「!」
このとき、光は重大な事実に気づく。
着替えである。
「!!!」
「それでは十分後くらいにいらしてください」
「はい、わかりました」
ミルフェスはドアを閉めるなり、すぐに上着のボタンを外しながらクローゼットに向かって歩いていった。
「はい、光さん。あなたの制服も入っているわ」
「!」
光は顔を真っ赤にして俯きながら、渡された制服を抱えるとすぐに後ろを向き自分のベッドに制服を広げた。その間にも、光の背中側でミルフェスが着替えを始めている。
とりあえず早く着替えよう。ミルフェスの服が脱げていく音が、余計に光の不安を掻き立てる。
光は自分の服から素早く手早く、かつ自分の洋服がはだけないようにとにかく急いで着替えた。
光は素早く着替えたが、ミルフェスの着替えが終わるまで身動きが取れない。
「光さん?」
ミルフェスに声をかけられる、いつまでも振り向かないわけにはいかないので光はドキドキしながら振り返る。
ミルフェスの着替えは既に終わっていた。ホッとため息が零れ落ちる。
「着替え終わったわね?あ、リボンが少し曲がっているわ」
おもむろにミルフェスが光の胸元に手を伸ばす。
光の目の前、彼女の顔が迫ってきた。まつげの長い整った顔を近くで見ると耳まで赤くなってしまう。
「これでよし!光さんはかなり可愛いわね!」
入学の季節といって、まだまだ寒いから光はさっきまで結構な厚着をしていた。室内に入ってからコートなどは外したものの、外見よりも防寒が中心の洋服を着ていた。
しかし用意されていた学園の制服は、薄いピンク色のセーラータイプ。スカートも短く折られている。
―ミルフェスさんはお綺麗です。モデルさんみたいです―
可愛いと言われても・・・そう思いながらも光はミルフェスの制服の感想を書く。同じ制服を着ているのに、ミルフェスと光では受ける印象がかなり違う。
ルーズリーフに書かれた文字を読んだミルフェスは、光の率直な感想に目を見開き頬が見る見るうちに赤くなっていった。
「ありがとう!先生を待たせてはいけないわ。そろそろ行きましょう」
ミルフェスはベヒモスの首根っこをつかむと、そのまま胸元に抱きかかえた。
光も着替えるために外していた剣帯を付け直すと、八房を腰に携え襟を正す。
光の耳はまだ少し赤かった。
「はーい」
ミルフェスと光がのどかにティータイムを楽しんでいると、不意にドアがノックされた。
「どちらさまですか?」
ミルフェスがドアを開けながらたずねる。
「こんにちはー、ミルフェス・ノートさん千波光さん」
そこには紺色のスーツに身を包んだ、大人の女性が立っていた。
控えめな胸の大きさだが、身長はミルフェスよりも少し高い。赤く、ウェーブのかかった髪形でやり手のキャリアウーマンのような雰囲気をかもし出している。
「あなたたちのクラスの担任を勤めさせていただきます、クラリス・ボンドルです」
座ったままでいた光は、慌ててミルフェスの横に立つ。
「よろしくお願いしますクラリス先生」
―よろしくお願いします―
ミルフェスは丁寧に、光は英単語帳を開きながら挨拶をそれぞれ交わす。
「はい、こんにちは。お二人とも荷解きは終わりましたか?」
整った服装とは裏腹に、柔らかい笑みを浮かべながら質問をする。
「はい、大丈夫です」
ミルフェスが答えると、光も頷く。
「お二人には入学前ですがお仕事がございますので十分後に寮の一階ロビーへ制服に着替えてから下りてきてください」
「お仕事?」
「他にも声をかけている子がいるので、申し訳ありませんがまとめて説明いたしますから」
「わかりました」
こくん、と光も頷いた。
「!」
このとき、光は重大な事実に気づく。
着替えである。
「!!!」
「それでは十分後くらいにいらしてください」
「はい、わかりました」
ミルフェスはドアを閉めるなり、すぐに上着のボタンを外しながらクローゼットに向かって歩いていった。
「はい、光さん。あなたの制服も入っているわ」
「!」
光は顔を真っ赤にして俯きながら、渡された制服を抱えるとすぐに後ろを向き自分のベッドに制服を広げた。その間にも、光の背中側でミルフェスが着替えを始めている。
とりあえず早く着替えよう。ミルフェスの服が脱げていく音が、余計に光の不安を掻き立てる。
光は自分の服から素早く手早く、かつ自分の洋服がはだけないようにとにかく急いで着替えた。
光は素早く着替えたが、ミルフェスの着替えが終わるまで身動きが取れない。
「光さん?」
ミルフェスに声をかけられる、いつまでも振り向かないわけにはいかないので光はドキドキしながら振り返る。
ミルフェスの着替えは既に終わっていた。ホッとため息が零れ落ちる。
「着替え終わったわね?あ、リボンが少し曲がっているわ」
おもむろにミルフェスが光の胸元に手を伸ばす。
光の目の前、彼女の顔が迫ってきた。まつげの長い整った顔を近くで見ると耳まで赤くなってしまう。
「これでよし!光さんはかなり可愛いわね!」
入学の季節といって、まだまだ寒いから光はさっきまで結構な厚着をしていた。室内に入ってからコートなどは外したものの、外見よりも防寒が中心の洋服を着ていた。
しかし用意されていた学園の制服は、薄いピンク色のセーラータイプ。スカートも短く折られている。
―ミルフェスさんはお綺麗です。モデルさんみたいです―
可愛いと言われても・・・そう思いながらも光はミルフェスの制服の感想を書く。同じ制服を着ているのに、ミルフェスと光では受ける印象がかなり違う。
ルーズリーフに書かれた文字を読んだミルフェスは、光の率直な感想に目を見開き頬が見る見るうちに赤くなっていった。
「ありがとう!先生を待たせてはいけないわ。そろそろ行きましょう」
ミルフェスはベヒモスの首根っこをつかむと、そのまま胸元に抱きかかえた。
光も着替えるために外していた剣帯を付け直すと、八房を腰に携え襟を正す。
光の耳はまだ少し赤かった。
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