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第三章 決闘を前に
第四十四話
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「で、早速こういう事態が起きるわけですか」
ミルフェスが呆れて声を上げた。
呆れたように、ではない。本当に呆れているのだ。
「なにがこういう事態よ。そもそも貴女は関係ないんだから下がりなさい」
そういうのは上級生の女性である。ミルフェスは知らないが、光には見覚えがあった。
今日の授業のときに、クレアを地面に下ろした鎖を掘り起こしていた上級生の一人だ。
合計で五名、光達を待ち構えて寮への道を塞いでいた。
「私たちはね、その後ろの日本人に用があるの。貴女は関係ないんだから先に帰ってしまって結構よ?」
今度は他の女子から声が上がった。やはりクレアの助けるときにいた一人だ。
「光さんは決闘を控えている身なんですよ?そんなあからさまに待ってましたと人数で囲まれたら流石に放ってはおけないじゃないですか」
ミルフェスが答える。だがそんなミルフェスの肩を後ろから叩く手があった。
光だ。
光は首を左右に振ると、笑顔をミルフェスに向けて一歩前に出た。
「ダメよ」
ミルフェスが更に出る。
「?」
「あの人たちの目的は、妨害・・・だけど不意打ちをしてくるわけでもない」
「私たちはそんな卑怯なことしないわよ」
「五人がかりで道塞ぐのは卑怯ではないんですかね」
ミルフェスがトゲをもって返す。このやり取りに光は眉尻を下げた。
一人なら逃げることも倒すことも簡単だが、ミルフェスがいる以上逃げることは厳しい。
「まあいいじゃない、私たちはAクラスなんだから。Sクラスの後輩の腕を見てみたいのよ」
「美鈴先輩との試合は逃げてるばっかりだったし?」
「やっぱり魔道学校なんだから、魔道士としての実力を見せてもらわないとね」
「その刀、ただの刀じゃないんでしょ?先輩に見せてくれないかなー?」
「やっぱり体験したいじゃない?」
五人の女子生徒がそれぞれに言葉を光にかける。穏便にはすまなそうだと、光はため息をついた。
「ダメよ、いまのでわかったから」
光のため息を受けながら、なおミルフェスは戦うことを止めた。
「先輩方はSクラスの後輩の実力を、その力の内容が見たいんですよね」
つまるところ、光の戦い方を観察しに来たのだろう。そしてその戦い方をクレアに伝える、そう言ったところだろうか。
「わかってくれた?だったら関係のないあんたはどきなさい」
少しだけ怒気を含んだ言葉を受けて、光は表情を引き締めた。
「先輩方、Sクラスの後輩でしたらもう一人いますよ?」
「召喚士に一人、会長が推薦して学園長も許可を出した子がいるらしいわね・・・まさかあなたが・・・」
「はい、ミルフェスと申します。光さん共々よろしくお願いいたしますね」
満面の笑みを浮かべながらミルフェスが言葉をつなげる。
「それと紹介いたします。私の召喚獣、ベヒモスです」
『くあー』
ミルフェスの足元からベヒモスが顔を出した。
「えーっと、その子召喚獣よね?」
「はい」
「強いの?」
「もちろん」
「冗談じゃなくて?」
「最強です」
「かわいいわね」
「ありがとうございます」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ふふふふふ・・・」
「?」
「ええ、わかったわ。そうなのね、つまるところ馬鹿にされているわけなのね」
「や、そんなことは」
突然の誤解にミルフェスは焦って弁明をする。
「私達Aクラスの人間相手では、本気の召喚獣なんか使えないと!そういうことなのね!」
「いえいえ、私はこの子しか」
「嘘よ!Sクラス入りした子の召喚獣は虎よりも大きな獣って聞いてるもの」
「それはだから」
「それなのに何!?そのぬいぐるみみたいなのは!馬鹿にするのもいい加減にして!」
「あなたはSクラスにいきなりの抜擢でいい気になってるんじゃないでしょうね!」
「新入生の癖に生意気よ!」
勢いに押され、思わずミルフェスが後ずさる。だが後ろの光はミルフェスよりもあたふたとした表情でどうしようか悩んでいた。
ミルフェスが呆れて声を上げた。
呆れたように、ではない。本当に呆れているのだ。
「なにがこういう事態よ。そもそも貴女は関係ないんだから下がりなさい」
そういうのは上級生の女性である。ミルフェスは知らないが、光には見覚えがあった。
今日の授業のときに、クレアを地面に下ろした鎖を掘り起こしていた上級生の一人だ。
合計で五名、光達を待ち構えて寮への道を塞いでいた。
「私たちはね、その後ろの日本人に用があるの。貴女は関係ないんだから先に帰ってしまって結構よ?」
今度は他の女子から声が上がった。やはりクレアの助けるときにいた一人だ。
「光さんは決闘を控えている身なんですよ?そんなあからさまに待ってましたと人数で囲まれたら流石に放ってはおけないじゃないですか」
ミルフェスが答える。だがそんなミルフェスの肩を後ろから叩く手があった。
光だ。
光は首を左右に振ると、笑顔をミルフェスに向けて一歩前に出た。
「ダメよ」
ミルフェスが更に出る。
「?」
「あの人たちの目的は、妨害・・・だけど不意打ちをしてくるわけでもない」
「私たちはそんな卑怯なことしないわよ」
「五人がかりで道塞ぐのは卑怯ではないんですかね」
ミルフェスがトゲをもって返す。このやり取りに光は眉尻を下げた。
一人なら逃げることも倒すことも簡単だが、ミルフェスがいる以上逃げることは厳しい。
「まあいいじゃない、私たちはAクラスなんだから。Sクラスの後輩の腕を見てみたいのよ」
「美鈴先輩との試合は逃げてるばっかりだったし?」
「やっぱり魔道学校なんだから、魔道士としての実力を見せてもらわないとね」
「その刀、ただの刀じゃないんでしょ?先輩に見せてくれないかなー?」
「やっぱり体験したいじゃない?」
五人の女子生徒がそれぞれに言葉を光にかける。穏便にはすまなそうだと、光はため息をついた。
「ダメよ、いまのでわかったから」
光のため息を受けながら、なおミルフェスは戦うことを止めた。
「先輩方はSクラスの後輩の実力を、その力の内容が見たいんですよね」
つまるところ、光の戦い方を観察しに来たのだろう。そしてその戦い方をクレアに伝える、そう言ったところだろうか。
「わかってくれた?だったら関係のないあんたはどきなさい」
少しだけ怒気を含んだ言葉を受けて、光は表情を引き締めた。
「先輩方、Sクラスの後輩でしたらもう一人いますよ?」
「召喚士に一人、会長が推薦して学園長も許可を出した子がいるらしいわね・・・まさかあなたが・・・」
「はい、ミルフェスと申します。光さん共々よろしくお願いいたしますね」
満面の笑みを浮かべながらミルフェスが言葉をつなげる。
「それと紹介いたします。私の召喚獣、ベヒモスです」
『くあー』
ミルフェスの足元からベヒモスが顔を出した。
「えーっと、その子召喚獣よね?」
「はい」
「強いの?」
「もちろん」
「冗談じゃなくて?」
「最強です」
「かわいいわね」
「ありがとうございます」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ふふふふふ・・・」
「?」
「ええ、わかったわ。そうなのね、つまるところ馬鹿にされているわけなのね」
「や、そんなことは」
突然の誤解にミルフェスは焦って弁明をする。
「私達Aクラスの人間相手では、本気の召喚獣なんか使えないと!そういうことなのね!」
「いえいえ、私はこの子しか」
「嘘よ!Sクラス入りした子の召喚獣は虎よりも大きな獣って聞いてるもの」
「それはだから」
「それなのに何!?そのぬいぐるみみたいなのは!馬鹿にするのもいい加減にして!」
「あなたはSクラスにいきなりの抜擢でいい気になってるんじゃないでしょうね!」
「新入生の癖に生意気よ!」
勢いに押され、思わずミルフェスが後ずさる。だが後ろの光はミルフェスよりもあたふたとした表情でどうしようか悩んでいた。
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