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第三章 決闘を前に
第四十六話
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―ありがとうございました―
下校での一件を終え、寮に戻ってきた二人。光は改めて、ミルフェスに礼をした。
「決闘は正しく行われなければなりませんから」
ミルフェスは小さくなったベヒモスを抱きかかえると、光の顔を見据えた。
「光さんもすぐに刀を抜こうとしちゃダメ。戦いの場に赴くのなら、極力相手に能力は悟らせないようにするものです」
光は目が丸くなっていた。
「魔道士とは秘匿とされてる存在なんですから、気軽に手の内を見せちゃいけないんです」
前かがみになって、光の顔に高さを合わせながらミルフェスは言い始めた。
「さっきの上級生達から決闘の対戦相手に、光さんの能力が伝えられる可能性があったんですよ?それなのに『仕方ないな』みたいな感じで刀を取り出して、どうするつもりだったんですか?それが原因で弱点とか欠点とか調べられたら対応できるつもりだったんですか?考えてたんですか?」
これは説教だ。光は思わず後ずさりをした。
「それなりに実力が離れているとわかっている相手だったとしても、決闘の名がついている以上対等な相手との勝負なんです。能力の一つや二つバレてても勝てると、そんな甘い考えで挑むわけではないですよね?」
―それは、もちろん―
「だったら自重しないといけないでしょう。ああいった手合いは決闘が終わるまでは私が対処しますから、光さんは一人での行動は慎んでください。寮の中だって安全とは限らないんですからね?私達魔道士が少しやる気を起こしただけでそこらのドアや窓はあの・・・えーっとなんでしたっけ日本の紙と木の骨組みだけで作られた」
―障子?―
「そう!ショージみたいなものなんですからね」
―障子は結構、障子紙の部分以外は頑丈―
「例えです!」
―ごめんなさい―
光はしゅんとなってしまった。
「とにかく、単独行動は控えるように。教室移動とかも私が一緒に行きますから。私が居なかったらラザロにお願いするなり、クラスメートの人となるべく行動するようにすること。わかりましたか?」
―はい―
有無を言わせないミルフェスの雰囲気に呑まれ、光はすぐに返事を出してしまった。
「よろしい」
―でも、そうするとミルフェスさんの能力が皆に知れ渡ってしまうんじゃ―
「問題ないわ。私の能力ならすでにばれているから」
少しだけ残念そうにミルフェスは断言した。
「この学校の上級生にはライブラルの家の人間もいますし。ライブラルといえばイギリス人の魔道士なら知ってて当然、しらなければ相当な田舎者の扱いだわ」
―ミルフェスさん有名人?―
「私というよりこの子が有名なのよね。初代ライブラルの使役していた召喚獣ベヒモス、ブレスの一吹きで視界のすべてを氷付けにしたと言われているわ」
―ベヒモスすごい―
「ええ、ベヒモスはすごいの。ライブラルの氷結魔術の元祖はこの子だから」
光の言葉に反応したミルフェスは少し寂しそうに答えた。
そういえばレオもベヒモスの事を知っていたことを光は思い出す。何か逸話のようなものが伝えられているのかもしれない。
「まあそういうわけですから、しばらくの間は私がトラブル全般を受け付けますのでそのつもりで」
―はい―
これ以上言ってもミルフェスには聞き入れて貰えないだろう。光はそう思い素直に頷いた。
とはいうものの明日さえ乗り切れば光とクレアの決闘である。
光は逃げ回ればいいだけだと割り切ることにした。
下校での一件を終え、寮に戻ってきた二人。光は改めて、ミルフェスに礼をした。
「決闘は正しく行われなければなりませんから」
ミルフェスは小さくなったベヒモスを抱きかかえると、光の顔を見据えた。
「光さんもすぐに刀を抜こうとしちゃダメ。戦いの場に赴くのなら、極力相手に能力は悟らせないようにするものです」
光は目が丸くなっていた。
「魔道士とは秘匿とされてる存在なんですから、気軽に手の内を見せちゃいけないんです」
前かがみになって、光の顔に高さを合わせながらミルフェスは言い始めた。
「さっきの上級生達から決闘の対戦相手に、光さんの能力が伝えられる可能性があったんですよ?それなのに『仕方ないな』みたいな感じで刀を取り出して、どうするつもりだったんですか?それが原因で弱点とか欠点とか調べられたら対応できるつもりだったんですか?考えてたんですか?」
これは説教だ。光は思わず後ずさりをした。
「それなりに実力が離れているとわかっている相手だったとしても、決闘の名がついている以上対等な相手との勝負なんです。能力の一つや二つバレてても勝てると、そんな甘い考えで挑むわけではないですよね?」
―それは、もちろん―
「だったら自重しないといけないでしょう。ああいった手合いは決闘が終わるまでは私が対処しますから、光さんは一人での行動は慎んでください。寮の中だって安全とは限らないんですからね?私達魔道士が少しやる気を起こしただけでそこらのドアや窓はあの・・・えーっとなんでしたっけ日本の紙と木の骨組みだけで作られた」
―障子?―
「そう!ショージみたいなものなんですからね」
―障子は結構、障子紙の部分以外は頑丈―
「例えです!」
―ごめんなさい―
光はしゅんとなってしまった。
「とにかく、単独行動は控えるように。教室移動とかも私が一緒に行きますから。私が居なかったらラザロにお願いするなり、クラスメートの人となるべく行動するようにすること。わかりましたか?」
―はい―
有無を言わせないミルフェスの雰囲気に呑まれ、光はすぐに返事を出してしまった。
「よろしい」
―でも、そうするとミルフェスさんの能力が皆に知れ渡ってしまうんじゃ―
「問題ないわ。私の能力ならすでにばれているから」
少しだけ残念そうにミルフェスは断言した。
「この学校の上級生にはライブラルの家の人間もいますし。ライブラルといえばイギリス人の魔道士なら知ってて当然、しらなければ相当な田舎者の扱いだわ」
―ミルフェスさん有名人?―
「私というよりこの子が有名なのよね。初代ライブラルの使役していた召喚獣ベヒモス、ブレスの一吹きで視界のすべてを氷付けにしたと言われているわ」
―ベヒモスすごい―
「ええ、ベヒモスはすごいの。ライブラルの氷結魔術の元祖はこの子だから」
光の言葉に反応したミルフェスは少し寂しそうに答えた。
そういえばレオもベヒモスの事を知っていたことを光は思い出す。何か逸話のようなものが伝えられているのかもしれない。
「まあそういうわけですから、しばらくの間は私がトラブル全般を受け付けますのでそのつもりで」
―はい―
これ以上言ってもミルフェスには聞き入れて貰えないだろう。光はそう思い素直に頷いた。
とはいうものの明日さえ乗り切れば光とクレアの決闘である。
光は逃げ回ればいいだけだと割り切ることにした。
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