己が声を封じた彼(オレ)は、覚悟を決めて彼女(わたし)になった

てぃー☆ちゃー

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第四章 決闘!

第五十四話

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「まだよ!」

クレアは叫ぶと柄からさらに3本。計五本の鎖つき円月輪を生み出してそれぞれの刀に2本ずつ巻き付かせた。

「・・・」

光はため息交じりで、その光景を眺めながら虚空から更に3本刀を生み出した。

「まだ出てくるの!?」

 クレアの柄から出た鎖は、2本ずつ4本が空中の刀に。
 残りの1本が光に伸びていく。
 しかし光は、刀を使わずその1本をスウェーで避ける。鎖を掴んで思いっきり引っ張った!

「ちょっ!くっ!」

 刀で迎撃されると警戒していた分、予想外の動きにクレアの体が引っ張られて前のめりに倒れこんでしまう。

「嫌よ!負けたくないっ!負けられないっ!」

 剣を引っ張られ、引きずられながらも手を離さずにクレアは叫んだ!
 瞬間、剣から伸びていた鎖が膨らみ始めた!
 赤黒い血のようなものが鎖から溢れ出すと血肉を生み出し、昆虫のような甲殻に覆われた長い何かに。
 その先端の円月輪はその甲殻の先に付く鋭い三日月状の針に形状を変えていく。
 1本1本がまるで、蠍の尾針の形状だ。
 絡みついていた光の刀を解放したソレは生き物の動きで光へとまっすぐ向かってきた!

 「!」

 光は解放された刀を自身の周りに集めると、その刀身同士で見えない障壁を生み出した。
 
『ガギッッ!!』

 四方前面から光に襲い掛かったその針を、光は障壁で止めると更に1本刀を生み出して両手で構える。
 この決闘で初めて、1歩前に踏み込んでその生み出された尾針の様なものをまとめて2本切り裂いた。

『ズシュッ』

 切り裂いた先からまるで血液の様に、赤黒い液体があふれ出す。光は1歩下がって障壁に戻ると、その液体が障壁に当たり地面へと垂れていった。

『シュシュゥ・・・・』

 その液体が地面を溶かす。石畳かコンクリートか光は詳しく知らないが、これを生身で受けるのは危険と判断。

「クレア!止めろっ!それ以上は失格にするぞ!」
 
 李の静止する声が聞こえてきた。

『マケラレナイ・・・マケラレナイ・・・マケ・・マケケッケッケッケケケケ!!!!!!!!!!』

 クレアの口から奇声が発せられる!
 その手に持つ剣も膨らみ始め、生き物の甲殻を生み出していく。クレアの右腕を飲み込みつつ、その体を持ち上げると剣だったものは巨大な昆虫の様に姿を変えていく!

「クレアッ!?」
「まずいっ!」

 李が闘技場に上がり、レオも解説席から立ちあがると飛び出した!

「これは、一体どういった状況なのでしょうか?!クレア選手の持っていた剣が突如膨張・・・これは・・・ここから見ても大きいっ!5メートルはあるか!?その尻尾の針も含めると7,8メートル近いサイズの巨大な蠍です!!クレア選手の体が半分近く飲み込まれています!せんせーっどうしましょうか!?」

 ウィンディの声が闘技場に響き渡る。

「まあ大丈夫だろ。マイク借りるぞ」

 いつの間にか登場していた長い髪の白衣の女性。理事長のクラウドがウィンディからマイクを奪うと会場に向けて声を響かせた。

「私だ。問題は何も起きない。そうだろう?仙波」

 その一言に、会場全体が静まり返る。その会場全体の視線が光へと集まっていく。
 闘技場に上がり事態を収拾させようとしていた李と、闘技場の場外に付いたレオはクラウド理事長と光の双方に視線を動かす。

「状況を簡単に説明するぞ。剣にはその化け物が封印されていて力を絞りだされていたんだろうさ。その子が御しきれなくなった時に剣の中の化け物が封印を無理やりこじ開けようとし、封印の反作用でその子が逆に化け物の中に封じ込められそうになっている。なんとか出来るな?」

 クラウドに視線を向けていた光は、力強く頷くと虚空に浮かんだ剣をすべて消し去る。腰に差していた長い刀をゆっくりと抜いた。

 「・・・」

 切っ先を地面に向けると、その両足で地面を蹴り巨大な蠍との距離を一気に詰めた。

「こいつはっ・・・」
「速いっ」

 李とレオが同時に声を上げる。
 その声を聞いて光は蠍の前で動きを止めると、再び蠍から距離を取った。
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