己が声を封じた彼(オレ)は、覚悟を決めて彼女(わたし)になった

てぃー☆ちゃー

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第四章 決闘!

第五十五話

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「何を・・・?」

 レオの呟きを無視しながら、光はクラウドに視線を向けて二人を指さす。

「レオパルド!李!仙波が邪魔だと」
「え?!」
「ああ・・・」

 光の視線に気づいたクラウドは、二人に指示だす。

「ですが」
「いいんだよ、李よ。その子は大丈夫だ。多分」
「多分では」
「私が控えているんだ。間違えは起きない。生徒のやりたいようにやらせてやりな」
「・・・わかりました。袖で控えることにします」
「もうちょい離れてろ!女の子のスカートを覗く気か?」
「そんなことしません!」

 二人が離れだす、完全に離れきる前に蠍から光に向けてその5つの尾針が伸びてきた!
 光はその刀でそれぞれの尾針を一瞬で切り裂くと、返り血を浴びないようにその場から飛びのいた。

「・・・・」

 光のいた場所から再び異音が聞こえてくる。やはりあの体液は要注意だ。
 そこで光は先ほど尾針は切り落とした事を思い出し、自身が斬った尾針に目を向ける。
 光の予想通り、尾針は再生されていた。数は5本から変わっていないが、先ほどよりも太く、鋭い針が生み出されている。
 
「再生速度はそこそこに早いな。大丈夫か!」

 少し離れたところからレオが大声を上げる。光はそれを一瞥すると、今度は一気に蠍の正面から走りこんだ!
 蠍はその巨大なハサミで光を迎撃する!
 正面からハサミを受けるようなことはせずに、ハサミを避けるとその腕の付け根を光は切り落として、蠍の体の下に滑り込むと・・・光はすぐにその蠍の足と足の隙間から出てきた。
 その瞬間に蠍が地面へと文字通り落下した。
 光は、蠍の足をすべて切断していたのだ。

「すごいっ」
「なんという早業っ」

会場中から驚嘆の声が聞こえだす。
光は、その声を無視して蠍の背中に飛び乗ると再生したばかりの尾針をすべて切り落とした!

「くるし・・・たすけ・・・」

ほとんど全身を飲み込まれているクレアの声がかすかに聞こえてくる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・貴女を助けます。私がしゃべれることは誰にも言わないで下さいね?」

光は小声で・・・本当に小声で、クレアにも聞こえるか聞こえないかの大きの声を発する。
その時、空気が震えて何かが割れる音がした。
光の声でクレアに逆流していた封印が壊れたのだ。
蠍の背中を切り裂いて刀を即座に鞘にしまうと、その亀裂を両手で引きはがし腕を突っ込む!
光の両手に痛みが走った。学校指定の制服の袖が少しずつ溶けていくのがわかる。

「・・・・・・・・」 

 いた!光はクレアの体を引っ張り上げて、抱き留めた!

「あぶないっ!」

 瞬間、光は虚空に刀を生み出して障壁を張った!声の方に顔を向けると、そちらへ一足で飛び上がり、抱きしめていたクレアを差し出す。
 レオは半裸の彼女をみて顔を赤らめるが、すぐにブレザーを脱いで上からかけると光から受け取る。

「よくやった!救護班!」

李が袖にいた連中に声をかけている最中に、光は再び刀身を生み出して障壁を張る!体当たりを試みようとしていた巨大な蠍の行動を阻害しつつ、振り向いて闘技場に足を向けた。

「最後までやる気か?」

 レオの声に光は頷くと、再び刀を抜いて蠍に躍りかかる!

「オレも!」
「任せときな」
「理事長・・・ですが」
「いいんだよ。あの程度倒せないようじゃSランクじゃ通用しない。わかるだろ?」
「・・・はい」

 レオは大人しく下がると、光の背中を見つめる。
 両手の袖を失った光の後ろ姿に、どこか凄惨さを感じてレオは息を飲んだ。。



 光は何度目かの斬撃を与えて、再び5本の尾針を切り落としていた。
 だが、それぞれの再生が早い。光の持つ刀では線の攻撃は行えるが面の攻撃が出来ず斬っては再生され斬っては再生されを繰り返す結果となっていた。

『我がやろうか?』

 鎧の先輩から声がかかった。いつの間にか登場したらしい。

『我のライトニング・ザ・ライトニングであれば奴の動きは止めれるし、トドメまで持っていくことが可能だ』

 どんな技か分からないが、光は首を左右に振って否定。その間にも上から降り注ぐ尾針を避けて、その巨大なハサミをかいくぐっていた。

『どうする?こいつの再生限界まで付き合うつもりか?どの程度のランクかはわからぬが・・・この蠍、まだまだ元気に見えるぞ』

 そうなのである。光がいくら切り落としても再生の速度は遅くならず、蠍の動きも鈍くならない。
 光自身は細かく蠍の周りを動き回り、頭の上から降ってくる尾針と前面のハサミで攻撃をさばいているが決定打を与えてはいない。

「今なら生徒会のメンバーもSクラスのメンバーも揃ってるから瞬殺も可能だよ?」

 生徒会長のベルも視界の端から声をかけてきた。
 
「光さん!支援をします!」

ミルフェスがベヒモス連れて会長の横に来た。その後ろにはラザロも見える。
光は刀で蠍を囲むと障壁を張り、蠍の動きを抑え込んだ。

―任せて―

 戦闘中にも関わらず、ポケットから英単語帳を出すとみんなに見せる。
 その姿にベルは笑い、ミルフェスとラザロは驚いた表情を出す。

「仙波さんなら、出来る」

 最後に出てきた美鈴が、声を発して腕を空に向けて振った。
 姿を見せていないシルフィへの合図だ。

―ありがとうございます―

 光は英単語帳をしまうと、動きを抑えていた蠍へと向き合う。
 蠍の目が、光を捉える。
 光はその顔を前に、ゆっくりとした動作で刀を構えた。
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