モノツキフェアリー

メガゴールド

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19話  自分を信じて努力するということ

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「状況はあまりよくないね……」

 あたしと小田くんはまた離れて芝生の上で試合を観戦してる。

 よくないというのは試合状況の事だ。
 ダイキチのミスなどもありチームは負けてる。

 ちなみに今回は練習試合ではなく、公式の試合なんだってさ。
 練習と公式の違いはよくわからないけど、トーナメント戦でもやってるのかな?
 とにかくなおさら頑張らないといけない試合なんだってさ。

 それで負けてたらあせるよね。

 小田くんの言った一言。
 ダイキチは妖精に見捨てられた発言。

 あれはダイキチに結構効いたみたい。
 物に当たる怒りは今のダイキチからは見られない。

 見えるのは……

 ――不安。

 頼りに頼ったバットの力がなくなった。だから打てなくなった。

 唯一の武器とも言えるバットが使えなくなったんだ。不安やあせりでいっぱいになるのはわかるよ。

 弱気な表情がダイキチには浮かんでた。
 自分に打席が回るのを恐れてる。そんな風にも見える。

 打てるわけない。だから打席に立ちたくない。
 自分のせいで負けたくない。

 ……今までのダイキチじゃ考えられないような姿だった。

 自業自得と言えばその通りだと思う。あれだけ言ったのに聞く耳もたなかったダイキチが悪い。

「よ、妖精……わ、悪かったよ……機嫌直してくれよ……」

 え、ダイキチの声が聞こえるよ? 今はあいつと距離離れてるのに。

「ダゲキくんを通して言葉が通じてるんだよ」

 と、小田くんは言った。
 小田くんの肩に乗ってるダゲキくん。彼の近くにいるから、彼に話しかけるダイキチの声が聞こえるんだね。

『今さら謝ってもおせえよ……』

 うん。ダゲキくんの気持ちもわかる。さんざん雑に扱われてきたんだろうし、無茶もさせられたんだろうからね。

 ダイキチはへっぴり腰で震えながら打席に立つ。
 自信満々だった前回とは違う……

 あれじゃあ打てるものも打てない……

「……投手のレベルを考えると、けして打てない相手ではないと思う」

 と、小田くんは言った。

「そうなの?」
「前の練習試合の相手と比べるとね。他のみんなは打ててるし……いつもの自信取り戻せば……」
「打てる可能性あるの?」
「当たらないなんて事はないと思う……」

 でも……

「ストライクツー!」

 ダイキチは二回も空振り……
 やっぱ自信もなくなってびくびくしてたら打てるわけない。

「頼む……頼むよバット……」

 謝ってばかり……
 結局バットに頼るだけ?

 

 バットの黒いモヤは強くなる……

「バット、妖精に力を求める……それもまた悪玉へと変わる可能性が……やっぱりこれまでか」

 モヤは大きくなりバットを……ダイキチを包みそうになる。

「ダメだ! 悪玉になる! この場のみんなが呪われる!」

 小田くんはバットを怖そうとフデコと共に走り出す。

 ――あたしは……

「「ダイキチ~!!」」

 大声で叫んだ。
 それに驚きダイキチだけでなく、相手チームの選手達もこっちに視線を向けた。

 試合の邪魔してすいません。
 でも……言わせてほしい!

「ダイキチ! あんた努力し続けることが大変って言ったよね! 結果出せるかわからないからでしょ!」
「あ、……え?」

 ボー然としてるダイキチに構わずあたしは続ける。

「努力してきたよ! そしてできるようにしてきたよ!」

 こっからじゃ見えないかもだけど、あたしは手のひらを見せつける。
 あたしの手は努力によって血マメができていた。いくつもね。

 なんの努力かって?

 見せてやるよ!

 まずあたしは持ってきてた袋からなわとびを取り出す。

 前に言ったよね?
 二重とびあきらめたって!

 あたしはなわとびをする。
 普通に飛びながら……勢いよくなわとびを回し、飛ぶ!

 そう! あたしは二重飛びをマスターしたんだ!
 できるようになるのに三日かかったよ!

「どうだ! あたしはできなかった二重飛びできるようになったぞ! その後はな! 逆上がりもできるようになったぞ!」

 逆上がりはここで見せられないのが残念だよ……
 あきらめたもの全部できるようになったと見せてやりたかったけど、結局できたのは二重飛びと逆上がりだけ……

 でも、努力の成果を見せれたと思う!

「どうだ! 人並みだのなんだの言われるあたしだが! 努力で苦手な事を二つもこなしたぞ!」

 そうだ! フツーなあたしがだ! 

「あんたはプロになるんだろ! フツーなあたしが努力してできた事、あんたならできんだろ! 実力で打てバーカ!」

 ……シーンとする。
 え、なんかみんなこっち見てる……は、恥ずかし!

「なわとびと野球じゃ関係ねえじゃねえかよ……バカはどっちだよ」

 遠目だけど……なぜかダイキチは笑ったように見えた気がする。

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