モノツキフェアリー

メガゴールド

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21話  一件落着?

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 ダイキチのバットは球に当たった。
 その勢いで球は高々と上がっていく……

 ま、まさか……ホームランになる!?

 ダイキチはガッツポーズをしてるけど……?

「ダメだ……上がりすぎてる」
「へ?」

 小田くんの言葉にあたしは驚く。だって球上がるって事はホームランになるって事じゃないのかと思ってるから。

 ……でも、よく見たら球そのものは遠くに飛んでないような気も……

 あ! 球が落ちてくる!
 そういえば落ちてきた球を捕られるとダメなんだっけ?

「だああ! 落ちろお!」

 なんかダイキチが叫んでる。相手の選手は両手を広げオーライオーライと言っている。

 捕られる?

「いや、待てよ……風が強い」
「へ?」

 小田くんの言う通り、高く上がったボールは風に乗って、勢いがついていく。

 すると守ってる相手選手があわてだす。
 でもさすがにホームランには……

「しめた! 相手、ボールを見失った!」

 見失った?
 その言葉の通りオーライオーライ言ってた子が仲間を呼んでる。

「でもレフトの子が気づいてる!」

 レフトって外野の左守ってる子だっけ?

 めっちゃ必死に走ってる……
 あ、ボールが落ちてきてる!

 これ……まにあわ……

 ポトリと、芝生しばふの上にボールは落ちた。

 えっとホームランではないけど……?

「回れ回れ~!」

 なんかダイキチのチームの子達が走ってる。
 ん? タイムリー?
 二点? よくわからないけど点入ったの?

「いやったあああ!」

 ダイキチはベースの上でガッツポーズしてる。

「わかんないけど、これ点入ったの小田くん?」

 小田くんは優しく頷いた。

「うん。二点タイムリーヒット。これで二対一になって逆転したんだ。彼のおかげでね」
「す、すごい……」

 い、いやでも運があっただけでしょ。風が急に吹いたり、相手が見失ったり……

「運もまた実力の内……それに彼が打球を打ちあげなければならなかった出来事……彼の手柄だよ」

 確かに空振りだったり当てただけとかじゃこうはならなかったか……

「ありがとうありがとう!」

 ……ん? ダイキチがなんか礼を言ってる。誰に?



 ♢



 試合はそのままダイキチのチームの勝利。ヒーロー扱いされてたねチームのみんなから。
 なんかムカつく。

 そしてダイキチのヤツがさっき礼を言っていたのは……

「ごめんな。雑に扱ってさ! でも、もうしない! 大事にするからさ!」

 ダゲキくん……もといあいつのバットにだった。

「お前のおかげで打てたよ。地味な結果だけど、おれを許してくれた証拠しょうこだよな?」

 ……なるほど。あの結果はバットのおかげだと思ってるわけか。
 確かに偶然ぐうぜん偶然ぐうぜんが重なったかのような出来事だったもんね。

 今まで打たせてくれたバットが見捨てたダイキチを許してくれた……そう思うのもわかる。

 実際はダゲキくんはまだバットに戻ってない。つまりダイキチ自身が起こした奇跡きせきなわけだけど……

「もう頼りきったりはしないからな! 大事に大事にするから! チュッチュッ~!」

 うげ……
 バットにキスしてるよ気持ち悪いな。

 でもま、これでいいのかもね。

 頼りきらずに努力し続けそうだし、何よりバットを、物を大事にしてくれそうだもん。

「ね、小田くん。これで悪玉の心配はなくなった感じ?」

 あたしの質問に、小田くんは笑みを見せる。素敵な笑顔。

「そうだね。もう大丈夫そうだ。モヤもないし」
「やったあ!」

 あたしも思わずガッツポーズ!
 ここ何日もなわとびや鉄棒頑張った甲斐かいがあったよ!

「もちろん、今日わかった物を大事にする心、そしてダゲキくんが認めてた努力の心を忘れたら……また同じ事が起きる」

 そ、そうだよね。ダイキチが今日の事を忘れずに、もう同じ事を繰り返さない事が大事なんだ。
 前に戻ることがないようにしないといけない。

 でもそれはダイキチ自身の問題だけど。

「で、ダゲキくんどうする?」

 と、小田くんは自分の肩に乗ってた妖精、ダゲキくんに問いかけた。

『ど、どうってなにが』
「彼は反省して、君を、バットを大事にすると言ってる」
『……』
「でも口だけかもしれない。また同じあやまちを繰り返すかもしれない」
「お、小田くん!?」

 ちょ、ちょっとちょっと!
 一件落着ムードだったじゃんか! そんな縁起でもない事言わないで!
 そんな事言われたら戻る気なくなるよ!?

『確かに、あんまり信用できねえよな』

 わ、やっぱりぃ……
 実際あたしだって微妙な気はしてたもん。ダイキチがずっと物を大事にできるかさ……

『でもまあ、もう一回信じてやってもいいかな』

 え? 予想外の反応!

「大丈夫なの? もっといい住みか探すなら手伝うよ?」
『あいつのじいさんや父親の血が流れてるんだ。もう一回くらいはチャンスやらねえとかわいそうだろ?』

 ダゲキくん……いい子~!

『それにあいつの事は赤ん坊の頃から知ってるんだ。子供のやったことと、一度だけなら水に流してやるよ』
「なんか、もう一人のお父さんみたいだね」

 あ、わかるそれ。

『あんな息子いらねえってば』

 そうは言いつつもダゲキくんは笑ってた。
 ダイキチを信じたいんだね。

 こんな良い子の期待、絶対に裏切るなよなダイキチ!

 それに……妖精ってやっぱりいいなあ……
 優しいし、素敵な力もあるし……

 もっともっと妖精に会いたいし、いろいろ知りたいなあ……
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