上 下
66 / 76

結婚の問題

しおりを挟む
『私たちの問題って、結婚の事なの?』

マティアスさんにしがみついたまま、お母さんに聞く。

『まあ、そういう事ですかね。
元老院の老師たちを、納得させなければいけませんから。』

元老院。
気難しい老師たちの集まりという位しか印象が無い。

王族に連なる私は、そんな人々の賛意も得なければならないらしい。

『このまま、行方不明って事には出来ないのかしら?』

『無理ね。
私がこの国に入った事も知られているだろうし、ブラントンの事も報告しなければいけませんしね。

それに、いずれチヒロとマティアス殿の子の事も問題になるでしょうしね。
早い内に報告した方が問題は早く片付くと思いますよ。』

私と、マティアスさんの子?
そんな、いつの事か分からない事を先に考えておくの?

『チヒロ、まだ気付いていないの?
あなた、子が宿っているわよ。』

『子?!』

あまりの事に、頭が真っ白になった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※




隣でヒロ母子の会話を聞いていたら、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

『あなた、子が宿っているわよ。』

こ?

子?!

『子供か?!』

じっとりとチリカが俺を見やる。

『ま、まさか、俺とヒロの赤ん坊が?!』

『まさかもなにも、間違いありませんよ。
マティアス殿の子です。』

『いや、でも、まだそんな分かる程時は過ぎて無いだろう?
どうして分かるんだ?!』

『私の能力ですね。
それとも、心当たりが無いとでも?』

『あ、いや、その。
まだ、分かる程の日数が経っていないから驚いただけで。』

うん、心当たりは充分にある。
まだ2度だが、俺はヒロとそういう行為を持った。

勿論、嫁にする為であり、子が宿れば悦び、一緒に家族になる覚悟は出来ている。

これは、とても喜ぶべき事だった。

『ヒロ、俺と結婚して子供を産んでくれ!
俺たち、ちゃんと家族になろう。』

『マティアスさん、嬉しい。
私、あなたの子供を産むわね。』

愛しいヒロ。
どんな事があっても、ヒロと子供は守り抜くからな!
しおりを挟む

処理中です...