25 / 28
25 4ヶ国同盟
しおりを挟む
朝になり、朝食後は最初に3国会議が開催され、リシア連邦とシチーナ共和国への対応策及び、3国同盟の盟主として加入したいというセックトン国への対応が協議された。
3国同盟は簡単に終了。
その後に開かれた4国の王太子による会合は、随分と荒れた様だ。
部屋の近くを通りかかっただけで怒号が聞えて来る。
私も近くを通りかかったけど、離れているのに声が聞えたからビックリした。
昼食の時間になり、3国同盟の王太子は機嫌よく食事をしていたけど、セックトン国のアーロン王太子は1人で別の場所で食事をしたようだった。
予想はしていたけど、これは予想よりも荒れるかもしれないわね。
お陰で私はゆっくりと他の用事を済ませられたから、変な方向に話がいかない限りは歓迎よ。
夜になり、夕食前には会合が終わった。
終わると同時にアーロン王太子は城を出て、大慌てで馬車に乗り込んでどこかへと行ってしまった。
これはセックトン国へ帰ったわね。
「やあイングリッドさん、そろそろ夕食の時間ですから、一緒に食堂へ行きませんか?」
「ええフィリップ王太子、ご一緒致しますわ」
一緒に食堂へ向かうと、すでにお兄様とリチャードが席についていた。
とてもにこやかに会話しているけど、随分と仲が良さそうね。
いつの間に仲良くなったのかしら。
「やぁイングリッド、夕食前に会合が終わって良かったよ。君と食事をするのは、私にとって癒しの時間だからね」
「良かったじゃないかイングリッド、お前は見た目は良いからな、リチャード王太子の役に立っているぞ」
お……お兄様が話かけてきたわ! 珍しい、普段なら目も合わせないようにしてるのに、目を見るどころか話しかけてきたわ!!!
「おいおいジェームス王太子、彼女は僕の婚約者だぞ? 酷いいい様じゃないか」
「はっはっは、すまない。ついつい手のかかる妹として見てしまったよ」
……は! 思わず思考停止したけど、お兄様がこんなに機嫌がいいなんて、少なくとも私に対してはいつも不機嫌そうな顔をしていたのに……これはきっと会議が上手くいったのね!
「有意義な1日だった事に、乾杯をしようか」
「そうだな」
「もちろんだとも」
フィリップ王太子の音頭でグラスが掲げられた。
有意義だったんだ、そんなにうまくいったのかしら。
後でリチャードかフィリップ王太子に話を聞きたいわ。
「とまぁこんな具合でね、国に確認を取るといって、アーロン王太子は逃げ帰ったという訳さ」
「ふふふ、昨日の今日で態度が変わるなんて、思ってもいなかったでしょうね」
「それもこれも、イングリッドさんがいい作戦を考えてくれたからです」
結局リチャードとフィリップ王太子の両方に話を聞いている。
どうやら2人とも、私に話をしたくてウズウズしていたみたい。
「東の国へはもう使者を出しましたから、数日中には動きがあるはずです。イングリッドさんは、すぐにリシア連邦とシチーナ共和国が兵を下げると思いますか?」
「そうですね、後退はしないまでも足は止まると思います。詳しい情報が前線に伝えられたら、その時は後退をするかなと」
「そうなると伝達の時間を考えて、数日は持ちこたえなくてはいけないな。西の国にも警戒するように使いを送ろう」
いいわね~この感じ。お店でも新商品の開発会議で次々に案が出てくるけど、本当に気持ちがいい。
順調に進むって、良いわよね!
「それにしてもセックトン国が加入しないのは残念だな。戦力としてよりも、情報収集能力は素晴らしいからな」
「大丈夫よ、必ず4ヶ国同盟になるわ」
「イングリッドさんには確信があるのですか?」
「だって、今加入しなければ、増々自分たちが不利になるんですもの」
「不利に? ああ、西と東の国関連だね?」
「ええ。この話がうまくいけば、西と東の国とも友好を築けるわ。そうなると他国も同盟に参加したくなる。その時になって入りたいと言っても、もう必要のない国になってしまうから」
そう、だからセックトン国は強気に出れたんだ。
今しか自分たちに有利に進められないから。
きっと明日の夜には帰ってきて、対等の関係で同盟に加入したいと言ってくるはず。
いえ譲歩してくるわね、最初の心証が悪すぎたから。
予想通り夜遅くにアーロン王太子は戻ってきた。
急いで王太子会議が開催され、晴れて4ヶ国同盟としてスタートを切った。
3国同盟は簡単に終了。
その後に開かれた4国の王太子による会合は、随分と荒れた様だ。
部屋の近くを通りかかっただけで怒号が聞えて来る。
私も近くを通りかかったけど、離れているのに声が聞えたからビックリした。
昼食の時間になり、3国同盟の王太子は機嫌よく食事をしていたけど、セックトン国のアーロン王太子は1人で別の場所で食事をしたようだった。
予想はしていたけど、これは予想よりも荒れるかもしれないわね。
お陰で私はゆっくりと他の用事を済ませられたから、変な方向に話がいかない限りは歓迎よ。
夜になり、夕食前には会合が終わった。
終わると同時にアーロン王太子は城を出て、大慌てで馬車に乗り込んでどこかへと行ってしまった。
これはセックトン国へ帰ったわね。
「やあイングリッドさん、そろそろ夕食の時間ですから、一緒に食堂へ行きませんか?」
「ええフィリップ王太子、ご一緒致しますわ」
一緒に食堂へ向かうと、すでにお兄様とリチャードが席についていた。
とてもにこやかに会話しているけど、随分と仲が良さそうね。
いつの間に仲良くなったのかしら。
「やぁイングリッド、夕食前に会合が終わって良かったよ。君と食事をするのは、私にとって癒しの時間だからね」
「良かったじゃないかイングリッド、お前は見た目は良いからな、リチャード王太子の役に立っているぞ」
お……お兄様が話かけてきたわ! 珍しい、普段なら目も合わせないようにしてるのに、目を見るどころか話しかけてきたわ!!!
「おいおいジェームス王太子、彼女は僕の婚約者だぞ? 酷いいい様じゃないか」
「はっはっは、すまない。ついつい手のかかる妹として見てしまったよ」
……は! 思わず思考停止したけど、お兄様がこんなに機嫌がいいなんて、少なくとも私に対してはいつも不機嫌そうな顔をしていたのに……これはきっと会議が上手くいったのね!
「有意義な1日だった事に、乾杯をしようか」
「そうだな」
「もちろんだとも」
フィリップ王太子の音頭でグラスが掲げられた。
有意義だったんだ、そんなにうまくいったのかしら。
後でリチャードかフィリップ王太子に話を聞きたいわ。
「とまぁこんな具合でね、国に確認を取るといって、アーロン王太子は逃げ帰ったという訳さ」
「ふふふ、昨日の今日で態度が変わるなんて、思ってもいなかったでしょうね」
「それもこれも、イングリッドさんがいい作戦を考えてくれたからです」
結局リチャードとフィリップ王太子の両方に話を聞いている。
どうやら2人とも、私に話をしたくてウズウズしていたみたい。
「東の国へはもう使者を出しましたから、数日中には動きがあるはずです。イングリッドさんは、すぐにリシア連邦とシチーナ共和国が兵を下げると思いますか?」
「そうですね、後退はしないまでも足は止まると思います。詳しい情報が前線に伝えられたら、その時は後退をするかなと」
「そうなると伝達の時間を考えて、数日は持ちこたえなくてはいけないな。西の国にも警戒するように使いを送ろう」
いいわね~この感じ。お店でも新商品の開発会議で次々に案が出てくるけど、本当に気持ちがいい。
順調に進むって、良いわよね!
「それにしてもセックトン国が加入しないのは残念だな。戦力としてよりも、情報収集能力は素晴らしいからな」
「大丈夫よ、必ず4ヶ国同盟になるわ」
「イングリッドさんには確信があるのですか?」
「だって、今加入しなければ、増々自分たちが不利になるんですもの」
「不利に? ああ、西と東の国関連だね?」
「ええ。この話がうまくいけば、西と東の国とも友好を築けるわ。そうなると他国も同盟に参加したくなる。その時になって入りたいと言っても、もう必要のない国になってしまうから」
そう、だからセックトン国は強気に出れたんだ。
今しか自分たちに有利に進められないから。
きっと明日の夜には帰ってきて、対等の関係で同盟に加入したいと言ってくるはず。
いえ譲歩してくるわね、最初の心証が悪すぎたから。
予想通り夜遅くにアーロン王太子は戻ってきた。
急いで王太子会議が開催され、晴れて4ヶ国同盟としてスタートを切った。
15
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは、聖女。
――それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王によって侯爵領を奪われ、没落した姉妹。
誰からも愛される姉は聖女となり、私は“支援しかできない白魔導士”のまま。
王命により結成された勇者パーティ。
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い。
そして――“おまけ”の私。
前線に立つことも、敵を倒すこともできない。
けれど、戦場では支援が止まれば人が死ぬ。
魔王討伐の旅路の中で知る、
百年前の英雄譚に隠された真実。
勇者と騎士、弓使い、そして姉妹に絡みつく過去。
突きつけられる現実と、過酷な選択。
輝く姉と英雄たちのすぐ隣で、
「支えるだけ」が役割と思っていた少女は、何を選ぶのか。
これは、聖女の妹として生きてきた“おまけ”の白魔導士が、
やがて世界を支える“要”になるまでの物語。
――どうやら、私がいないと世界が詰むようです。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー編 32話
第二章:討伐軍編 32話
第三章:魔王決戦編 36話
※「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
『選ばれし乙女』ではありませんが、私で良いのでしょうか?私、地味で目立たない風属性ですよ?
ミミリン
恋愛
没落寸前の貴族令嬢セレナ。
領地と家族を守るために裕福な伯爵令息ピーターと婚約することを決意。自分が立派な婚約者になれば伯爵家からの援助を受けられる、そう思い努力を重ねるセレナ。
けれど何故か、努力すればするほど婚約者となったピーターには毛嫌いされてしまう。
そこに『選ばれし乙女』候補の美少女が現れて…。
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる