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3話 え?そんな事しませんよ?
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「シオン! お前の俺への愛はその程度だったのか!!!」
フランツ王太子が出口で待っていました。
王宮の中ではなく、なぜ出口で待っていたのでしょう。
声をかけるチャンスは何度もあったのに。
「私は捨てられた身です。フランツ王太子のために必死に努力してきましたが、それが実らなかったのであれば素直に去るだけです」
「な、何を言っている! 側室としてなら残っていいと言っているだろう!」
「私はフランツ様の正室として呼ばれてきました。それが叶わないからと側室になる事はできません」
「だ、だから! お、お前は私の言う事を聞いていればいいんだ!」
「? 婚約や結婚したならいざ知らず、今の私達の間には何もありません」
「おま! お前のような醜女が結婚できると思っているのか!」
「無理でしょうね。なので私は心残りのないように、玉砕覚悟で思いを伝えようと思っています」
「そ、そうだろうそうだろう、さあ俺に思いのたけをぶつけて見ろ! 気に入れば側室として迎え入れてやるぞ!」
何を言っているのかしらフランツ様は。
私が思いを伝えたいのはハンスであってアナタではないのですが。
「お待ちなさい! 大人しく聞いていればずに乗って、フランツ様を捨てるというの!?」
フランツ様の後ろの柱から、ザビーネ公爵令嬢が出てきました。
あ、今はザビーネ王太子妃候補でしょうか。
「ザビーネ様、捨てられたのは私の方なのですが……?」
「女ならば王太子の後を追うモノではなくって? 一度フラれたからと諦めるなんて無責任ですわ!」
無責任? 私は無責任なのでしょうか。
少なくとも責任は果たしていたと思いますし、挨拶という最後の責任も果たしたつもりです。
それ以外にも責任があるのでしょうか。
「私は責任を果たしたつもりですが、どの様なところが無責任なのでしょうか?」
「王太子妃としての仕事よ!」
「それはザビーネ様の仕事なので、私にはその責任が無いはずですが……」
「中途半端にして逃げるつもりかしら!? そんな事も分からないなんて、どんな神経をしているのかしら!」
おかしいですね、私がやっていた仕事は王太子妃の疑似体験であって、正式な物では無いはず。
確かに少しでも力になりたくて各機関の生の声を届けたけど、それは正式な仕事ではないのだし。
「王太子妃の仕事の事ならば、私がやっていたのはお手伝いの範囲であって、正式な物ではありません。正式な物はザビーネ様が行うのではありませんか?」
「仕事はあなたの役目でしょ! あ、そうじゃなくって、ゴホン、今までの仕事を無駄にしない為にも、そうね、側室ではなくても王宮に残るべきでは、あ! こらどこへ行くのかしら!?」
流石に頭が痛くなってきたのでこの場は去る事にしました。
本当はいち早くハンスの領地に行って告白をしたいのですが、今はハンスも仕事中、私の事で気を煩わせるわけにはいきません。
再来月が楽しみです。
「やあシオン様久しぶり」
「隊長さん、お久しぶりですね。今日はわざわざどうされたんですか?」
今日は衛兵の隊長さんが自宅に訪れてきました。
居間にお通ししてお話を聞いてみましょう。
「嬢ちゃんはさ、仕事はどうするんだ? スロープ家は長男がいるから後は継がないんだろう?」
「ええ、まずはハンスに告白をしてからと思っていましたが、幸い手に職がありますので、私を必要としてくれる場所で働こうと思っています」
「そうか! なら衛兵の事務仕事をやってみないか?」
「衛兵の、ですか?」
「ああ。今までやっていた婆さんが病気で辞めちまったんだ、だから募集をしてるんだが、中々こなくてな」
そういえばあのお婆さん、かなりお歳をめしていましたね。
腰が痛いとかも。
「ああ急がなくてもいいんだ。もちろん告白の後でいいし、無理ならいいんだ。でも、考えちゃくれないか?」
「今はまだ考えていませんが、候補の一つには考えておきます」
「おう、それでいいよ」
その翌日には児童施設の職員さんが来て、その次の日は大聖堂から、さらに市庁舎から、騎士団や美術館など、私が王太子妃候補だった時に訪問した各所からお話が来ました。
一番驚いたのは王宮の書記官にならないかと言われた時でした。
どれも保留させてもらいましたが、でもしばらくはやる事が無いのも確かです。
ハンスが返ってくるまでは時間もありますし、時々お手伝いをする位なら大丈夫でしょうか。
「いや~助かったよ嬢ちゃん、っとシオン様。あれ以来また金が減らされてよう、訓練場の手入れもままならねぇんだわ」
「え? でも衛兵の資金は増額されたんですよね?」
「三ヶ月だけだったよ。それ以降は戻通りさ」
それ以外の場所も同じだった。
市庁舎も大聖堂も、管理が行き届かない場所が出てきたと言っていた。
どうしたのかしら、確か国庫には余裕が有ったはずだし、街道や城壁の修理にも回していたはずだけど。
フランツ王太子が出口で待っていました。
王宮の中ではなく、なぜ出口で待っていたのでしょう。
声をかけるチャンスは何度もあったのに。
「私は捨てられた身です。フランツ王太子のために必死に努力してきましたが、それが実らなかったのであれば素直に去るだけです」
「な、何を言っている! 側室としてなら残っていいと言っているだろう!」
「私はフランツ様の正室として呼ばれてきました。それが叶わないからと側室になる事はできません」
「だ、だから! お、お前は私の言う事を聞いていればいいんだ!」
「? 婚約や結婚したならいざ知らず、今の私達の間には何もありません」
「おま! お前のような醜女が結婚できると思っているのか!」
「無理でしょうね。なので私は心残りのないように、玉砕覚悟で思いを伝えようと思っています」
「そ、そうだろうそうだろう、さあ俺に思いのたけをぶつけて見ろ! 気に入れば側室として迎え入れてやるぞ!」
何を言っているのかしらフランツ様は。
私が思いを伝えたいのはハンスであってアナタではないのですが。
「お待ちなさい! 大人しく聞いていればずに乗って、フランツ様を捨てるというの!?」
フランツ様の後ろの柱から、ザビーネ公爵令嬢が出てきました。
あ、今はザビーネ王太子妃候補でしょうか。
「ザビーネ様、捨てられたのは私の方なのですが……?」
「女ならば王太子の後を追うモノではなくって? 一度フラれたからと諦めるなんて無責任ですわ!」
無責任? 私は無責任なのでしょうか。
少なくとも責任は果たしていたと思いますし、挨拶という最後の責任も果たしたつもりです。
それ以外にも責任があるのでしょうか。
「私は責任を果たしたつもりですが、どの様なところが無責任なのでしょうか?」
「王太子妃としての仕事よ!」
「それはザビーネ様の仕事なので、私にはその責任が無いはずですが……」
「中途半端にして逃げるつもりかしら!? そんな事も分からないなんて、どんな神経をしているのかしら!」
おかしいですね、私がやっていた仕事は王太子妃の疑似体験であって、正式な物では無いはず。
確かに少しでも力になりたくて各機関の生の声を届けたけど、それは正式な仕事ではないのだし。
「王太子妃の仕事の事ならば、私がやっていたのはお手伝いの範囲であって、正式な物ではありません。正式な物はザビーネ様が行うのではありませんか?」
「仕事はあなたの役目でしょ! あ、そうじゃなくって、ゴホン、今までの仕事を無駄にしない為にも、そうね、側室ではなくても王宮に残るべきでは、あ! こらどこへ行くのかしら!?」
流石に頭が痛くなってきたのでこの場は去る事にしました。
本当はいち早くハンスの領地に行って告白をしたいのですが、今はハンスも仕事中、私の事で気を煩わせるわけにはいきません。
再来月が楽しみです。
「やあシオン様久しぶり」
「隊長さん、お久しぶりですね。今日はわざわざどうされたんですか?」
今日は衛兵の隊長さんが自宅に訪れてきました。
居間にお通ししてお話を聞いてみましょう。
「嬢ちゃんはさ、仕事はどうするんだ? スロープ家は長男がいるから後は継がないんだろう?」
「ええ、まずはハンスに告白をしてからと思っていましたが、幸い手に職がありますので、私を必要としてくれる場所で働こうと思っています」
「そうか! なら衛兵の事務仕事をやってみないか?」
「衛兵の、ですか?」
「ああ。今までやっていた婆さんが病気で辞めちまったんだ、だから募集をしてるんだが、中々こなくてな」
そういえばあのお婆さん、かなりお歳をめしていましたね。
腰が痛いとかも。
「ああ急がなくてもいいんだ。もちろん告白の後でいいし、無理ならいいんだ。でも、考えちゃくれないか?」
「今はまだ考えていませんが、候補の一つには考えておきます」
「おう、それでいいよ」
その翌日には児童施設の職員さんが来て、その次の日は大聖堂から、さらに市庁舎から、騎士団や美術館など、私が王太子妃候補だった時に訪問した各所からお話が来ました。
一番驚いたのは王宮の書記官にならないかと言われた時でした。
どれも保留させてもらいましたが、でもしばらくはやる事が無いのも確かです。
ハンスが返ってくるまでは時間もありますし、時々お手伝いをする位なら大丈夫でしょうか。
「いや~助かったよ嬢ちゃん、っとシオン様。あれ以来また金が減らされてよう、訓練場の手入れもままならねぇんだわ」
「え? でも衛兵の資金は増額されたんですよね?」
「三ヶ月だけだったよ。それ以降は戻通りさ」
それ以外の場所も同じだった。
市庁舎も大聖堂も、管理が行き届かない場所が出てきたと言っていた。
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