無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる

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第五十話

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 ぼっちゃんと一緒に書庫に入り、ぼっちゃんが興味ある本をたずねました。

「んっとね……シルビアが好きな本って何?」

「私ですか? 私が好きなのは色々な国の童話です。そういえば翻訳された物があったはず……これです」

 一冊の本をぼっちゃんに渡すと、ぼっちゃんは嬉しそうにテーブルに本を置き、椅子に座って読み始めました。
 じゃあ私は引き続き経済や税の本を探しましょう。
 『世界の成り立ち エルグランド王国の栄光』『貴族経済新書 幼少期編』『よくわかる税金での儲け方』
 なんだか一冊だけ毛色が違うけど、興味が湧きそうなタイトルね。

 えーっとなになに、「平民から接収する税には数多くあり、国や地域でも違う」それは前に読んだ本にも書いてあったわ。
 次「税率を上げれば平民は不平をいい、税率を下げればもっと下げろと文句を言う」それは……まぁいえてるかしら。
 「なので次の章では税率を効率よく上げる方法を記載しようと思う」

「これだわ! これが知りたかったのよ!」

「ど、どうしたのシルビア??」

「すみませんぼっちゃん、大声をあげてしまって」

 思わず大声を上げてしまったわ。
 でも知りたい事が見つかったら思わず声を上げちゃうわよね?
 よし、この本を熟読するわよ!

 本を読みふけっていると、書庫の扉がノックされた。

「シルビアいる? 坊ちゃんもいらっしゃるかしら?」

「ピノ? どうしたのこんな所に」

「どうしたじゃないわよ、もう夜よ? 食事の用意が出来たから坊っちゃんを探していたの」

「夜? あ」

 外を見るとすっかり暗くなっていました。
 そういえば無意識にランタンに火を入れた覚えがあるわね。

「ぼっちゃん、お食事の……お休みになられているわ」

 本を読む姿勢のまま首が真下を向いていて、静かな寝息が聞こえる。
 こんな時間に寝てしまったら、夜は寝れなくなってしまうわね。
 まだ眠そうなぼっちゃんの手を引いて、まずは顔を洗って目を覚ましていただき、食堂へとお連れします。

 私も食事をして明日の予定を確認したら、また書庫に戻ろう。
 
 それからしばらくは午前中はお屋敷の掃除をし、昼からは書庫で調べ物、午後のお茶をぼっちゃんと共に頂く、というのが繰り返されました。
 書庫でもぼっちゃんは一緒ですが、だんだんと難しい内容の本を読むようになってきました。
 今日は『戦争 戦後と戦前』を読んでいます。
 ……難しくないのかしら。

 ぼっちゃんは午前中は家庭教師に勉強を見てもらっているから、貴族としての知識はしっかりと持っているんでしょうね。
 それに知ってて損をする情報はあまりないから、知りたい事を知るのは良い事だわ。

 それからしばらくして書庫の必要と思われる本を読み終えた。
 ふぅ、昔は本を読むしか楽しみがなかったから読み漁っていたけど、まさかこれ程読む速度が速くなってるとは思わなかったわ。
 午後は本ばかりだったから、ここ数日で九十六冊も読めたわ。

 後はこの情報をまとめて、フーガ領で使えるように改良しないと。
 色んな情報があったけど、流石に全てをそのまま使える物ではなかった。
 時代も国も、領地も違えば内容も変わる。
 まとめる方が時間がかかりそうね。

 数日かけて資料を作り、フーガ領で使えそうな税制改革案を完成させました。
 何度も見返して間違いが無いと思うけど、流石に自信がない。
 えぇ~い、こんな事で臆病になってどうするのシルビア! ダメならダメで構わないのよ!

 で、でもひとまず家宰かさいのデイズさんに見てもらおう。
 翌日の朝になり、私はドキドキしながら資料をデイズさんに手渡します。
 五十ページ以上あるせいかデイズさんは驚いていた。

 翌日になるとデイズさんに呼ばれ、詳細の説明を求められる。
 それから数日かけて改革案の説明をすると、デイズさんはフーガ様に話を通してみようと言ってくれた。

「ただその時はシルビアも一緒に来るんだ。ある程度は理解したが、細かい説明は私だけでは無理だからね」

「はい! その時はご一緒させてください!」

 よかった、デイズさんに良いと言われたなら望みはあるわね。
 私はドキドキしながら翌日を待ち、午前の仕事を他の人にお願いしてフーガ様の執務室へと向かった。
 すでに資料はフーガ様に渡っていた様で、椅子に座ったままフーガ様は難しそうな表情をしている。

「これはシルビアが作ったのか?」

「はい。少しでも税収を上げ易くなると思います」

 私の隣にいるデイズさんも自信があるのか、フーガ様の難しそうな表情を悩んでいるだけ、と思っているよです。
 私もそう思っていましたから。
 しかし。

「税収を上げるのにどうして税を撤廃するんだ! 矛盾しているだろう!」
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