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17話
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「他国の軍隊が退かないって、どうしてですか!?」
「落ち着いてください聖女様。まだ新たな情報が入っていないので、正確な事は分かっていません」
アルバート神官長はどうしてこんなに冷静なの!?
セルジュが、味方が危険な状態だっていうのに!
「なににせよ、まだ直接戦ってはいないので、少し様子をみませんと」
「そ、それはそうですけど……」
「それと、兵力では他国全てを合わせたモノより我が国の方が多いので、さほど心配する必要はありません」
話によると、3つの国がヴァルプールに攻め込み、その総数は5万5千。
対してメジェンヌは6万だから、3国が手を組んでもまだ大丈夫。
ただし、ヴァルプールが向こうに付いた場合は1万5千が追加され、6万5千対6万になる。
こうなると不利だけど、まず無い、との事だ。
数日は膠着状態が続いたけど、ついに恐れていたことが起きた。
3国がメジェンヌを無視してヴァルプールに攻撃したのだ。
3国はタイミングこそ近かったけど、恐らくは時期的に待っていられなかったのだ。
まもなく冬が来る。
雪が積もるヴァルプールを攻めるには今しかなく、ヴァルプールが籠城する事も考えるとギリギリだ。
本当は籠城させる暇を与えず電光石火で攻め落とすつもりが、他国と鉢合わせしてしまい、それが出来なくなってしまった。
しかし振り上げた拳を何もない所に降ろす事は出来ず、様子を見ていたらしい。
3つの国が同じ事を考え、兵力も大差が無い事で、他国と戦うくらいならヴァルプールを、となったんだろう。
そうなると一番困るのは攻め込まれたヴァルプールだ。
1国ならば電光石火で来られても対応のしようがあるが、3国の兵力が合わさると、籠城すらままならない。
ああ、ついに私の祖国が無くなってしまうのかな……。
そう考えた時
「これはいい。一番おいしい所を持って行けます」
アルバート神官長が喜んでいた。
正直意味が分からなかった。
「美味しい所って、なんですか?」
「3つの国が明確にヴァルプールに刃を向けた事で、我がメジェンヌは大義名分を持って、ヴァルプールに加勢できるのです」
さらに意味が分からなかった。
「3つの国に攻められたことで、ヴァルプールは風前の灯火です。今さら手を貸す国なんて無いでしょう。我々以外はね」
「え? 手を貸すんですか? ヴァルプールを攻めるんじゃないんですか?」
「大国である我々が大群で攻め込めば、敵兵は委縮し簡単に投降するでしょう。しかしさほど大きくない3つの国に攻められたらどうなるか、意地になって抵抗するのです」
「えっと、大きい国なら諦めがつくけど、同じか少し大きい程度の国だったら、逆に抵抗するんですか?」
「その通りです。だから我々はヴァルプールに手を貸し、返しきれない恩を売るのです」
返しきれない恩……なんだか怖そう。
「落ち着いてください聖女様。まだ新たな情報が入っていないので、正確な事は分かっていません」
アルバート神官長はどうしてこんなに冷静なの!?
セルジュが、味方が危険な状態だっていうのに!
「なににせよ、まだ直接戦ってはいないので、少し様子をみませんと」
「そ、それはそうですけど……」
「それと、兵力では他国全てを合わせたモノより我が国の方が多いので、さほど心配する必要はありません」
話によると、3つの国がヴァルプールに攻め込み、その総数は5万5千。
対してメジェンヌは6万だから、3国が手を組んでもまだ大丈夫。
ただし、ヴァルプールが向こうに付いた場合は1万5千が追加され、6万5千対6万になる。
こうなると不利だけど、まず無い、との事だ。
数日は膠着状態が続いたけど、ついに恐れていたことが起きた。
3国がメジェンヌを無視してヴァルプールに攻撃したのだ。
3国はタイミングこそ近かったけど、恐らくは時期的に待っていられなかったのだ。
まもなく冬が来る。
雪が積もるヴァルプールを攻めるには今しかなく、ヴァルプールが籠城する事も考えるとギリギリだ。
本当は籠城させる暇を与えず電光石火で攻め落とすつもりが、他国と鉢合わせしてしまい、それが出来なくなってしまった。
しかし振り上げた拳を何もない所に降ろす事は出来ず、様子を見ていたらしい。
3つの国が同じ事を考え、兵力も大差が無い事で、他国と戦うくらいならヴァルプールを、となったんだろう。
そうなると一番困るのは攻め込まれたヴァルプールだ。
1国ならば電光石火で来られても対応のしようがあるが、3国の兵力が合わさると、籠城すらままならない。
ああ、ついに私の祖国が無くなってしまうのかな……。
そう考えた時
「これはいい。一番おいしい所を持って行けます」
アルバート神官長が喜んでいた。
正直意味が分からなかった。
「美味しい所って、なんですか?」
「3つの国が明確にヴァルプールに刃を向けた事で、我がメジェンヌは大義名分を持って、ヴァルプールに加勢できるのです」
さらに意味が分からなかった。
「3つの国に攻められたことで、ヴァルプールは風前の灯火です。今さら手を貸す国なんて無いでしょう。我々以外はね」
「え? 手を貸すんですか? ヴァルプールを攻めるんじゃないんですか?」
「大国である我々が大群で攻め込めば、敵兵は委縮し簡単に投降するでしょう。しかしさほど大きくない3つの国に攻められたらどうなるか、意地になって抵抗するのです」
「えっと、大きい国なら諦めがつくけど、同じか少し大きい程度の国だったら、逆に抵抗するんですか?」
「その通りです。だから我々はヴァルプールに手を貸し、返しきれない恩を売るのです」
返しきれない恩……なんだか怖そう。
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