【R18】拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~

風雅ありす

文字の大きさ
27 / 63
【本編】

束の間の平和[※R18]

しおりを挟む
「ファムのここ、俺によく見せて……」

私は、コウヤの膝の上で向きを変えさせられると、背中をコウヤの方へ向けて座った。
両足を広げて座るような形になり、羞恥で顔が熱くなる。

「見て、ほら。ファムのここ、とっても綺麗な色をしてる」

真正面には鏡があり、あられもない姿をした自分が映っている。

「いや、恥ずかしいから、やめて……」

身を捩って逃げようとするも、コウヤに後ろからがっちりと掴まれてしまう。

「ファム、可愛い……。
 ダメだよ、逃がさない。
 あぁ、早く俺だけのものにしたい……!」

コウヤに耳元で囁かれ、熱い吐息が首筋にかかり、背筋がぞくぞくした。
鏡は湯気で曇っているが、私の中にコウヤの指が出たり入ったりしているのが見える。
シャワーフックに戻されたシャワーから出るお湯が脚にかかり、私の中から溢れる雫をさらっていく。
コウヤは、片手で私の乳房を揉みながら、もう片方の手で中を弄り続けた。
逆上せたように頬が火照って、身体が熱い。
頭がぼうっとして、何も考えられない。
私は、目の前にそそり立つコウヤの情欲に手を伸ばした。


   * * *


しばらくは平和な日々が続いた。
私が仕事へ出掛けて家へ帰って来ると、コウヤが食事を用意して待っていてくれて、
二人でそれを食べながら、会話を交わす。
コウヤの料理の腕前は、私が最初心配していた程悪くはなかった。
肉料理がメインだったが、私が野菜も出して欲しいと頼むと、律儀に私の分だけサラダを用意してくれた。

「色々な場所を旅して回っていたから、自然とね」

どうやら、私と会うまでずっと<運命の女神ファムファタル>を探す旅をしていたらしい。
私がどんな場所を巡って、どんな旅をしていたのか詳しく聞こうとすると、コウヤは、あまり良い顔をせず、気が乗らないのか、話題を変えてはぐらかした。
理由は分からないが、あまり触れて欲しくない話題のようだ。

夜は、どれだけ私が抵抗しても、コウヤの甘い口調と愛撫に負けて、
結局、裸でくっついたまま朝を迎える。
これでは、まるで同棲中の恋人同士だ。

(このままじゃ、良くないよね……)

そう思いつつも、私の身体は、毎夜毎夜、コウヤの愛撫に慣らされていく。
こんな関係を続けながらも、私は、未だコウヤの気持ちにはっきりと答えてはいない。

「ファム……早く俺のことを好きになって」

と、快楽の海に溺れながら毎夜耳元で囁かれ、うわ言のように「好き」くらいなら口走っていたような気もするが、コウヤは、それでも決して私と繋がろうとはしなかった。
快楽の底から私が何度頼んでも、それだけはコウヤが頑なに拒んだのだ。

「どうして……?」

と私訊ねると、コウヤは、決まってこう言った。

「それは、子をつくる神聖な行為だからだ。
 ファムが俺の永遠のつがいになってくれると誓ってくれるまで、
 俺は、その禁を破ることが出来ない」

私にはよく分からなかったが、<獣人ベスティアン>の価値観というか、宗教観のようなものなのだろうか。
もしかしたら、私たちが普段から何気なく常識だと思っているようなことと同じ感覚なのかもしれない。

それでも頑なに、コウヤの番となることを是と言わなかった私も、なかなかに頑固だと思う。
コウヤと過ごす毎日は、平和で穏やかで、それでいて、とても心沸き立つものも感じていた。
純也と付き合っていた頃には、感じ得なかったものがそこにはあった。

純也からは、あれ以来、一切連絡はない。
絶対に何か言ってくると身構えていた分、拍子抜けしてしまう。
怪我が大丈夫だったのか、多少気にはなっていたが、
無理やり襲われそうになった時のことを思い出すと、
もう二度と会いたくないと思う。

「ファム、早く俺とつがいになって。
 俺の国に一緒に帰ろう。
 そして、たくさん、俺の子を産んで欲しい」

私の手を取り、毎日繰り返されるコウヤからの求愛に、こんな毎日も悪くもないかと思う自分がいる。
それでも、やっぱり異世界へ行くなんて、まるで想像もつかなくて怖いという気持ちもある。
この平和な日々がいつまでも続くものだとは思っていないが、
まだもう少しだけこのままでいたい、そう思っていた。

でも、それは、嵐の前の静けさだったことに、この後すぐ私は思い知ることとなる。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...