50 / 63
【本編】
欲求不満?[※R18]
しおりを挟む
「あら、今度はどうしたの。
そんな欲求不満みたいな顔して。
行方不明になってた彼氏、無事に見つかったんでしょう?」
会社のお昼休みに一人でお弁当を食べていると、
伊藤さんがからかうような表情で私に話しかけてきた。
手には、外で買って来たであろうコンビニの袋を持っている。
「……え、そんな顔してます? 私」
思わず私は、自分の頬に手を当てた。
「してるしてる。
……ってのは、冗談で、彼氏が戻って来たって聞いた割には、浮かない顔してるから」
伊藤さんは、私の向かいの席に腰を下ろすと、
コンビニの袋から取り出したサンドイッチを食べ始めた。
「何、喧嘩でもした?」
「喧嘩……は、してない、と思うんですけど…………」
私は、大きなため息を零して、持っていた箸を置いた。
コウヤが家に戻って来て、前と同じ平穏な日常が戻って来ていた。
でも、未だに私は、コウヤに自分の気持ちを伝えられていない。
その所為かどうかは分からないが、何故かコウヤの態度が今までと違う。
よそよそしいというか、私から少し距離を置いているように感じるのだ。
というのも、夜、いつものように私とコウヤは、一緒のベッドで眠っているのだが、
コウヤは、私を優しく服の上から抱擁するだけで、それ以上の行為を求めてこない。
時折、そっと私の額や頬に口付けることはあっても、己の熱情をぶつけるような激しい口付けや、身体の芯が熱くなるような愛撫もない。
だからと言って、私から求めるのも恥ずかしくて、結局、何も言えないままでいる。
(これじゃあ、本当に私が欲求不満みたいじゃない……)
伊藤さんは、私がまだ何も説明していないのに、何かを悟ったような顔でにやりと笑った。
「……ははぁん、倦怠期ってやつね。
たまには違う体位やプレイでもして楽しんでみたら?」
「ぷ、プレイって……! そういう話では……」
「いい?
性の不一致はね、離婚する立派な理由になるのよ」
「いや、私たち、結婚してないですけど……」
「だからよ。
今のうちに、お互いの趣味嗜好が合っているのか、しっかり確かめなきゃ。
結婚してから、やっぱり何か違ってたわ……なんてなったら遅いのよ。
愛さえあればプラトニックでもいい、なんてのは幻想よ。少女漫画じゃないんだから。
愛とSEXは、表裏一体。コミュニケーションツールの1つでもあるのよ。
女からそういう話をするのが恥ずかしいって気持ちは分かるけど、だからって自分の幸せを諦めても良いの? いいえ、よくないわ。
女にだってSEXを求める権利があるんだから! 諦めちゃダメよ!!」
「いえ、だから、そういう話ではないんですけど……」
私がいくら否定しても、どうやら伊藤さんは、私が恥ずかしがっているだけだと思っているようだった。
そのあと、お昼休みが終わるまで私は、伊藤さんから延々とSEX談義を語られることになった。
そんな欲求不満みたいな顔して。
行方不明になってた彼氏、無事に見つかったんでしょう?」
会社のお昼休みに一人でお弁当を食べていると、
伊藤さんがからかうような表情で私に話しかけてきた。
手には、外で買って来たであろうコンビニの袋を持っている。
「……え、そんな顔してます? 私」
思わず私は、自分の頬に手を当てた。
「してるしてる。
……ってのは、冗談で、彼氏が戻って来たって聞いた割には、浮かない顔してるから」
伊藤さんは、私の向かいの席に腰を下ろすと、
コンビニの袋から取り出したサンドイッチを食べ始めた。
「何、喧嘩でもした?」
「喧嘩……は、してない、と思うんですけど…………」
私は、大きなため息を零して、持っていた箸を置いた。
コウヤが家に戻って来て、前と同じ平穏な日常が戻って来ていた。
でも、未だに私は、コウヤに自分の気持ちを伝えられていない。
その所為かどうかは分からないが、何故かコウヤの態度が今までと違う。
よそよそしいというか、私から少し距離を置いているように感じるのだ。
というのも、夜、いつものように私とコウヤは、一緒のベッドで眠っているのだが、
コウヤは、私を優しく服の上から抱擁するだけで、それ以上の行為を求めてこない。
時折、そっと私の額や頬に口付けることはあっても、己の熱情をぶつけるような激しい口付けや、身体の芯が熱くなるような愛撫もない。
だからと言って、私から求めるのも恥ずかしくて、結局、何も言えないままでいる。
(これじゃあ、本当に私が欲求不満みたいじゃない……)
伊藤さんは、私がまだ何も説明していないのに、何かを悟ったような顔でにやりと笑った。
「……ははぁん、倦怠期ってやつね。
たまには違う体位やプレイでもして楽しんでみたら?」
「ぷ、プレイって……! そういう話では……」
「いい?
性の不一致はね、離婚する立派な理由になるのよ」
「いや、私たち、結婚してないですけど……」
「だからよ。
今のうちに、お互いの趣味嗜好が合っているのか、しっかり確かめなきゃ。
結婚してから、やっぱり何か違ってたわ……なんてなったら遅いのよ。
愛さえあればプラトニックでもいい、なんてのは幻想よ。少女漫画じゃないんだから。
愛とSEXは、表裏一体。コミュニケーションツールの1つでもあるのよ。
女からそういう話をするのが恥ずかしいって気持ちは分かるけど、だからって自分の幸せを諦めても良いの? いいえ、よくないわ。
女にだってSEXを求める権利があるんだから! 諦めちゃダメよ!!」
「いえ、だから、そういう話ではないんですけど……」
私がいくら否定しても、どうやら伊藤さんは、私が恥ずかしがっているだけだと思っているようだった。
そのあと、お昼休みが終わるまで私は、伊藤さんから延々とSEX談義を語られることになった。
1
あなたにおすすめの小説
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる