異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

フィリックスの過去

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「よく温まったか?…このままじゃまた冷えてしまうな」

フィリックスが髪を乾かしてくれた後、バスローブに包まれた俺の体に触れて温度を確かめた。

マシになったとはいえ、まだ魔法が切れきってはいない俺の体はすぐに冷えてしまう。手足もまだ元のようには動かない。

「明日の朝には魔法は抜けてると思うから、それまでは俺がついてる」 

フィリックスはそう言って俺を抱き上げた。
抱っこなんてしてもらったのは何年ぶりだろう?俺が大人しくフィリックスの首に手を廻すと、彼はふっ、と微笑んだ。

その時に気づいた。
フィリックスの胸から腹にかけて大きな傷がある。これは魔法で受けた斬撃…? 
竜騎士の仕事ってそんなにキツイのかな?でも、これはもっと昔、子供の時についたものぐらい古そうだなと感じた。

「…気になるか?俺の傷」

俺をベッドに降ろし、二人すっぽりと布団をかぶる。フィリックスが俺を胸に抱いてまた温めてくれる。

「これは子どもの時に暴漢に襲われて…一緒にいた俺の大切な幼馴染みの友達は、俺をかばって命を奪われた。これはそのときの傷。俺達は二人で竜騎士を目指していて…生き残った俺はそいつの意思も継いで竜騎士になったんだ」

そんなつらい過去があったんだ…俺は涙が滲んでしまい、それに気づいたフィリックスがそれをキスで拭った。

「泣いてくれるんだ?優しいな、シン…」
「うぅ…俺は友達はジジイ以外いなかったから同年代の友達がわからないけど…フィリックス…」
「シンの友達はラースがいるだろ?」
「そうだけど…失うのは悲しいよ…」

めそめそする俺をフィリックスがぎゅっと抱き締める。誰かに抱き締めてもらうのってすごく心地よくて安心する。

「ありがとう、泣いてくれて。もう、大丈夫だから」

そして、フィリックスが真顔で俺の顔をじっと見た。

え、なに…?いきなりドキっとしてしまう。
部屋の照明はベッドから離れた間接照明だけが点いていて、フィリックスの表情や顔がものすごく綺麗にセクシーさを増しているのに気づく。整った甘い顔が俺を熱を帯びた瞳で見つめている。それに上半身は裸。

しまった、俺、真っ裸…!いきなり意識してしまって恥ずかしくなった俺は顔を伏せた。それをフィリックスは許さずに俺の顎に手をかけて引き寄せる。

ゆっくり、ゆっくりとフィリックスの顔が近づいてくる。俺の唇にフィリックスの唇が触れた。そのまま押し付けられるように触れ合いを何度も重ねていく。フィリックスはキスをしながら俺の腰と背中に手を廻して引き寄せていく。

フィリックスの匂いと、くらくらしてくる頭の中。こんなキスは初めてだ。そもそも俺のファーストキスはフィリックスだし。

「ん、ふっ…フィリックス、俺、男なのに…?」
「シンがかわいいからつい……嫌か?」

唇を離してフィリックスが俺の瞳を覗き込む。

俺はふるふると緩く首を振った。

「不思議…な気分…嫌じゃないんだ」
「そうか。俺も不思議な気分だ。何よりシンが可愛くて仕方がない…。もう眠っていいぞ。今日は体を休めるのが先だな。…すまない」

こんなキスしといて、眠れってったって、眠れないよね!落ち着け俺の心臓!

と、思っててもフィリックスに優しく抱かれて心地よくて、俺はすぐに眠ってしまった。


俺の寝顔にフィリックスがそっとキスをしたことを、俺は知らない。


◆◆◆◆◆


「眠ったか…シン…」

腕の中ですうすうと可愛い寝息がする。シンは眠ったな。なんて可愛い、青い竜騎士。

伝説の竜騎士…か。

俺も昔はそうなりたかった。胸の傷をチラリと見る。

俺は生まれながらに赤いドラゴンが側にいたらしい。幼い頃から俺の友達で、どこに行くのも一緒だった。俺も伝説の竜騎士と呼ばれていた。

10歳の時までは。

美しいあいつを剥製にしようとしたハンターに狙われ、無力な俺をかばってあいつは無惨に殺され、奪われた。

俺の大切なドラゴンはこの世にはもういない。

それからどうしても赤いドラゴンと一緒にいたくて、俺は竜騎士の試験に受かるべくものすごく勉強した。そして、晴れて竜騎士となり、あいつと同じ色、赤いドラゴンを手に入れ同じ名前をつけた。

オリオン。

目を閉じると、あいつの翼、声、すべてがありありと焼きついてる。

あいつじゃないけど、今のオリオン号はとてもいい子だ。可愛くて、愛してる。


俺の生まれた町には古い言い伝えがあった。

伝説の竜騎士が二人揃うとき、魔がよみがえる、と。

俺は伝説になりそこねたからもう違う。
だから魔はよみがえらないなと安心してたんだ。
その矢先、シンが現れてしまった。この時代にエリアスと二人、伝説の竜騎士が揃ってしまった事実、これから何が起こるかわからない。

エリアスは英雄だ。あの実力、強さは桁が外れている。俺は彼と同じ時代の伝説の竜騎士になれなくて良かったとさえ思えるほどの圧倒的なカリスマ。でも、才能だけじゃない、きっと努力の賜物だ。あれは尊敬に値する。

そして可愛いシンが、これからどんな運命を背負うのだろうか。
エリアスと共に伝説の竜騎士として名を馳せていくのだろうが、できることならば俺が隣でずっと支えたい。この腕の中にすっぽり収まる華奢なこの体では重すぎる。

伝説になり損ねた男が伝説の竜騎士を支えられるなんて本望だ。もし俺に存在意義があるならば、それだと思いたい。

シン、お前には俺がついてる。

なりそこないの俺だけれどお前の側にいてもいいかな?

















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