異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

文字の大きさ
79 / 113
伝説のゆくえ

魔族にはじめて会う

しおりを挟む
エリアスとカイザー号があまりにも速いので、俺とラースはヘラクレス号に乗って移動していた。

「この先に何がいるの?」

俺の質問にラースが答えた。

「あのね、モンスター集団がこっちに向かってるんだって」
「でも、オスカーのところのモンスターはもう来ないじゃん?じゃ、モンスターは完全に魔族の手先だよね?」
「そうなるね…それって…」

ラースが言いかけてふと、言葉を止める。突然俺の腰を後ろからがっちり掴むと勢いよくヘラクレスの背中から飛び立った。ふわりとした浮遊感のあと、すぐに振り回されるような激しさに目が回る。

「なっ!?」

そのとたん、目の前からすごい早さですぐ隣を炎の塊が駆け抜けた。ヘラクレスとラースは瞬時の判断で二手に分かれてそれをよけたのだった。俺はラースの背中に乗り移ると魔剣を握ってピアスのガラ、指輪のオスカーに魔力供給を指示した。

目の前に見たこともない凶悪そうなモンスターの集団がいる。フィリックスとエリアスはもう戦闘に入っていた。

その中に黒い獣の足を持ち、上半身は人のようなモンスターが一匹いて、そいつが俺をめがけて飛んでくる。

「ハーフドラゴンの匂い…お前か…!」

ニヤリと舌なめずりをしてそいつの赤い口が嗤う。俺の背筋が凍りついた。

「食いごろはもう少し先か?青いな…熟れるまで待つか…?」

そいつはそう言って俺たちを見た。

は?こいつが魔族!?するとラースが歯軋りをしてそいつに向かって威嚇した。

「食いごろって何だよ!熟れるまで待つって、シンは果物じゃない!もう既に美味しいんだぞ!」

ラースがそいつに向かって叫ぶ。
いや、そういうことじゃないと思うよラース…。

「ドラゴン族の使役か…こいつもうまそうだが、まだ青い…覚醒しきってからでもいいか…」

そいつはラースを見ながらまた嗤う。

「青い青いって!僕たちの青くて何が悪い!2人とも恋人に美味しく頂かれてるのに!青いのが綺麗だってみんな言ってくれるもん!他の色になんてならない!」

またラースがキレた。

ラース…ちょっと黙ろうか。絶対違うぞそれ…。

俺は遠くでモンスターと戦うフィリックスとエリアスを見た。こっちに来ようとしているのがわかるけれど、そうはさせてくれそうにないのが見てとれた。

その時ギラッと指輪が光り、オスカーが実体化した。

ラースより少し大きな、美しい銀色のドラゴンの姿をしているのに驚いた。

「ドラゴン族か…しかし、若くはないな」
「年寄り扱いはしないほうがいい、魔族よ、何故人間界にいる?」

オスカーはその魔族に冷たい瞳で尋ねると、そいつはニヤリと笑って答えた。

「人間界に追放されたんだが、魔界へ争いを起こそうと思っていたところ、ハーフドラゴンの匂いがするじゃないか…その力を手にすれば魔界に戻って復讐を遂げられる…だから食わせろ」

冷たく赤い目で見つめられ、俺の背筋に汗が流れた。生理的に思った、こいつキライ!

ヘラクレスが口を開け、そいつに閃光波をあびせる。ラースと俺も反対側から冷凍ビームを炸裂させ、オスカーも同じように衝撃波を浴びせる。俺たちの集中攻撃にそいつは目の前で爆発した。

はずだった。

「!?」

もうもうとした冷気の中から全く無傷なそいつが見える。

次の瞬間、横殴りに飛んできた巨大な稲妻がそいつを飲み込んだ。エリアスの攻撃だ。モンスターを片付けたらしい。
間髪いれず青い炎がそいつを爆発させた。オリオン号が近づいてくる。フィリックスの炎だ。

でも、煙の中からそいつの光る目が見えた時、全員凍りつくように言葉を失った。

俺たちの集中砲火に耐えられるのか…こいつ!?

「魔族すげえ…!」
「褒められると、照れるな…」

俺の呟きにそいつはまた嗤った。

「ほめてないわ!このくそタフめ!」

エリアスがギリギリとそいつを睨む。

「ハーフドラゴン、お前は味方が多いな…なかなか手こずりそうだ、今日は出直すかなー」

腕組みをして俺たちをぐるっと見回すと、そいつはククッと笑い、今度はエリアスとフィリックスを見る。

「?」

エリアスとフィリックスがそいつを不審げに睨み付けた。

「…竜騎士エリアスにフィリックスか…帰ろ…モンスター達も殺されたしな」

そう言うと、腕を広げて胸の前から黒い球状のものを発生させる。それが一気に大きくなり、そいつはそこへ飛び込むなり球がかき消えて、そいつもいなくなった。

「俺たちを知ってる…?それに次元を曲げられるのか…?」

エリアスが悔しげにそいつが消えた空間を睨んで呟いた。

「あいつは魔族だな…はぐれ魔族かもしれん、ここ近年、魔界を追放された魔族がいないかわかるかオスカー?」

フィリックスがオスカーに尋ねると、オスカーは静かに首を振った。

「すまん…ドラゴン族からも離れていた俺はそんな情報はないんだ」
「そうか、ものすごい長い引きこもりだったもんなお前…」
「引きこもりじゃない。千年、シンシアを想い続けてただけだ」
「うわぁ…!自宅警備員千年勤務…!」

エリアスがポロッと突っ込み、オスカーは舌打ちをした。

伝説の竜騎士と敵だったドラゴン族が普通に仲良く話してる光景に俺は少しだけ笑ってしまった。

俺が魔族に狙われているというのはこれで事実になった。

気になるのは、そいつが誰なんだってこと。




























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~

槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。 公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。 そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。 アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。 その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。 そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。 義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。 そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。 完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス

オレの番になって──異世界に行って愛猫の番にされる話

まめ
BL
不慮の事故により、異世界に転移することになった神木周。 心残りは、唯一の家族だった愛猫・ネロのことだけだった。 ──目覚めた草原で再会したのは、見覚えのある大きな黒い獣。ネロが追いかけてきてくれたのだ。 わからないことばかりの異世界だけど、ネロがいるからきっと大丈夫。 少しずつ心をほどき、神に招かれた世界で穏やかな毎日を楽しむ周たち。 しかし、そんな彼らに不穏な気配が忍び寄る―― 一人と一匹がいちゃいちゃしながら紡ぐ、ほのぼの異世界BLファンタジー。 こんにちは異世界編 1-9 話 不穏の足音編 10-18話 首都編 19-28話 番──つがい編 29話以降 全32話 執着溺愛猫獣人×気弱男子 他サイトにも掲載しています。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...