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21 孵化です 〜Sレギオス
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「リュカをエマの所へ案内してやってくれ」
「ああ。任せてくれ」
ロアがリュカを連れて部屋から出て行った。
椅子に座り直し、昨日の入団テストに関する報告書に目を通す。
「ワイバーンを巣ごと駆除してしまうとは、前代未聞だな」
あのガロウという男……一見、線の細い優男のように見えるが、只者ではなかったようだ。
即戦力となるならば願ったり叶ったりだが、得体の知れない余所者の素性をもう少し調べておく必要がある。
街のギルドに手柄を報告する前に、ガロウを連れて現場検証に行ってみるか……。
親同士、話をすれば、通じ合えるものがあるかも知れん。
ギルド長室を出て、ガロウ達に貸した空き室へと向かう。
ここか……。
「ガロウ。居るか?」
扉をノックし、空き室の中に入る。
誰もいない……しかし、微かに物音がする。
ベッドの下か?
不思議に思い、ベッドの下を覗き込んでみると、奥で何者かが背を向けて寝転がっていた。
「そこに居るのはガロウか? ベッドの下で何をしている」
「レギオスか……オレは忙しい……後にしてくれ……」
くっ、こいつ……ギルド長の俺を呼び捨てだと?
まあそれはいい。だが、朝早くからギルドの仕事に取り組もうとしているリュカに対し、父親のこいつが怠けていてどうする。
同じ子を持つ親として、怠け者を更生させねば。
ベッドの下に手を突っ込み、ガロウの肩を掴んで引っ張った。
「そこから出てこい! お前に話がある!」
「オレにはない……やめろ……もう少しで産まれそうなんだ……!」
「き、気色の悪い言い訳をするな……働かざるもの食うべかずだ。さっさと出てこい!」
尚も抵抗してベッドの下にしがみ付くガロウ。
俺も負けじと気合を入れて引っ張る。
「ぜぇぜぇ……」
何とか半分くらい引っ張り出せた……とんでもない馬鹿力だな。
しかし、なぜこいつは会う度に服を着ていないんだろう?
ベッドでの攻防に息を切らしていると、唐突に背後で若い女性の声が響いた。
「ギルド長……と裸の男性が……し、失礼しました」
扉からエマが顔を覗かせ、青い顔をして俺達を見ている。
ま、まずい……。
何か良からぬ勘違いをされてしまった気がする……何とか誤解を解かねば!
と思っていたら、すでにエマの姿が消えていた。
さすがうちのギルドの精鋭だ。行動が速いな。
今頃、ギルド中に俺の変な噂がばら撒かれているだろう。
悔しさに床を叩いていると、ベッドの下からガロウが這い出てきた。
「お陰で無事に産まれたぞ……見てくれ」
その両手には、ワイバーンの雛が3頭抱きかかえられている。
どう言う事だ……昨日のテストの時に、洞窟から卵を持って帰っていたのか。
「まさか、ベッドの下でワイバーンの卵を温めて孵化させていたのか」
「そうだ……」
誇らしげに仁王立ちするガロウの腕の中で、ワイバーンの雛がお腹を空かせて鳴き始めた。
「腹が空いたようだ……餌はないか?」
「孵化させるなら餌の準備くらいしておけ! 俺が餌を持って来てやるから待ってろ」
「肉を頼む……」
冷静に考えたらうちのギルドはペット禁止なんだが……。
産まれてしまったものはしょうがないか。
「ああ。任せてくれ」
ロアがリュカを連れて部屋から出て行った。
椅子に座り直し、昨日の入団テストに関する報告書に目を通す。
「ワイバーンを巣ごと駆除してしまうとは、前代未聞だな」
あのガロウという男……一見、線の細い優男のように見えるが、只者ではなかったようだ。
即戦力となるならば願ったり叶ったりだが、得体の知れない余所者の素性をもう少し調べておく必要がある。
街のギルドに手柄を報告する前に、ガロウを連れて現場検証に行ってみるか……。
親同士、話をすれば、通じ合えるものがあるかも知れん。
ギルド長室を出て、ガロウ達に貸した空き室へと向かう。
ここか……。
「ガロウ。居るか?」
扉をノックし、空き室の中に入る。
誰もいない……しかし、微かに物音がする。
ベッドの下か?
不思議に思い、ベッドの下を覗き込んでみると、奥で何者かが背を向けて寝転がっていた。
「そこに居るのはガロウか? ベッドの下で何をしている」
「レギオスか……オレは忙しい……後にしてくれ……」
くっ、こいつ……ギルド長の俺を呼び捨てだと?
まあそれはいい。だが、朝早くからギルドの仕事に取り組もうとしているリュカに対し、父親のこいつが怠けていてどうする。
同じ子を持つ親として、怠け者を更生させねば。
ベッドの下に手を突っ込み、ガロウの肩を掴んで引っ張った。
「そこから出てこい! お前に話がある!」
「オレにはない……やめろ……もう少しで産まれそうなんだ……!」
「き、気色の悪い言い訳をするな……働かざるもの食うべかずだ。さっさと出てこい!」
尚も抵抗してベッドの下にしがみ付くガロウ。
俺も負けじと気合を入れて引っ張る。
「ぜぇぜぇ……」
何とか半分くらい引っ張り出せた……とんでもない馬鹿力だな。
しかし、なぜこいつは会う度に服を着ていないんだろう?
ベッドでの攻防に息を切らしていると、唐突に背後で若い女性の声が響いた。
「ギルド長……と裸の男性が……し、失礼しました」
扉からエマが顔を覗かせ、青い顔をして俺達を見ている。
ま、まずい……。
何か良からぬ勘違いをされてしまった気がする……何とか誤解を解かねば!
と思っていたら、すでにエマの姿が消えていた。
さすがうちのギルドの精鋭だ。行動が速いな。
今頃、ギルド中に俺の変な噂がばら撒かれているだろう。
悔しさに床を叩いていると、ベッドの下からガロウが這い出てきた。
「お陰で無事に産まれたぞ……見てくれ」
その両手には、ワイバーンの雛が3頭抱きかかえられている。
どう言う事だ……昨日のテストの時に、洞窟から卵を持って帰っていたのか。
「まさか、ベッドの下でワイバーンの卵を温めて孵化させていたのか」
「そうだ……」
誇らしげに仁王立ちするガロウの腕の中で、ワイバーンの雛がお腹を空かせて鳴き始めた。
「腹が空いたようだ……餌はないか?」
「孵化させるなら餌の準備くらいしておけ! 俺が餌を持って来てやるから待ってろ」
「肉を頼む……」
冷静に考えたらうちのギルドはペット禁止なんだが……。
産まれてしまったものはしょうがないか。
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