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20 お下がりです
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ギルド長室から出て、ロアくんに着替えのある部屋へと案内される。
「ここはエマさんの部屋だ。エマさんは裁縫が得意だから、ギルドのみんなの服を縫ったりしてくれるんだ」
「ありがとう。ロアくんは一緒に来てくれないの?」
「いや。俺はいいよ……ハハ」
頬をかいて苦笑いするロアくん。
どうしたんだろ? エマさんと仲良くないのかな?
少し心細いけど仕方ない。
ロアくんには外で待っててもらい、エマさんの部屋の扉を開けた。
わー……。
花柄の装飾が色鮮やかで、とっても綺麗なお部屋だ。
部屋の奥で、白黒の服を着た女性がもくもくと服を畳んでいた。
あの人がエマさんかな。声を掛けてみよう。
「あ、あの……今日からこのギルドでお世話になります。リュカです!」
「あなたがリュカ?」
頭を下げた私にエマさんが気付き、笑みを浮かべながら近付いてくる。
「服を貰いに来たのね。その前にちょっとこっちに来なさい」
あれ?
穏やかだったエマさんの表情が一変する。
腕を掴まれ、強引に部屋の奥へと引っ張られていく。
何か失礼な事して怒らせちゃったかな……。
問答無用で着ていた布を脱がされ、お湯の溜まった大きな釜みたいな所に放り込まれる。
「あっつぅ!」
な、何これ……体を茹でられてる。どういう事⁇
「じっとして、綺麗に洗えないわ」
エマさんが、お湯に使った私の頭をごしごしと泡立て始めた。
あ、泡で前が見えない……。
お湯が私の汚れでどんどん濁っていく。
しばらく茹でられた後、釜から引っ張り出される。
今度は全身を布で拭かれ、濡れた髪を温風の魔法で優しく乾かしてくれる。
あ、気持ちいぃー。
びっくりさせられたけど、エマさんは怒ったわけじゃなかったみたい。
森暮らしで汚れた私を綺麗にしてくれただけだった。
「そうねぇ。サイズはこれでいいかしら?」
茹でられ、涼んでいた私に、クローゼットの中からお花柄の可愛らしい服が取り出される。
「リュカ。これを着てみなさい」
「は!はい!」
やったぁ。ついにニンゲンの服が着られるんだ。
エマさんのペースに呑まれながらも、服の着方を教わってみる。
えっと、この可愛らしいニンゲンの服はスカートっていうみたい。
サイズもぴったりで動きやすい。
「見違えるくらい綺麗になったわ。ロアの古着とサイズがぴったりで良かったわ」
え……? ロアくんの?
「こ、これってロアくんの服なんですか?」
「そうよ。小さい頃のロアは可愛いお洋服を喜んで着てくれてたのよ」
「そ、そうだったんですね」
「あの頃は無邪気で可愛かったのに、どうしてあんなに捻くれちゃったのかしら?」
不満げに首を傾げるエマさん。
確かにロアくんの顔付きは可愛いらしいけど……。
これ、お下がりなんだ……。
「ここはエマさんの部屋だ。エマさんは裁縫が得意だから、ギルドのみんなの服を縫ったりしてくれるんだ」
「ありがとう。ロアくんは一緒に来てくれないの?」
「いや。俺はいいよ……ハハ」
頬をかいて苦笑いするロアくん。
どうしたんだろ? エマさんと仲良くないのかな?
少し心細いけど仕方ない。
ロアくんには外で待っててもらい、エマさんの部屋の扉を開けた。
わー……。
花柄の装飾が色鮮やかで、とっても綺麗なお部屋だ。
部屋の奥で、白黒の服を着た女性がもくもくと服を畳んでいた。
あの人がエマさんかな。声を掛けてみよう。
「あ、あの……今日からこのギルドでお世話になります。リュカです!」
「あなたがリュカ?」
頭を下げた私にエマさんが気付き、笑みを浮かべながら近付いてくる。
「服を貰いに来たのね。その前にちょっとこっちに来なさい」
あれ?
穏やかだったエマさんの表情が一変する。
腕を掴まれ、強引に部屋の奥へと引っ張られていく。
何か失礼な事して怒らせちゃったかな……。
問答無用で着ていた布を脱がされ、お湯の溜まった大きな釜みたいな所に放り込まれる。
「あっつぅ!」
な、何これ……体を茹でられてる。どういう事⁇
「じっとして、綺麗に洗えないわ」
エマさんが、お湯に使った私の頭をごしごしと泡立て始めた。
あ、泡で前が見えない……。
お湯が私の汚れでどんどん濁っていく。
しばらく茹でられた後、釜から引っ張り出される。
今度は全身を布で拭かれ、濡れた髪を温風の魔法で優しく乾かしてくれる。
あ、気持ちいぃー。
びっくりさせられたけど、エマさんは怒ったわけじゃなかったみたい。
森暮らしで汚れた私を綺麗にしてくれただけだった。
「そうねぇ。サイズはこれでいいかしら?」
茹でられ、涼んでいた私に、クローゼットの中からお花柄の可愛らしい服が取り出される。
「リュカ。これを着てみなさい」
「は!はい!」
やったぁ。ついにニンゲンの服が着られるんだ。
エマさんのペースに呑まれながらも、服の着方を教わってみる。
えっと、この可愛らしいニンゲンの服はスカートっていうみたい。
サイズもぴったりで動きやすい。
「見違えるくらい綺麗になったわ。ロアの古着とサイズがぴったりで良かったわ」
え……? ロアくんの?
「こ、これってロアくんの服なんですか?」
「そうよ。小さい頃のロアは可愛いお洋服を喜んで着てくれてたのよ」
「そ、そうだったんですね」
「あの頃は無邪気で可愛かったのに、どうしてあんなに捻くれちゃったのかしら?」
不満げに首を傾げるエマさん。
確かにロアくんの顔付きは可愛いらしいけど……。
これ、お下がりなんだ……。
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